太陽光発電やめたいと思ったら? やめる方法と注意点を解説
事前のシミュレーションよりも売電収入が少なくてローン返済が赤字のため「もう太陽光発電やめたい」と、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
投資家の方が太陽光発電をやめたいと考える理由は、売電収入が少ない点だけではありません。
本記事では、太陽光発電をやめる際に確認すべきポイントについて以下を解説します。
太陽光発電をやめる際に気を付けることが分かりますので、ぜひ最後までお読みください。
いますぐ太陽光発電所の売却をご検討なら、「太陽光発電を売却する方法」をご覧ください。売却方法、売却価格、税金等の注意点について解説します。
稼働中の太陽光発電をやめたい理由
太陽光発電を所有している方が「やめたい」と考える理由を、5つ紹介します。
- 売電収入が減ったため
- FIT期間が終了するため
- メンテナンスコストを考えていなかったため
- 近隣住民からクレームが入ってしまったため
- 太陽光発電がやばいと言われているため
なぜ「太陽光発電やめたい」となるのか、それぞれ具体的に見ていきましょう。
売電収入が減ったため
売電収入が減ってきて、事前のシミュレーションよりも実際の発電量が少ないと、「太陽光発電をやめたい」と考える理由のひとつになります。
売電収入でローンを返済する計画の場合、収支が合わなくなるためです。
シミュレーションはあくまでも投資前の理論上のデータになり、実際の発電量や売電収入と完全に一致することはありません。
特に2023年は出力制御が実施された初の電力エリアがありました。2023年4月に中部電力で、2023年6月に関西電力で初の出力制御が実施されています。
関連記事 出力制御(出力抑制)とは
ただし、シミュレーションとの差が大きい場合は、出力制御の影響のみならず発電量に影響がある項目の情報が相違している可能性が高いです。
- 日照条件
- 土地の傾斜や影の影響
- 太陽光パネルを設置する向きや角度、架台の高さ
- 太陽光パネルやパワーコンディショナの容量
- 出力制御の量
シミュレーションに設定する条件が変わると、想定する発電量も変わります。
このため、売電収入の収支が合わずに赤字などで太陽光発電をやめる理由になります。
FIT期間が終了するため
FIT期間が過ぎると電力会社への売電価格が下がるため、太陽光発電をやめたいと考える方が増えます。
そもそも固定価格買取(FIT)制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事 固定価格買取(FIT)制度とは
2023年7月現在、FIT期間終了後に東京電力に売電を継続する場合の買い取り価格は8.5円/kWhです。
2012年に10kW未満の太陽光発電を導入した場合のFIT単価は42円/kWhでした。
このように、FIT期間終了後は売電単価が5分の1近くに下がるため、太陽光発電をやめる理由になります。
なお、固定価格買取制度(FIT制度)が終了した「卒FIT」について詳しくは以下の記事をご覧ください。FIT終了後の設備の有効活用や、売電先別の買取価格について解説しています。
関連記事 卒FITとは
メンテナンスコストを考えていなかったため
太陽光発電設備が故障すると発電できず、売電収入が減るためメンテナンスが必要になります。
機器故障の主な原因は、以下のとおりです。
- 機器の初期不良や施工不良
- 落雷や地震などの自然災害
- 盗難被害
初期不良や施工不良は、メーカーや販売店による無償保証が受けられます。
機器の初期不良と施工不良以外に起因する故障は、基本的に有償でのメンテナンスになります。
稼働中の太陽光発電所の約9割が保険に加入しているため、メンテナンス費用を保険でまかなうケースがほとんどです。
月々のコスト削減などで保険に加入していないとメンテナンス費用の負担が大きく、太陽光発電をやめる理由になります。
太陽光発電のメンテナンス費用については、以下の記事で詳しく解説しています。維持費の内訳や相場について知りたい人は参考にしてください。
関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)
近隣住民からクレームが入ってしまったため
太陽光発電の設置に関して、近隣住民からクレームや建設に反対されるケースがあります。
クレームが入る主な理由は、以下のとおりです。
- 森林開発による土砂流出
- 反射光や電磁波などの影響
- 景観への影響
- 自然保護の観点から森林開発
近隣住民の理解を得ないまま太陽光発電の設置を進めて、訴訟に発展した事例もあります。
特に生活している土地でクレームが入った場合は、ご近所づきあいを優先して太陽光発電をやめたいと考える人も少なくありません。
太陽光発電がやばいと言われているため
良くない話を見たり聞いたりして、太陽光発電をやめたいと考えるケースもあります。
太陽光発電に関する良くない噂には、以下のようなものがあります。
- 太陽光発電のトラブルについて消費者センターに相談が入っている
- 太陽光発電を導入して後悔している
- 太陽光発電の7割が損などと言われている
- 太陽光パネルに有毒物質が含まれている
トラブルが起きたり、導入を後悔している方がいたりするのは事実です。たとえば、近隣住民や売買手続きにおける農地トラブルが発生することがあります。
関連記事 太陽光発電の農地トラブル
しかし、太陽光発電を購入したすべての方が当てはまるわけではありません。
太陽光発電に対して否定的な意見を耳にする機会が多いことが、やめたいと考える理由のひとつになっています。
太陽光発電をやめる3つの方法
太陽光発電をやめる場合の選択肢は、以下の3つです。
- 太陽光発電設備を撤去する
- 太陽光発電設備のみを売却する
- 太陽光発電設備と土地を合わせて売却する
そもそも「太陽光発電はやめたほうがいい」のか気になる方は、以下の記事もあわせてご覧ください。やめたほうがいい理由や後悔しないためのポイントを説明しています。
関連記事 太陽光発電はやめたほうがいい?
太陽光発電設備を撤去する
太陽光発電をやめる場合、設備の撤去後に廃棄する方法があります。
設備の撤去は、FIT期間が終了し、太陽光パネルやパワーコンディショナが経年劣化で中古品としての再利用も難しい場合に向いている方法です。
太陽光発電設備は産業廃棄物に該当するため、正しく処分しないと環境汚染の懸念があります。
発電所の規模が大きいと廃棄費用も高額になりますが、適切な処分やリサイクルの体制が整っている業者に廃棄を依頼しましょう。
太陽光パネル・発電設備の廃棄費用・処分方法については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事 太陽光パネルの廃棄費用・処分方法
太陽光発電設備のみを売却する
太陽光発電設備を廃棄するのではなく、機器のみ売却する方法もあります。
設備の売却は、機器がまだ発電できる状態で、太陽光発電をやめた後も土地を残したいとお考えの方に向いている方法です。
機器の廃棄には費用がかかりますが、売却すれば利益になる可能性もあります。
架台の撤去にも対応している買取業者なら現地まで引き取りに来てもらえるため、設備のみの売却先におすすめです。
太陽光発電設備を売却する際は、以下の記事で売却方法と高額査定のポイントを解説していますので、ご参考ください。
太陽光発電設備と土地を合わせて売却する
太陽光発電の中古物件として、設備と土地をセットで売却する方法もあります。
すでに発電実績がある中古物件は人気が高く、買い取りに対応している業者も増えています。
中古の太陽光発電所が人気の理由は、以下のとおりです。
- 発電実績を元に正確なシミュレーションができる
- 既に発電実績があるので融資を受けやすい
- FIT期間内なら新設するよりも売電単価が高い
土地を所有していると太陽光発電に利用していなくても維持管理が必要です。
管理の手間をなくしたいとお考えの方には設備とセットでの売却をおすすめします。
太陽光発電をやめるときの5つの注意点
太陽光発電をやめるときに注意したい点は、以下の5つです。
- 購入時よりも高く売却できた場合は所得税が課税される
- 売却せずに廃棄だけすると費用がかかる
- 売電収入や自家消費での電気代削減ができなくなる
- 住宅用の太陽光発電は設備のみの販売が難しい
- 屋根貸しでFIT期間内にやめる場合は違約金発生の可能性がある
それぞれ、なぜ注意が必要なのかを解説します。
購入時よりも高く売却できた場合は所得税が課税される
太陽光発電をやめる際に売却した金額が購入した金額よりも高い場合、その差額は売却益として譲渡所得に該当します。
譲渡所得は確定申告に含める必要があり、課税対象になります。
確定申告後に納税が必要なため、利益をほかの投資に回さずに残しておくのがおすすめです。
売却せずに廃棄だけすると費用がかかる
太陽光発電設備は産業廃棄物として処分するため、発電所の規模によっては高額な廃棄費用がかかります。
基礎部分を除いて太陽光パネルと架台を撤去するだけの中央値は、1kWあたり5,900円です。
機器を廃棄するのみではコストが発生しますが、売却すれば利益を得られる可能性もあります。
設備の状態に応じて廃棄と売却のどちらが適切か検討した上で、処分しましょう。
売電収入や自家消費での電気代削減ができなくなる
太陽光発電をやめると売電収入がなくなり、電気の自家消費もできません。
売電収入を電気代にあてていたり、自家消費で電気代を節約したりしていた場合は、電気代の支出が増えることになります。
電気代の削減が目的で太陽光発電を導入されている場合、やめるメリットがない可能性が高いです。
なぜ太陽光発電をやめるのか、電気代削減よりも優先事項なのかなど、じっくり検討しましょう。
住宅用の太陽光発電は設備のみの販売が難しい
家庭用の太陽光発電では、住宅やカーポートの屋根に太陽光パネルを設置しているケースが多いです。
これらを取り外して、機器だけを業者に買い取ってもらうことはできます。
中古の発電所としての売却は太陽光発電設備が住宅内のブレーカーと繋がっていることもあり、現実的ではありません。
住宅用の太陽光発電をやめたい場合は、撤去して機器のみ売却または廃棄のどちらかになります。
屋根貸しでFIT期間内にやめる場合は違約金発生の可能性がある
屋根や土地のリースで太陽光発電をしている場合、FIT期間内にやめる場合は違約金が発生する可能性があります。
契約期間満了前の途中解約で違約金が発生するかどうかは、契約書に盛り込まれています。
違約金が発生する場合、それを支払うメリットとデメリットを比較したうえで、やめるかどうかの検討が必要です。
期限内ならクーリング・オフ制度が利用できる
太陽光発電に関するさまざまなトラブルの相談が、消費者相談センターに寄せられています。
とくに、契約解除や訪問販売についての相談が多く「太陽光のクーリング・オフ期間は?」といった質問もある状況です。
この章では、太陽光発電の契約解除に関して以下の3点を解説します。
- クーリング・オフの期限
- クーリング・オフの通知方法
- クーリング・オフの期限が過ぎても契約解除ができる事例
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
クーリング・オフの期限は契約日から8日間
太陽光発電の購入を訪問販売で契約した場合は、クーリング・オフ制度を利用して無条件で契約解除できます。
クーリング・オフは強引な訪問販売や電話営業などでの契約や商品購入に対して、消費者が再考して「やはり必要ない」となった場合に、契約を解除できる制度です。
契約日から8日以内に書面で業者に申し入れをすれば、無条件で契約を解除できます。
クーリング・オフは書面での通知が必須
クーリング・オフ制度を利用する場合は、業者に対して書面での通知が必須になります。
書面に記載する項目は、以下の6つです。
- 契約日
- 商品名
- 契約金額
- 業者名
- 書面発送日
- 自身の住所・氏名
書面は普通郵便ではなく、簡易書留や特定記録郵便など配達の履歴が残る方法で郵送しましょう。
クーリング・オフの期限が過ぎても契約解除ができる事例
基本的に太陽光発電でクーリング・オフできる期限は、契約日から8日間です。
しかし、以下のような事例では太陽光発電のクーリング・オフ期間が過ぎた場合でも、契約解除の可能性があります。
- 太陽光発電を設置する土地に、水たまりができやすいなどの欠陥があると発覚した
- 契約した条件の発電量と実際の発電量に大きくズレがあり、損失が発生している
明らかに契約内容に不備がある場合などは、クーリング・オフに応じてもらえる可能性が高いです。
もし、業者に応じてもらえない場合は、消費者生活センターや弁護士への相談をおすすめします。
太陽光発電をやめる場合は売却がおすすめ
稼働中の発電所で「太陽光発電やめたい」と投資家の方が考える理由は、想定よりも発電量が少ない、FIT期間が終了したなど様々です。
太陽光発電をやめる方法は設備を撤去して廃棄または売却、中古物件として設備と土地をセットで売却のいずれかになります。
中古物件は人気が高く、買い手が見つかりやすいため太陽光発電をやめる方法として売却がおすすめです。
太陽光発電の売却を検討されている方は、ぜひ以下よりご相談ください。
保有の太陽光発電所の売却をご検討なら