太陽光発電投資

太陽光ファンドとは? 仕組み(スキーム)やインフラファンドとの違い、太陽光発電投資との比較を解説

太陽光ファンドとは
hikaru

太陽光発電投資しているが、太陽光ファンドに投資するのと違いはある?」と疑問を抱えていませんか?

または、「太陽光発電投資には興味があるが、自分で保有するには投資額1,000万円単位になるし、初めて投資するから少額からできないかな?」と考えている方には、太陽光ファンドについて理解を深めることがおすすめです。

本記事では、太陽光ファンドに関して以下を解説します。

太陽光ファンドや、そのリスク・将来性について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。

太陽光ファンドとは

太陽光パネルと投資

太陽光ファンドとは、太陽光発電所に投資するため」に「複数の投資家」から集めた資金を用いて投資する「基金、合同会社、投資組合」をまとめたもの、と認識すると良いでしょう。

「ファンド」とは

投資家から集めた資金を運用会社(ファンドマネージャー)が「金融資産」「不動産」「太陽光発電所」等の投資対象に投資運用することによる利益を、出資額に応じて投資家に還元するスキームです。

インフラファンドとの違いは?

結論として、太陽光ファンドとインフラファンドの違いは「言い方の違い」と理解しても間違いではありません。

インフラ(エネルギー発電所、鉄道、道路、通信施設)を投資対象としたファンドをインフラファンドと言います。

現在、東京証券取引所に5銘柄上場していますが、主に太陽光発電所に投資しているため、「インフラファンド=太陽光ファンド」という認識で良いでしょう。

東証上場インフラファンドの一覧は以下のとおりです(2023年5月末のデータ、情報を元に作成)。

コード銘柄名スポンサー投資口価格利回り 決算月時価総額
(百万円)
9282いちごグリーンインフラ投資法人いちご株式会社76,900円5.33%6月7,918
9284カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人カナディアン・ソーラー124,100円6.04%6月
12月
47,984
9285東京インフラ・エネルギー投資法人(株)アドバンテック
(株)クールトラスト
93,900円6.42%6月
12月
16,832
9286エネクス・インフラ投資法人伊藤忠エネクス株式会社90,800円6.61%5月
11月
37,702
9287ジャパン・インフラファンド投資法人丸紅株式会社90,100円6.65%5月
11月
33,803

しかし、インフラファンドの投資対象は「再生可能エネルギー発電所」を対象としているファンドが多いため、風力発電所、水力発電所、バイオマス発電所も投資対象になります。

太陽光ファンドの種類

太陽光ファンドは、以下の2種類に大別されます。

太陽光ファンドの種類
  1. 私募ファンド」:少数の投資家(50人未満)だけに募集・販売するファンド
  2. 上場インフラファンド」:東京証券取引所(東証)に上場しているファンド

どちらも、複数の投資家が出資して太陽光発電所を購入し、ファンドを通して収益を享受する点では同じですが、「流動性」「ファンド規模」「税金面」の3点での違いがあります。

私募ファンド

「私募ファンド」とは、証券取引所に上場されておらず、機関投資家や特定の投資家だけを対象とした私的な募集(49名以下)によって販売されるファンドを指します。

私募太陽光ファンドは一般的に投資期間が定められており、売却しようとしても、応じる買い手がいなければ換金できないケースがほとんどです。

ファンド価格も日々公表されていません。

以上から、私募太陽光ファンドは購入する前に入念に投資内容・運用会社について調べる必要があり、運用知識の高い方向けの商品だと言えます。

上場インフラファンド

「上場インフラファンド」とは、東京証券取引所に上場しており取引所が定める上場規定をクリアしたファンドを指します。

上場インフラファンドは証券会社を通じて売買が可能です。

上場太陽光ファンド(インフラファンド)は、東京証券取引所が定めた審査基準をクリアして上場しているため、東京証券取引所のフィルターをクリアしている安心感があります。

上場基準も純資産で10億円以上、資産規模で50億円以上です。

日本の営業日では毎日東京証券取引所での売買価格が公表されており、流動性もあります。

また開示義務があるため、太陽光投資発電所一覧や収益等についても開示されており、投資しやすい商品だと言えます。

太陽光ファンドの仕組み(スキーム)

太陽光パネルと投資

太陽光ファンドの仕組みは、以下のようなスキームです。

  1. 投資家から資金を集める
  2. 太陽光発電所に投資する
  3. 太陽光発電所を保有・運営する
  4. 売電から生まれた収益を投資家に分配する

どの発電所を購入するか・売却するかなどは、運用会社のファンドマネージャーが指示します。

投資家は購入する発電所の選定や、草刈り、固定資産税の支払い等のオペレーター業務をする必要はありません。

太陽光ファンド(インフラファンド)のメリット

太陽光ファンドのメリットとしては、以下が挙げられます。

メリット
  • 少額から投資できる
  • 流動性が高い(好きなタイミングで売買できる)
  • 大規模な分散された太陽光発電所ポートフォリオに投資できる
  • 投資内容が開示されている
  • 安定的な利回り
  • スポンサーがついてるケースが多く、優良な物件が多い
  • ファンド内で借入しているが、金利が安い
  • 嘘、詐欺の心配がない

とくに大きな太陽光ファンドのメリットは、少額から投資できる点です。

代表的なインフラファンド銘柄「カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)」の保有太陽光発電所は取得価格約800億円(25件、パネル出力184MW)です。

この大規模な太陽光発電所ポートフォリオに、1口あたり価格12万4,300円(2023年6月22日終値)で投資できるのです。

また、東京証券取引所では、好きなタイミングで売買できる流動性もメリットです。

運用会社からはIRニュース、四半期決算、決算説明会があり透明性があると言えます。

太陽光ファンド(インフラファンド)のデメリットとリスク

太陽光ファンドのデメリットやリスクとしては、以下のような点が挙げられます。

デメリット
  • 自己の判断で太陽光発電所の選別ができない
  • 間接保有のため、減価償却による節税、タックスコントロールができない
  • レバレッジを最大限かけられない
  • ファンド法人税実質非課税のルールが上場から20年と時限ルールになっている

ファンド投資のデメリットは、プロが運用しているとはいえ、自分自身の判断で実物の太陽光発電所を購入できないことです。

たとえば、直接保有による節税やタックスコントロールができません。

インフラファンドはREITと比較されることが多いですが、導管性(税制優遇措置。ファンドにかかる法人税が実質非課税になる制度)が上場から20年に限定されている点はルールが不透明感です。

また、直接保有であれば投資家の属性にもよりますが、間接保有のインフラファンドはレバレッジを最大限かけられない点がデメリットとして考えられます。

太陽光発電所投資と太陽光ファンド投資、どちらが良いか

結論としては、太陽光ファンドの方が、情報開示されている上に少額投資可能ではじめやすいです。

まずは「太陽光ファンド(上場インフラファンド)」の開示情報からの情報収集からスタートするのが良いでしょう。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、以降で比較・解説します。

(※ 本記事での「太陽光ファンド」は東証に上場しているインフラファンドを指します)

関連記事 太陽光発電投資とは?

太陽光発電投資・太陽光ファンド(上場インフラファンド・私募ファンド)の比較表

まず、「太陽光発電投資」「上場インフラファンド」「私募ファンド」の3つを比較すると以下のようになります。

太陽光発電投資太陽光ファンド投資
(上場インフラファンド)
太陽光ファンド
(私募ファンド)
投資先特定の太陽光発電所複数の太陽光発電所特定or複数の太陽光発電所
所有権直接保有間接保有間接保有
投資額1,000万円〜数十億円1口:10万円〜1口:1,000万円以上
流動性流動性が低いが、売却することは投資家(保有者)の判断で売却可能流動性高い。
東京証券取引所で売買可能。
流動性低い。
原則換金できないファンドが多い。
税金
(個人の場合)
・売電収入:事業所得として総合課税。
売却益は譲渡所得課税。
【太陽光設備】
・5年未満:全額が課税対象
・5年以上:1/2が課税対象
・分配金:分離課税20.315%(復興特別所得税含む)
・譲渡所得:分離課税20.315%(復興特別所得税含む)
※ 上場株式所得との損益通算可能
・分配金:総合課税
・買取(譲渡):分離課税20.315%
メリット・投資家の目利きで投資判断できる
・銀行借入等のファイナンスアレンジも可能
・少額から投資可能
・流動性が高い
・情報開示されている
・プロの目利きで投資を任せられる
・プロの目利きで投資を任せられる
デメリット・投資金額1,000万円以上の投資になる
・分散投資するには、大きな投資金が必要になる
・個別の発電所売買の投資判断ができない・情報開示が限定的
・流動性が低い
・個別の発電所売買の投資判断ができない

上記をまとめると、太陽光ファンド・太陽光発電投資それぞれのメリットは以下のとおり。

比較ポイント
  • 太陽光ファンドの方が投資しやすい
  • 太陽光発電所投資の現物投資はリターン最大化を狙える

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

太陽光ファンドの方が投資しやすい

太陽光発電所投資と太陽光ファンドを比べると、太陽光ファンドの方が容易に投資できます。

証券会社に口座があれば、少額で思い立った日から売買可能です。

また、以下のような情報は、すべて開示されています。

  • どのような発電所に投資しているか?
  • どのくらいのポートフォリオ規模で?
  • スポンサーの会社は?
  • 予想利回り(予想分配金額)は?
  • 配当月はいつか?

投資前でも、各ファンドのホームページで決算説明資料を読めます。

運用のプロがどのように運用しているかを学ぶことは、直接保有の太陽光発電所投資をする上でも大切です。

まずは「太陽光ファンド」を勉強して、同時に「太陽光発電所」の物件探しをするのも良いかもしれません。

太陽光発電所投資の現物投資はリターンの最大化を狙える

太陽光発電所投資の現物投資は、不動産投資と同じく、銀行借入によるレバレッジをかけることにより投資金額に対するリターンの最大化を狙えます。

また、投資家自身が投資売買の判断や複数購入することによるタックスコントロール、リスクコントロールも可能です。

しかしながら、現物の「太陽光発電所投資」の購入はリスクが高いと言えます。

不動産取引のように「宅地建物取引業法」のようなルールがなく、嘘(詐欺)のような案件もあります。

保有期間中は、メンテナンスや固定資産税の支払い等の業務も発生します。

関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)

土地が賃貸案件の場合は「辞めた後の土地」の契約内容や、撤去費用の積み立ても必要になってきます。

太陽光ファンドのまとめと将来性

太陽光ファンドのまとめは以下のとおりです。

太陽光ファンドの仕組み・メリットデメリットまとめ
  • 「太陽光ファンド」と「インフラファンド」は言い方の違い
  • インフラファンドとは、インフラ(エネルギー発電所、鉄道、道路、通信施設)を投資対象としたファンド
  • 東京証券取引所の上場6銘柄は、主に太陽光発電所に投資している
  • 太陽光ファンドのメリットは少額から投資できること
  • 太陽光ファンドのデメリットは、直接保有による節税などができないこと

太陽光ファンド(上場インフラファンド)では、投資家へ安定した収益分配を実現するために、新規に建設する資産ではなく、「すでに完成・稼働しており(セカンダリー案件)、今後も継続的に安定的な収益が見込める発電所」を投資対象としています。

財務基準や流動性基準をクリアし、情報開示も十分になされた、期待のSDGs投資のひとつです。

しかしながら、上場インフラファンドの東証上場本数は5本にとどまっており、上場REITと比較すると物足りない規模感です。

  • 上場インフラファンド:時価総額合計約1,442億円
  • 上場REIT:時価総額合計約15.8兆円

※ 2023年5月末データ

再生可能エネルギー投資は、まだまだ成長過程です。太陽光ファンドは太陽発電所投資の受け皿として考えても良いかもしれません。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
記事URLをコピーしました