太陽光発電投資のよくある失敗事例9選 損を避ける成功のポイントは?

太陽光発電投資の失敗事例
阿部希

「太陽光発電投資での不労所得に興味があるけど、失敗の事例はある?」
「失敗を回避して、太陽光発電投資に成功する方法は?」

上記のように心配して、太陽光投資を始められない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

太陽光投資には多くの失敗事例があるため「太陽光発電投資はリスクが大きい」「太陽光発電は儲からない」など、ネガティブな意見もある状況です。

そこで本記事では太陽光発電投資を検討されている方向けに、失敗事例や成功するためのポイントを紹介します。

太陽光発電投資の初心者でも成功する方法が分かる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。

太陽光発電投資での9つの失敗事例

太陽光パネル

太陽光投資に失敗する原因には、以下9つのようなことがあげられます。

いずれも「太陽光発電やめたほうがいい」などと言われる原因です。

なぜ太陽光投資に失敗する原因となるのか、それぞれについて詳しく解説します。

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現地調査で見落としがあった

購入する物件選びの段階で現地調査を実施するのが一般的ですが、ここで確認するべきポイントに見落としがあると、太陽光発電投資に失敗してしまいかねません。

発電事業者の視点で事前に確認したいのは、以下の4点です。

現地調査で確認したい項目
  1. 太陽光パネルに影を作りそうな要因がないか
  2. 海や河川から距離が離れている
  3. 地盤や土質は太陽光発電の設置に適している
  4. 近隣住民が太陽光発電に反対している地域ではないか

上記以外にも、いくつか事前確認が必要な事項がありますが、工事業者など専門の知識を持った人の判断が必要になります。

業者で事前確認が必要な項目
  • 排水対策の必要性や土砂流出の懸念がないか
  • 工事の際に重機や大型トラックが現地に進入できる道路が確保されているか

水はけが悪い土地の排水対策は、行政から行うべき工事を指定されるケースもあるため、販売業者に確認しましょう。

検討している太陽光発電所が遠方にあると、現地調査を実施するのは簡単ではありません。

しかし実際に現地を訪れて、自分の目で周辺環境を確認することが太陽光投資で失敗しないためには重要です。

表面利回りしか確認していなかった

太陽光発電の投資物件を決める際、表面利回りしか確認していないと失敗の原因になります。

利回りには以下3つの種類があり、それぞれ確認できる収益率が異なります。

利回りの種類詳細
表面利回りランニングコストを考慮していない収益率
実質利回りランニングコストを含めて計算する、現実的な収益率
IRR(内部収益率)初期投資費用の回収完了までの期間を判断するための収益率

販売業者が提示する利回りは表面利回りであることが多いため、太陽光発電所の維持管理にかかるランニングコストが含まれているか確認が必要です。

太陽光発電の収支シミュレーションは、実質利回りを基に実際の収支を想定しなければ、初期費用回収完了までの期間が合わなくなり、後悔することになりかねません。

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メンテナンス費用を考慮していなかった

太陽光発電設備が良い状態を保つために、定期的なメンテナンスは欠かせない対策です。このメンテナンス費用を正しく把握できていないと、思わぬ支出が発生します。

2017年4月に改正FIT法が施行されて以降、太陽光発電の事業者に対して定期的なメンテナンス実施が義務化されました。

FIT法(固定価格買取制度)とは、再生可能エネルギーを利用した発電設備の普及を目的とした制度で、2012年7月に施行されました。
メンテナンス不足による太陽光発電所の事故が続いたため、メンテナンス義務化などの内容を盛り込んだのが、改正FIT法になります。

容量10kW未満の住宅用太陽光発電以外の産業用太陽光発電では、半年に2回のペースで定期点検が必要です。

これは太陽光発電の導入前や購入時点では改正FIT法が施行されていなかったとしても、今現在太陽光発電を所有している全ての事業者が対象になります。

いつ何にどれくらいの支出が必要か前もって把握しておくことが、太陽光発電投資での失敗を回避するために大切です。

関連記事 固定価格買取(FIT)制度とは

初期不良に気が付かなかった

設備の初期不良を発見できないまま発電を続けて、事故が発生してしまった失敗事例があります。

初期不良の原因は、機器本体施工不良の2つに分かれます。

設置後1年以内の修理・交換率は、以下の表にあるように太陽光パネル17.1%パワーコンディショナ28.9%です。

太陽光発電設備のある時点における経過年数毎の修理・交換率
出典:4.将来の社会システムの構築に向けた基礎的な検討|環境省

ほかの経過年数と比べて1年以内の修理・交換率が断トツで高いことから、初期不良による機器交換が含まれていると推測できます。

機器の初期不良であれば、メーカー保証で無償交換の対象になるため、大きな支出はありません。

施工による初期不良の事例としては、ケーブルのコネクタ破損による接続不良があります。

ところがコネクタが破損している状態でも発電するため、施工不良に気が付きにくいです。

現地が曇天だったり、発電を確認する時間が夕方だったりすると全体的に発電量が少ないため、明らかに「発電していない」症状がない限り、施工不良の判断になりません。

遠隔監視システムで日常的に発電量を確認し、全てのパワコンが同じような曲線を描いて発電しているかに注目すると施工不良に気が付きやすいでしょう。

保険に加入せず想定外の出費や損失が発生した

保険のイメージ画像

予想していなかった事故やトラブルが起きた場合に備えて保険に加入していないと、万が一のときに後悔することになりかねません。

本記事執筆時の2023年11月現在、発電事業者の保険加入は努力義務とされています。

太陽光発電は屋外環境に設置されるため、いつどのような被害を受けて機器が故障してしまうか予測しにくいです。

機器自体の故障であればメーカー保証となる可能性もありますが、盗難や自然災害による被害は投資家である発電事業者の全額負担での修繕になります。

特にケーブルの盗難被害に遭った場合は、修繕完了して再連系できるまでの期間は、売電収入が得られません

再連系には電力会社との調整が必要で、場合によっては順番待ちで数ヶ月再連系できないケースもあります。

このように売電収入が減少したり、想定外の支出で損失が発生したりする場合に備えて保険に加入していないと、太陽光発電投資に失敗する結果になります。

業者が倒産した

太陽光発電投資に失敗する理由の1つに、業者の倒産があります。中でも注意したい事例は、太陽光ファンドを利用した投資です。

太陽光ファンドとは、複数の投資家から集めた資金で太陽光発電に投資し、得た利益を出資額に応じて投資家に配当金として還元するスキームです。

関連記事 太陽光ファンドとは

倒産した一部業者が、事業継続できなくなったと判断した後に投資家からの出資金を集めていたため、太陽光ファンドを装ったポンジスキームではないかと懸念されている事例があります。

ポンジスキームとは、投資詐欺の1つです。
ファンドを装った詐欺師が投資家から出資金を集め、実際には運用していないのに配当金のように見せかけて還元し、信用した投資家からさらにお金を引き出したり、知人を紹介させたりします。
配当金の支払いが遅れ始めたと思ったら突然詐欺師が姿を消すため、そこで始めて詐欺と判明するケースが多いです。

投資詐欺の場合、出資したはずのお金はほぼ返ってきません

このため、太陽光ファンドを利用する場合は「間違いなく太陽光発電で運用している信頼できる業者か」を、見極める目が必要です。

課税される税金を把握していなかった

税金イメージ画像

太陽光発電は複数の税金で課税対象になりますが、これを全て把握していないと納付が難しくなる可能性があります。

給与所得がある個人か、個人事業主かなど投資家の立場によって、以下の表のように納付が必要な税金の種類が変わります

投資家の立場課税される税金の種類
給与所得者(個人)所得税
住民税
土地と太陽光発電設備の固定資産税
個人事業主所得税
土地と太陽光発電設備の固定資産税
償却資産税
消費税
法人法人税
法人住民税
土地と太陽光発電設備の固定資産税
償却資産税
消費税
法人事業税

土地を購入した場合は、初年度のみ不動産取得税も課税対象です。

太陽光発電投資で失敗しないためには、課税される税金の種類とおおよその納税額を把握して、資金を用意しておくことも必要です。

経費計上できると知らず節税できなかった

節税に関する情報が少ないと、太陽光発電投資で損をしてしまいかねません。

太陽光発電投資では、確定申告として税務署に所得の申告が必要です。

確定申告には、以下2つの種類があります。

確定申告の種類
  1. 青色申告
  2. 白色申告

白色申告の場合、税制上の優遇措置がないため節税対策をしたい場合には向いていません。

個人事業主としての青色申告では、太陽光発電の運用にかかる保険料やメンテナンスなどのランニングコストを経費計上できます。

青色申告で経費計上すれば、特別控除で最大65万円の控除が受けられますが、一定の条件を満たしていない場合の控除額は10万円または55万円です。

特別控除の詳細は、国税庁のホームページ「No.2072 青色申告特別控除」で確認できます。

太陽光発電投資による節税は投資家にとってメリットになるため、制度をよく理解して失敗がないようにしましょう。

消費税還付制度を知らなかった

払い過ぎた消費税が還付される制度について詳しく知らなかった、という失敗事例もあります。

消費税還付制度は、太陽光発電投資の初期費用で支払った消費税額よりも売電収入に含まれる消費税の金額が少ない場合に、差額が還付される仕組みです。

還付を受けるためには、2つの条件を満たしている必要があります。

消費税還付が適用される条件
  1. 課税事業者である
  2. 支払った消費税のほうが預かった消費税よりも多い

ここで注意したいのは、野立て太陽光発電を節税目的で所有しているサラリーマンでも、消費税還付の対象となるケースがあるということです。

所有している太陽光発電が事業規模で、一定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税還付を受けられる可能性があります。

太陽光発電投資で失敗しないためには、税制について正しい知識を持って、適切に節税対策することも重要です。

関連記事 太陽光発電の消費税還付

太陽光発電投資の失敗事例から学ぶ成功のポイント5選

紹介してきた9つの失敗事例から、太陽光発電投資で成功するために必要な対策が分かります。

太陽光発電投資で失敗しないために重要なポイントは、以下の5つです。

  1. 融資を受けるときは実質利回りを計算する
  2. 現地調査してから購入する物件を決める
  3. メンテナンス費用や税金などコストを把握しておく
  4. 保険に加入して万が一に備える
  5. 中古物件を購入する

どのような点に注意すれば失敗を回避できるのか、それぞれ詳しく説明します。

融資を受けるときは実質利回りを計算する

金融機関から融資を受けて太陽光発電投資を始める場合、表面利回りだけで判断すると失敗してしまいます。

表面利回りはコストを加味していない収益率であることが、失敗に繋がる理由です。

実質利回りは年間売電収入からコストを差し引いた金額で、収益率を計算します。

このことから、実質利回りを正しく把握した上で、投資物件を決めることが成功するためのポイントと言えます。

現地調査してから購入する物件を決める

太陽光発電購入の契約を結ぶ前に、現地調査を必ず実施しましょう。

隠れた不具合は見つけにくいためです。物件の販売開始前に業者が現地調査していますが、時期によっては不具合が見つけられていないかもしれません。

たとえば、晴天が続いた後に現地調査して何も問題がなくても、実際に工事を始めてから雨天の後に水はけが悪く池のような水たまりができることが判明した、などの事例があります。

自分自身の目で太陽光発電に適した土地かチェックしたほうが、安心して物件を決められるでしょう。

メンテナンス費用や税金などコストを把握しておく

太陽光発電投資で成功するために、メンテナンスの価格や税金で納付する金額などのコストを把握するのも重要なポイントです。

メンテナンスについては依頼する業者によって料金体系や対応範囲が異なります。

料金だけでなく実施される作業内容も確認し、雑草の除草が別料金などであればオプションまで含めた金額の見積もりを業者に依頼すると良いでしょう。

税金は種類ごとに計算方法や必要な項目が違うため、税務署に計算方法を問い合わせるなどの対応をおすすめします。

関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)

保険に加入して万が一に備える

メーカー保証の対象にならない不具合は、基本的に発電事業者負担での修理となるため、保険に加入していれば失敗を回避できます。

出力容量50kW規模の太陽光発電所であれば、保険にかかるコストの相場は0.06万円/kW/年程度です。

以下では、太陽光発電で加入を検討したい保険を紹介します。

保険の種類

太陽光発電で加入を検討したい保険と主な補償範囲を、表にまとめました。

保険の種類主な補償範囲
火災保険・企業総合保険火災のほか落雷や台風などの災害で偶然発生した事故による被害を補償
動産総合保険自然災害による太陽光発電設備の故障や盗難被害を補償
地震保険地震による太陽光発電の被害を補償
※火災保険や動産総合保険では地震被害の補償は対象外
施設賠償責任保険施工不良が原因で第三者に与えた損害を補償
損害賠償責任保険太陽光発電の事故が原因で第三者に与えた損害を補償
休業補償保険何かしらの原因で発電が停止した場合に失った売電収入を補償
出力抑制保険出力制御が実施された場合に失った売電収入を補償

保険は種類によって補償される損害の範囲が違うため、複数の保険や特約を組み合わせる必要があります。

中古物件を購入する

中古物件の購入は太陽光発電投資に成功する方法の1つで、セカンダリー市場が注目を集めています。

既に太陽光発電所として発電の実績があるため、正しい数値を基にローンの返済計画を立てられるからです。

またFIT単価が適用される物件であれば、20年間とはいかないまでも高単価な売電収入を得られます。

高額売却を狙って元の所有者が機器を交換するなど、不備を徹底してチェックした上で対策しているケースが多いため、太陽光発電の中古物件は人気が高いです。

太陽光発電投資は個人にもおすすめ

太陽光発電投資には出力制御やFIT終了後の売電収入の不安などデメリットもありますが、個人の方にもおすすめです。

個人にも太陽光発電投資をおすすめできる理由は、以下の4つです。

太陽光発電投資が個人におすすめの理由
  • 不動産投資などと比較するとローンの金利は高めだが高利回り
  • FIT適用期間中は買取価格が固定されるため長期間安定した売電収入がある
  • 所有している土地がなくても始められる
  • サラリーマンなら金融機関から融資を受けやすい

個人の方が太陽光投資で失敗しないためには、以下の点を考慮する必要があります。

考慮したいポイント
  • 土地が賃貸の場合は、卒FITまでの収支
  • 卒FIT後の利回り

賃貸物件の場合は卒FITする20年後に、設備を解体する契約になっていることもあるため、FIT適用期間中に投資費用を回収しきれるかの確認が重要です。

また土地を所有している場合でも、卒FIT後に売電収入が安定するとは限らないため、FIT終了後の利回りを想定した運用を検討する必要があります。

関連記事 卒FITとは

太陽光発電投資の失敗についてのまとめ

太陽光投資に失敗した事例がいくつも報告されており、その原因は以下9つのようなことが考えられます。

なぜ失敗してしまったのか原因が分かれば、対策を打ってから太陽光発電投資を始められるため成功できるということです。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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