農地転用は司法書士に依頼できる? 行政書士との違いは?かかる費用も紹介
「農地転用って司法書士に依頼できるの?」
「行政書士や土地家屋調査士とは何が違うの?」
農地転用の手続きの依頼先を探す際に、上記のようなことに悩んでいませんか?
この記事では、以下についてわかりやすく解説します。
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農地転用は司法書士に依頼できない
結論として、司法書士には農地転用の申請・届出を依頼できません。
なぜなら、司法書士は「登記」の専門家であり、許可申請・届出といった作業を実施できないためです。また、司法書士に農地転用を依頼できると間違われるのは、農地法第3条・5条の権利移動に伴う登記など、似通った作業を依頼できるのが理由だと言われています。
さらに「農地転用」というキーワードで検索すると司法書士の事務所やサービスがヒットするため、誤って依頼する人も多いようです。今後は司法書士に農地転用手続きを依頼しないように気を付けてください。
また農地転用について知りたい方は、以下の記事がおすすめです。手続きの手順についてわかりやすく説明しています。
関連記事 農地転用とは
農地転用は行政書士の専門業務である
もし農地転用の許可申請・届出を依頼したいのなら、役所・自治体・農業委員会への申請手続きの専門家である行政書士に依頼してください。
行政書士は農地転用に関わる書類の作成・準備はもちろん、申請手続きを所有者の代わりに動いてくれます。自分で農地転用できないとお困りなら、経験と知識が豊富な行政書士を探してみてはいかがでしょうか。
ちなみに行政書士は、個人で動いている人もいれば、事務所を持つ団体も見つかります。具体的に依頼したい人が決まっているのなら個人、動き方自体がわからない方は事務所に相談するのがおすすめです。
関連記事 行政書士に農地転用を依頼できる?
農地転用を行政書士以外に依頼するとどうなる?
農地転用を行政書士以外の人に依頼すると、トラブルの原因になるかもしれません。司法書士や個人に依頼した場合、土地家屋調査士に依頼した場合の問題を解説します。
行政書士法違反となる罰則・罰金が発生する
まず、司法書士や農地転用手続きに詳しい知人、友人などに手続きを依頼した場合、行政書士法に違反したとみなされて罰則・罰金が発生します。参考として行政書士法の罰則・罰金をまとめました。
第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
引用:e-GOV法律検索「行政書士法」
一 行政書士となる資格を有しない者で、日本行政書士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして行政書士名簿に登録させたもの
二 第十九条第一項の規定に違反した者
行政書士の資格を所有していない司法書士はもちろん、個人に依頼するのもNGです。罰則・罰金を科せられるのは、依頼者ではなく依頼を受けた本人ですが、人間関係が悪くなるケースもあるため十分に注意してください。
土地家屋調査士への農地転用依頼も違法である
よく間違われやすい依頼先として「土地家屋調査士」があります。土地家屋調査士は農地転用手続きにおける測量業務など、一部の作業に関わるため、まとめて依頼できると間違われやすいです。
土地家屋調査士についても、行政書士が独占する行政手続きを実施できません。もちろん通常だと「行政書士法に違反するためお引き受けできません」と断られますが、友人や知人が土地家屋調査士の場合には、仕方なく手続きを引き受ける方もいます。
しかし、違法行為がバレてしまうと、たとえ友人・知人であったとしても罰則・罰金を課せられるのが特徴です。土地家屋調査士への依頼はもちろん、同系列の仕事をしている友人・知人にも依頼しないように気を付けてください。
農地転用に関する司法書士・行政書士の違い
今後、農地転用関連の作業を依頼する際に依頼先を間違えないためにも、司法書士・行政書士の業務の違いや対応範囲の違いをまとめました。
司法書士は農地転用の登記申請・抵当権抹消に対応
司法書士の仕事は、農地転用の手続き前後の登記申請や抵当権の抹消です。主に次のようなことを依頼できます。
- 所有権を移転する予約としての仮登記
- 農地転用前に実施する相続登記
- 農地転用前に実施する抵当権の抹消登記
たとえば、農地を宅地に転用して売買を実施する場合、農地転用には許可を得てから移転するまでに2ヶ月ほどかかります。しかし、期間が空く影響で移転前に買主が「購入を辞める」と言い出すケースがあるため、防止策として仮登記を司法書士に依頼可能です。
また、相続や抵当権抹消の登記についても転用前の手続きが必要であり、手続きの手間が発生します。「登記する時間がない」「農地に家を建ててしまった」「登記手続きがわからない」という場合に司法書士に依頼するのがおすすめです。
行政書士は農地転用の書類作成・申請手続きに対応
行政書士の仕事は、行政等に提出する書類の作成や収集、手続き代行など豊富です。農地転用の手続きについても法律上、行政書士が独占できるように定められています。また手続き以外にも、次のことを依頼できるのが特徴です。
- 農業委員会から受けた指導に対する事務処理
- 違反転用における原状回復のサポート
- 農地法違反に伴うトラブルへの対処
行政書士は主に、行政への手続きの代行であるため、農地の手続きに関することを複数相談できます。農家の高齢化が進んでいるほか、一生に一度あるかどうかの手続きであるため、書類準備や申請方法に悩む人も少なくありません。
行政書士の事務所はもちろん、個人で活動している方もいるため、まずは手続きの不安を相談してみてはいかがでしょうか。
農地転用を行政書士に依頼する費用
行政書士に農地転用の手続きを依頼する際にかかる費用相場は、次の通りです。
依頼項目 | 費用相場 |
---|---|
農地法第4条許可申請・届出 | 8~15万円 |
農地法第5条許可申請・届出 | 8~15万円 |
農地転用では、自己転用の場合「第4条」、農地の売却・賃借による転用の場合「第5条」の手続きが必要です。また費用相場にブレがあるのは、次の理由が関係しています。
- 行政書士の実績や人気度が影響する
- 市街化区域・市街化調整区域で手続き内容が異なる
さらに詳しく依頼費用の情報を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。行政書士へ依頼するメリット・デメリット、100坪・200坪といった坪数で費用が変化しない理由も解説しています。
関連記事 行政書士に農地転用を依頼できる?
また農地法の基礎情報から知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。農地法第3・4・5条の違いをわかりやすく解説しています。
関連記事 農地法をわかりやすく解説
農地転用の登記手続き司法書士に依頼する費用
司法書士に、農地転用に関わる登記手続きを依頼する場合の費用相場をまとめました。
依頼項目 | 費用相場 |
---|---|
所有権移転の仮登記 | 5~10万円程度 |
相続登記 | 5~20万円程度 |
抵当権の抹消登記 | 1.5~2万円程度 |
登記手続きは、依頼する範囲によって金額が異なるのが特徴です。簡単な登記手続きだけであれば、数万円で依頼できますが、書類収集、作成などが加わると10万円を超えるケースもあります。
依頼単価が司法書士事務所によって異なるため、トータル費用を知りたい場合には見積もりが必須です。上記に関する依頼を予定しているのなら、見積もり相談から始めてみてはいかがでしょうか。
相談できる司法書士
以下は、当サイトが独自に選んだ事務所です。掲載許可をいただいた事務所のみ紹介しています。
司法書士法人永田町事務所 / 行政書士永田町事務所
農地転用・司法書士との関係についてよくある質問
農地転用や司法書士への依頼に関係する質問をまとめました。
- 農地転用の手続きは誰がやるの?
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農地転用の手続きは、基本的に所有者本人が実施します。しかし「手続きする知識や時間がない」とお困りの方がいるのも事実です。もし農地転用の手続きを所有者が実施できないなら、次の専門家に任せてみてはいかがでしょうか。
- 行政書士(農地転用の申請・届出の手続きを依頼できる)
- 司法書士(農地転用に関わる登記手続きを依頼できる)
行政書士・司法書士はそれぞれ依頼できる内容が異なります。「農地転用自体に困っている」のなら行政書士、「農地転用前後の登記手続きに困っている」のなら司法書士に依頼してください。
- 農地の地目変更は司法書士に代行してもらえるの?
-
農地の地目を家屋等に依頼したい場合には、司法書士ではなく土地家屋調査士に依頼しなければなりません。例えば、次のことにお悩みなら、土地家屋調査士に相談してみてください。
- 地目を何に変更するか迷っている場合
- 農地の測量を依頼したい場合
- 境界線トラブルで困っている場合
- 境界確定の要件で悩んでいる場合
ちなみに、地目変更にかかる費用は1筆(土地1つ)あたり5〜6万円だと言われています。ただし、分筆で管理している場合や、書類・申請書の作成に別途、追加費用がかかるため注意してください。
- 抵当権抹消をしなかったらどうなる?
-
司法書士に依頼できる「抵当権の抹消登記」は抹消すべきだと法律で決まっているわけではありません。しかし、抹消登記を実施しないと次のリスクがあります。
- 抵当権がついていると農地が売れにくくなる
- 引っ越した際に住所氏名変更登記の手間がかかる
たとえば、農地売買や住宅ローンの返済手続きなどで時間と手間が発生します。抹消するのは義務ではありませんが、将来の手間を考えると早めに手続きするのがおすすめです。
- 農地の抵当権抹消にかかる費用は?
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農地の抵当権抹消にかかる費用を項目ごとにまとめました。
項目 費用 抵当権抹消の登録免許税 不動産1つにつき1,000円 住所変更がある場合の登録免許税 不動産1つにつき1,000円※住民票・戸籍附票は別料金 被相続人による抵当権抹消の登録免許税(所有者が他界している場合) 「固定資産税評価額×0.4%」で計算※戸籍謄本・住民票・固定資産税評価額証明書等は別料金 司法書士への依頼 1.5~2万円程度 一般的な抵当権の抹消・住所変更の場合には、不動産1つにつき1,000円であるため、計算が簡単です。一方、所有者が他界している場合には準備する書類が増えるほか、固定資産税評価額などを調べて計算しなければなりません。
もし手続きが面倒だと感じるのなら、費用はかかりますが司法書士に依頼するのが便利です。書類作成・申請を代行してもらえるため、事前に相談してみてはいかがでしょうか。
- 抵当権抹消は自分でもできますか?
-
抵当権の抹消手続きは、所有者自身、もしくは司法書士といった専門家に依頼する方法から選択できます。
ただし抵当権抹消の手続きには、申請から1~2週間かかるほか、書類準備の手間が発生するのが面倒な点です。もし手続きの時間がない、手間を惜しんでいるという方は、司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。
農地転用の司法書士依頼についてまとめ
農地転用の手続きは司法書士ではなく、行政書士に依頼しなければなりません。行政書士以外に依頼してしまうと、行政書士法違反により罰則・罰金を課せられるため、依頼先を間違えないように気を付けてください。
また、司法書士に依頼できるのは、農地転用前後で発生する登記の手続きです。抵当権の抹消や所有権移転の手続きで役立つプロであるため、必要なタイミングで依頼してみてください。
ちなみに、司法書士事務所や法律事務所へ農地転用に関する手続きを依頼した場合、有料で手続きを請け負うのが特徴です。もし農地の売却をお考えであれば、「農地買取センター」に相談してください。
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