太陽光発電投資

太陽光発電を売却する方法は? 注意点と高額査定のポイントも解説

太陽光発電 売却
阿部希

太陽光発電の売却を検討したいけれど「どうやって売るの?」「高く売る方法はある?」と、疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。

昨今、中古の太陽光発電の人気が高く、売却にも注目が集まっています。

本記事では太陽光発電の売却が注目されている理由や、高く売れる物件の特徴などを解説します。

高額で太陽光発電を売却できるポイントが分かる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。

太陽光発電所の売却が注目されている理由

太陽光小規模発電所

太陽光発電の売却が注目を集めている理由は、以下の6つです。

  • 出力制御が実施されると売電収入が減るため
  • インボイス制度で消費税が免税されなくなる可能性があるため
  • 太陽光発電設備撤去費用の積み立てが義務化されたが不透明感が大きいため
  • 減価償却期間が過ぎると節税効果がなくなるため
  • 太陽光発電の中古市場(セカンダリー)が注目されているため
  • 「法定外税」を導入する地方自治体が増える可能性があるため

なぜ太陽光発電の売却が注目されているのか、それぞれの詳細を説明します。

出力制御が実施されると売電収入が減るため

電力会社が出力制御を実施すると、それまで買い取りされていた電力の売電収入が得られなくなります。

このため、出力制御が継続して実施される場合、今後の売電収入が減ることが予想されます。

「中部電力エリア」や「関西電力エリア」では、2023年に出力抑制が起きる可能性は低い見通しと経済産業省が2022年11月に公表していました。

しかし、2023年4月に中部電力と北陸電力、2023年6月に関西電力が出力制御を実施しています。

今後も出力制御が実施される可能性があるため、太陽光発電所の売却を検討する投資家の方が増えているのが現状です。

当サイトでは、出力制御(出力抑制)についても詳しく解説しています。仕組みやルール、増加を見据えた対策について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事 出力制御(出力抑制)とは

インボイス制度で消費税が免税されなくなる可能性があるため

2023年10月1日から、インボイス制度が開始になります。

2023年7月の時点では、免税事業者がインボイス制度に対応するかどうかは任意です。

経済産業省も課税事業者にならなくても、FIT単価での買取価格も現行と変わらないとしています。

しかし、今後制度が改定されて、FIT期間終了後にインボイス制度への対応が義務になる可能性も考えられます。

もしもインボイス制度への対応が必要になった場合は、売電収入にかかる消費税が免税されなくなるため、売却を検討する方が増えている理由です。

アスグリ編集部
アスグリ編集部

消費税の課税事業者になると、利益の金額の10%を消費税として納めるというイメージです。
※ 非課税取引や不課税取引があると変わります。

なお、太陽光発電とインボイス制度の関係や、個人事業主が登録すべきか否かについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

関連記事 太陽光発電事業者はインボイス制度に登録すべき?

太陽光発電設備撤去費用の積み立てが義務化されたが不透明感が大きいため

2022年7月から10kW以上の太陽光発電に対して、FIT終了前の10年間で設備の廃棄費用を積み立てるよう義務化されました。

積立金は売電収入から差し引かれる形で徴収され、積立金を管理している推進機関に納められる決まりです。

しかし、積立金よりも実際の廃棄費用のほうが高い場合の運用が未定など不透明な部分もあり、FIT期間の終了前に売却を検討する投資家が増える理由になっています。

太陽光パネルの廃棄費用や処分方法については以下の記事をご覧ください。太陽光発電設備の廃棄費用積立制度についても解説しています。

関連記事 太陽光パネルの廃棄費用・処分方法

減価償却期間を過ぎると節税効果がなくなるため

太陽光発電が減価償却資産として費用計上できるのは、法定耐用年数で17年間と決まっており18年目以降は節税効果が得られません

アスグリ編集部
アスグリ編集部

太陽光発電設備を中古資産として購入した場合には、更に耐用年数が短くなるため注意が必要です。

節税対策として太陽光発電を所有している場合もあるため、減価償却期間が過ぎる前に売却を検討する投資家の方が増えています。

太陽光発電の新規導入量が最も多かったのは、2012~2015年頃でした。

出典:資源エネルギー庁
国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案(2021/10)

この時期に太陽光発電を購入した方は、減価償却期間の終了が数年後に迫っているので節税効果がなくなる前に売却を検討する理由になっています。

太陽光発電の中古市場(セカンダリー)が注目されているため

太陽光発電の中古市場の市況環境が良い点も、売却が注目される理由の1つです。

中古物件のメリットは、以下の2つになります。

中古物件を購入するメリット
  • 新規で設備IDを取得するよりもFIT価格が高い
  • 実際の発電実績を元にシミュレーションできるので失敗が少ない

SDGsの観点で太陽光発電購入を検討する法人が増えていることもあり、中古物件の市況環境が良い状況が続くと予想できるので、太陽光発電は売却しやすい時期と言えます。

太陽光発電がSDGsの何番目の目標に、どのように貢献するのかについては、以下の記事をご覧ください。

関連記事 太陽光発電とSDGsの関係

「法定外税」を導入する地方自治体が増える可能性があるため

今後、森林開発を伴って建設する太陽光発電所に対して、法定外税を課す自治体が増える可能性があります。

法定外税とは地方税のひとつで、地方自治体が独自に新設する税目が該当します。法定外税の施行には総務相の同意が必要です。

2023年7月4日に宮城県で、大規模な森林開発の抑制と適地への発電所建設誘導を目的とした条例の「再生可能エネルギー地域共生促進税」が可決されました。

条例が施行されると、0.5ヘクタール以上の面積の森林開発をして太陽光発電を設置する場合に課税されるようになります。

宮城県のように法定外税を導入する自治体が増えると太陽光発電を新設しにくくなり、中古物件の希少性が高まるため需要が増していくと予想できます。

高額で太陽光発電所を売却できる物件の特徴

太陽光発電所の売却で買取業者に査定を依頼する際、高額な査定額が付きやすい物件には共通した特徴があります。

高額での売却が期待できる太陽光発電の特徴は、以下の4つです。

高額売却が期待できる太陽光発電物件の特徴
  • 太陽光発電に適した土地に設置されている
  • 発電や売電の実績が提示できる
  • 定期的にメンテナンスが行われている
  • 買取後にメンテナンスコストがかからない

どのような点が高額査定につながるのか、具体的に説明します。

日照条件や地盤など、太陽光発電に適した土地に設置されている

売却したい太陽光発電が最適な土地に設置されているかどうかは、査定結果に大きく影響します。

買取後に修繕などのコストがかかりそうな場合、その分の費用が差し引きされる可能性が高いのが理由です。

一般的に以下のような土地が、太陽光発電に適していると言われています。

太陽光発電の設置に向いている土地の条件
  • 日照時間が長い
  • 地盤が強く地盤沈下や土砂流出の心配がない
  • 台風や積雪など自然災害が少ない
  • 海や河川から遠い

上記の条件をクリアしている土地であれば、太陽光発電を高額で売却できる可能性が高くなります

発電や売電の実績が提示できる

直近1~2年の発電状況や売電の実績が提示できると、太陽光発電の買取金額が高くなる可能性があります。

たとえば、故障を放置したままの状態で査定を依頼すると、本当に発電できるか分からず買取後に修理費用が発生するため、買取業者も査定額を下げざるを得ません。

発電や売電の実績を確認できれば、買取業者も利益のシミュレーションがしやすいため、高額な査定結果を期待できます

定期的にメンテナンスが行われている

定期点検されている物件は、査定時に高額な金額が付きやすいです。草刈りやパネルの清掃をこまめにするだけでも、発電効率を下げないように保てます。

また、定期的に点検していれば設備の異常を早い段階で見つけて対策でき、大きな故障が起きにくくなります。

こまめにメンテナンスされている太陽光発電所は買取後に故障の心配が少ないため、高額で売却できる可能性が高いです。

太陽光発電のメンテナンス費用については、以下の記事で詳しく解説しています。維持費の内訳や相場について知りたい人は参考にしてください。

関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)

買取後にメンテナンスコストがかからない

太陽光発電を買い取った後で、メンテナンス費用発生の懸念があると査定金額が下がる可能性があります。

メンテナンス費用が発生する可能性があるのは、以下のような事例です。

  • 遠隔監視システムが導入されていない
  • 防犯対策がされていない
  • 故障している機器がある など

遠隔監視システム防犯カメラを設置したり、パワーコンディショナーを交換したりすると費用が発生しますが、高額で売却できればかかったコストをすぐに回収できます。

高額買い取りを希望する場合は、できる限りメンテナンス費用が発生しない状態にしてから太陽光発電所の査定を依頼するのがおすすめです。

太陽光発電所を売却する方法2つ

太陽光発電所を売却する方法は、以下の2つです。

  1. 仲介業者を経由して売却する
  2. 買取業者に売る

この章では、それぞれの売却方法の特徴を説明します。

仲介業者を経由して売却する

仲介業者に買い手との間に入ってもらい、太陽光発電所を売却する方法があります。

価格交渉や名義変更などの手続きを仲介業者に代行してもらえる点がメリットです。

しかし、買い手が決まるまで費用が振り込みされないため、現金化を急ぐ方にはデメリットになります。

仲介業者の利用は、売却までに時間がかかっても良い方に向いている売却方法です。

買取業者に売却する

太陽光発電の買い取りをしている業者に売却する方法もあります。

買取業者での査定金額に合意できれば、売買契約の取り交わしや名義変更などの手続きのみで、比較的短期間のうちに現金化できるのがメリットになります。

買い取りを強化していれば査定金額が高いなど、業者によって違いがあるため複数の業者から相見積もりを取って売却先を決めるのがおすすめです。

保有の太陽光発電所の売却をご検討の際は!

太陽光発電の売却価格はどう決まるか?

太陽光発電の査定で、業者が売却価格を決めるポイントは以下の2つです。

  • 売電収入額と残りのFIT期間がどれくらいか
  • 追加費用が発生する可能性があるか

売却価格がどのようにして決まるのか、具体的に解説します。

売電収入額と残りのFIT期間がどれくらいか

実際の売電収入額と残りのFIT期間の長さから、収益をシミュレーションした上で売却価格(=業者の買取金額)が決まります

たとえば、固定価格買取制度が開始された2012年に稼働した10kW以上の太陽光発電なら2023年時点で残りのFIT期間は9年、FIT単価も40円です。

売却する太陽光発電所の容量が20kWの場合、残り9年間の売電収入は次のように計算できます。

容量20kWの場合のFIT期間残り9年の売電収入シミュレーション

容量20kW×年間発電量1,000kWh×9年間×FIT単価40円7,200,000円(税別)

※税込みの場合は7,920,000円

状態が良く発電量が多い設備であれば、高額な査定金額が期待できます。

FIT制度について、仕組みや「いつ終了するのか」など詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事 固定価格買取(FIT)制度とは

追加費用が発生する可能性があるか

買取業者が太陽光発電所を査定する際、追加費用が発生すると判断するのは以下のような点です。

  • 故障している機器がある
  • こまめにメンテナンスされていない

太陽光発電所が最大限に効率良く発電できる状態で査定を依頼するのが、高額の売却価格に決まるポイントです。

太陽光発電の売買に関する注意点(税金など)

太陽光発電の売買で気を付けたいポイントは、以下の3つです。

  • 太陽光発電を売却すると税金がかかる
  • 確定申告を忘れずに行う必要がある
  • 名義変更が完了するまでの期間が長い

それぞれ、なぜ気を付ける必要があるのかを説明します。

太陽光発電設備を売却すると税金がかかる

税金イメージ画像

太陽光発電所を購入時よりも高く売却できた場合、売却益は所得とみなされ譲渡所得に分類されます。発生した売却益は、所得税の課税対象です。

太陽光発電所を売却して利益が出た場合は所得税を納税する必要があります。

税理士や仲介業者に確定申告方法を確認してください。

確定申告を忘れずに行う必要がある

太陽光発電を売却した収入は、所得に該当するため法人でも個人でも確定申告に含める必要があります

万が一、確定申告を忘れた場合は脱税を疑われる可能性も考えられます。確定申告を忘れないようにしましょう。

アスグリ編集部
アスグリ編集部

たとえば、令和5年中に太陽光発電設備を売却すると、他の所得と一緒に令和6年3/15までに納税地の所轄税務署に確定申告書を提出する必要があります。

名義変更が完了するまでの期間が長い

太陽光発電を売却して名義変更する場合、土地の登記簿の名義や事業計画認定など手続きが複雑です。

このため、長い場合だと申請から名義変更が完了するまでに半年近くかかるケースもあります。

事前に手続きを始めたいところですが、売却先が決まらないと名義変更できません。

必要な書類をあらかじめ揃えておけば、すぐに手続きを開始できてスムーズです。

太陽光発電所の売却に関するよくある質問

太陽光発電所の売却に関して、よくある質問の回答をまとめました。

Q
太陽光パネルの取り外しに費用はいくらかかる?

太陽光発電の売却では、土地を残して太陽光発電パネルなど設備部分のみの売却を検討される方もいるため、太陽光パネルの撤去費用についての質問も多いです。

2021年に経済産業省がまとめた「太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について」によると、太陽光パネルの取り外しにかかる費用は、1kWあたり3,100円が平均値とされています。
所有している太陽光発電が20kWの場合の太陽光パネル撤去費用は、62,000円が相場と計算できます。

Q
家庭用太陽光パネルを売却する方法は?

家庭用太陽光パネルの売却方法についても、太陽光発電売却の中でよくある質問です。

家庭用の場合、太陽光パネルが屋根の上に設置されているため、取り外しと買い取りの両方に対応した買い取り業者の利用がおすすめです。買い取りのみの業者を利用すると、別で解体業者への依頼も必要になりコストも手間もかかります。

Q
太陽光発電をやめたいと思ったらどうする?

太陽光発電をやめる方法は、以下の3つです。

太陽光発電をやめる方法
  • 太陽光発電設備を撤去する
  • 太陽光発電設備のみを売却する
  • 太陽光発電設備と土地を合わせて売却する

太陽光発電をやめる際に気をつけることや、クーリング・オフ制度については以下の記事を参考にしてください。

関連記事 太陽光発電やめたいと思ったら?

太陽光発電の売却は注目されている今がおすすめ

太陽光発電は中古市場が盛り上がっていることもあり、売却を検討する方が増えてきています。

発電所がある土地の環境や太陽光発電設備の状態が良く、買取後も一定の発電量が見込めると判断されれば高額での売却も期待できます。

中古物件に注目が集まっている今、太陽光発電を売却すれば、すぐに買い手が見つかる可能性が高いです。

太陽光発電の売却を検討されている方は、ぜひ以下よりご相談ください。

保有の太陽光発電所の売却をご検討なら

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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