太陽光発電の農地トラブルまとめ 設置・土地売却時の注意点
太陽光発電所を農地で行う際には、農地に特有のトラブルが発生してしまうケースがあります。
「農地での太陽光発電ではどのようなトラブルが発生するの?」「農地を太陽光発電用地として売却する際には、何に注意すればよいのか?」などとお考えの方がいるのではないでしょうか。
この記事では、以下について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、農地で太陽光発電をする際の参考にしてください。
使わなくなった農地を再生・活用するには、太陽光発電が適しています。当サイトでは、「農地で太陽光発電する方法」を解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてください。
農地での太陽光発電はトラブルが起こりやすい
住宅屋根上に太陽光パネルを設置する場合に比べて、農地(田んぼや畑)で太陽光発電をする場合にはトラブルが発生する可能性が高まります。農地に太陽光発電所という工作物を建設するためです。
たとえば、太陽光発電設備を設置したことにより、近隣農地に日陰ができてしまったり、トラクターが通る通路がなくなってしまったりすることもあります。
太陽光発電所を設置することによる、近隣住民とのトラブルも多いです。
太陽光発電設置前のトラブル | 太陽光発電設置後のトラブル |
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・近隣住民とのトラブル ・農地売買の手続きが煩雑 ・不動産会社が消極的 ・停止条件付売買 | ・太陽光パネルの反射光への苦情 ・太陽光発電設備による事故 ・農作物の生育への悪影響 |
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農地で太陽光発電所を設置する場合は、トラブルを起こさないように注意して進めなければなりません。
太陽光発電設置前の農地のトラブル
太陽光発電設置前の農地のトラブルとして、次の4点について解説します。
- 近隣住民とのトラブル
- 農地売買の手続きが煩雑
- 不動産会社が消極的
- 停止条件付売買
近隣住民とのトラブル
太陽光発電設置前の農地では、近隣住民とのトラブルが起こることがあります。農村地域においては、隣地からの理解・承諾を得なければ、太陽光発電設備を設置することは難しいです。
たとえば、「近隣の農地に日照などの悪影響を及ぼすのではないか?」「周辺の環境が悪化してしまうのではないか?」などという意見を持つ人が、近隣住民の中にいるケースもあります。
しかし、太陽光発電所を設置する農地の多くは、使っていない農地や荒廃地(耕作放棄地)である場合が多いです。
関連記事 耕作放棄地とは? 問題と解決策
耕作放棄地の場合、草刈りできずに放置していると、荒廃地化して害虫の発生・野生動物の侵入・ゴミの不法投棄問題などの問題が発生します。太陽光発電所を設置すると、これらの問題の解決策にもなり、近隣住民に喜ばれます。
近隣住民とのトラブルが発生しないように、太陽光発電所の建設計画段階で丁寧に説明して、安心してもらわなければなりません。
農地売買の手続きが煩雑
農地売買の手続きが煩雑なため、売買契約から完了までに時間がかかることが太陽光発電設置前の農地のトラブルのひとつです。
なぜなら、農地に太陽光発電所を設置する為には「農地転用手続き許可」「電力会社への許可申請」「市区町村のガイドライン手続き」等の手続きをする必要があるためです。
不動産会社が消極的
太陽光発電の農地売買に関して、不動産会社が消極的であることも、農地のトラブルのひとつです。多くの不動産会社は、太陽光発電所用地としての農地はどのような条件のものがよいかどうか等の知識がないためです。
不動産会社が消極的である理由は、売買契約から引渡しまでに時間がかかり、仲介手数料がなかなか回収できない点にもあります。
太陽光用地としての売却は、太陽光発電所用地のプロに相談するのがよいでしょう。
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停止条件付売買
太陽光発電の農地の売買契約には、停止条件付売買契約が付帯していることが一般的です。太陽光発電事業の許可が取得できなかった場合などに、売買契約が無効になるため、トラブルを招きます。
たとえば、農地の売買契約を結んだのにもかかわらず、契約が完了しないケースがあります。理由は、停止条件にある「農地転用手続き許可」「電力会社からの接続許可」「市町村のガイドライン許可」等の問題が発生した場合です。
どのような場合に停止条件に該当するかどうか、手続きスケジュール等については契約前に事前に確認しておくことで、トラブルを回避できます。また、手続きの進捗状況を確認することも重要です。
停止条件付売買は、売却したと考えていた売主にとっては、「そんなはずではなかった」という事態を招き、トラブルの原因となってしまいます。十分に条件を確認して太陽光発電所用地のプロに相談するのがよいでしょう。
太陽光発電設置後の農地のトラブル
太陽光発電設置後の農地のトラブルとして、次の3点について解説します。
- 太陽光パネルの反射光への苦情
- 太陽光発電設備による事故
- 農作物の生育への悪影響
太陽光パネルの反射光への苦情
太陽光パネルの反射光への苦情は、太陽光発電設置後の農地のトラブルの代表的なものです。
とくに、「北向き」に設置した太陽光パネルは近隣の建物に反射するため注意してください。一方、南向きに設置した太陽光パネルの反射光は上空に逃げるため、光害になりにくいと言われています。
太陽光パネルの設置角度や向きについても、工事会社から十分に説明を受けることが必要です。
太陽光発電設備による事故
農地に設置した太陽光発電設備で、人身事故など重大なトラブルが起こる可能性もあります。太陽光発電設備は、感電の危険があるためです。人目につきづらい農地において、不用意な侵入も事故の原因となりかねません。
すべての太陽光発電所にはフェンスを設置する義務があるため、発電所内に入られることはないでしょうが、フェンスが設置されていない太陽光発電所も散見されます。
フェンスがない場合、子どもたちが誤って発電所内に入り、支柱、太陽光パネルなどの設備に衝突したり、設備に接触して感電したりする危険性があります。
電線が損傷して銅線が剥き出しになっていなければ感電はしません。しかし、設置後のトラブルを回避するために、丁寧な施工と定期メンテナンスが必要になります。
具体的に、太陽光発電のメンテナンスで実施する項目や、費用内訳・相場については以下の記事で解説しています。
関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)
農作物の生育への悪影響
農地に太陽光発電設備を設置すると発生するトラブルとして、農作物の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。太陽光パネルを設置したことによって日陰ができ、近隣農地が日照不足になってしまうためです。
事前に、近隣農家に十分な説明をして、理解を得た上で太陽光発電設備を設置しましょう。また、高さを調整したり、空間を開けたりすることによって、日照不足の影響を減らせるため、配慮することが重要です。
なお昨今は、農業をしながら太陽光発電もする「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」も注目されています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連記事 ソーラーシェアリングとは?
太陽光発電の農地・土地売却に関するトラブル
太陽光発電の農地・土地売却に関するトラブルは、次の3点です。
- 土地の引き渡しに時間がかかる
- 停止条件付売買により売買がキャンセルになる
- 悪質な太陽光発電事業者がいる
それぞれについて詳しく解説しますので、土地売却時にトラブルを発生させないための参考にしてください。
関連記事 田んぼを売るには? 農地売却の方法
土地の引き渡しに時間がかかる
土地の引き渡しに時間がかかることは、太陽光発電の農地・土地売却に関するトラブルのひとつです。
具体的には、「農地転用手続き許可」「電力会社からの接続許可」「市町村のガイドライン許可」が必要になるため土地の引き渡しに時間がかかります。
土地の引き渡しに時間がかかると、手続きをしている間の草刈り作業や固定資産税の支払いなどが発生するため、トラブルになりがちです。
停止条件付売買により売買がキャンセルになる
停止条件付売買により売買がキャンセルになると、トラブルになります。売り手は農地の売却を前提として計画を進めているためです。
たとえば、売買契約を結んだ後に、太陽光発電事業の許可が降りなかった場合、停止条件付売買契約であれば、契約は白紙に戻されてしまいます。
農地の引き渡し前に取引が解消されてしまうと、売却したつもりでいた売主が納得できず、トラブルとなる可能性があります。
通常は、太陽光発電事業者も「農地転用が可能な農地かどうか」等を確認してから契約します。しかしながら、急速に太陽光発電所が設置されたことにより、電力会社の系統が空いておらず、系統増強に時間がかかることもあります。
事前に停止条件を確認して契約をすることと、許可手続きの進捗状況を確認することによりトラブルを回避できます。
悪質な太陽光発電用地の買取業者がいる
悪質な太陽光発電用地の買取業者にあたってしまうと、農地・土地売却に関するトラブルになりがちです。
正当な価格で売買がなされないことや、契約したにもかかわらず、農地転用手続きや電力申請手続きを行わず契約を放置している会社もあります。
悪質な太陽光発電事業者との契約を避けるために、契約条件をしっかりと確認したり、行政手続きや電力申請の許可のスケジュールを聞いたりすることも重要です。
【トラブルをさけるために】農地を太陽光発電用地として売却する際の注意点
農地を太陽光発電所用地として売却する際に、トラブルをさけるために注意したほうがよいポイントを紹介します。
- 太陽光発電所用地に向いている農地か
- 農地転用が可能か
- 売買契約書類に疑問点はないか
太陽光発電に向いている農地か
農地を太陽光発電用地として売却する際に、太陽光発電に向いている農地かどうかを確認しておくことをおすすめします。
太陽光発電に向いている農地かどうか、注目すべきポイントは次の通りです。
- 日当たりが良く日照時間が十分にあるか
- 面積は十分にあるか
- 傾斜や変形のない土地か
- 電柱が近くにあるか
- 近隣住民の理解が得られるか
太陽光発電に向いている農地か確認した上で売却を進めて、トラブルにならないようにしましょう。
なお、農地で太陽光発電を行う際のポイントや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事 農地で太陽光発電を行うには?
農地転用が可能か
トラブルをさけるためには、農地転用が可能な土地かどうかも重要なポイントです。農地転用ができなければ、太陽光発電を行えないためです。
野立ての太陽光発電所が設置可能な農地は、農振白地地域、農業振興地域外の2種、3種農地になります。
売却を進めていたのにもかかわらず、「農地転用ができずに売却できない」というトラブルにならないために、あらかじめ農地転用が可能な土地かどうかを確認しておきましょう。
なお、農地転用が可能かどうかをみるには、まず「農地種別」を確認する必要があります。農地転用について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
関連記事 農地転用とは
農地転用できる土地とできない土地の違いについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事 農地転用できない土地とは
売買契約書類に疑問点はないか
売買契約書類に疑問点はないかを確認しておくことも、トラブルをさけるためのポイントです。自分が売主であった場合に、損失を被るケースがあるためです。
たとえば、売買契約に停止条件付売買が付帯していると、太陽光発電事業の許可が下りなかった場合に、取引が解消されてしまいます。
また、売買契約後、土地の引渡しまでの期間が一定程度経過した場合には、契約を解除するなどの特約も考えられます。
トラブルに発展しないように、必要に応じて弁護士などのサポートも受けながら、売買契約書類をしっかりと確認しておきましょう。
良心的な太陽光発電事業者か
良心的な太陽光発電事業者かを判断することも、トラブルをさけるためには重要です。悪質な事業者にあたってしまうと、不当に安い価格での買い取りや、不利な条件での売買契約などのリスク・被害が発生するためです。
複数の事業者に相見積もりをしたり、評判や実績を調べたりして、良心的な太陽光発電事業者かを確認することをおすすめします。
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太陽光発電の農地トラブルに関するよくある質問
太陽光発電の農地トラブルに関して、よくある質問と回答をまとめました。
- 農地に太陽光発電を設置する問題点は?
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農地に太陽光発電を設置する問題点は次のとおりです。
- 近隣農地に日陰ができたり、太陽光パネルの反射光への苦情
- 太陽光発電設備による事故
- 農地売買の手続きが煩雑
- 太陽光発電所の近隣トラブル事例は?
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太陽光発電所の近隣トラブル事例には、次のようなものがあります。
- 台風により太陽光パネルが吹き飛ばされ、近隣の住宅に衝突した
- 近隣の子どもが農地に入ってきて、太陽光パネルにぶつかって怪我をした
- 太陽光パネルによって生じた日陰の影響で、隣接する農家の作物の収量が減った
- 売買契約を結び、土地が売却できるのを1年以上待っていたのに、結局、停止条件付売買により契約が無効になってしまった
- 太陽光発電をやめた後の土地はどうなる?
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事業として太陽光発電を行っていた場合、太陽光発電をやめた後の選択肢は次のとおりです。
- 土地・太陽光発電設備を売却もしくは貸し出す
- 太陽光発電設備を撤去して土地を貸し出す
- 太陽光発電は続けるが事業として売電はせず自家消費しながら別事業をする
太陽光発電をやめた後の土地について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連記事 太陽光発電をやめた後の土地はどうなる?
- 農地での太陽光発電の周囲への影響は?
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農地での太陽光発電の周囲への影響として想定されることは、以下のとおりです。
- 太陽光パネルの反射による光害が発生する
- 雑草対策を行わない場合には、隣接農地に迷惑がかかる
- 耕作放棄地であった場合には草刈りなどがなされ、環境は良好になるケースもある
- 強風により太陽光パネルが吹き飛ぶと近隣農地・住宅に迷惑がかかる
太陽光発電の農地トラブル まとめ
太陽光発電設置前の農地トラブルには、近隣住民とのトラブル、農地売買の手続きが煩雑、不動産会社が消極的、停止条件付売買などがあります。
また、太陽光発電設置後の農地トラブルは、太陽光パネルの反射光への苦情、太陽光発電設備による事故、農作物の生育に悪影響を及ぼすことなどです。可能な限りトラブルを発生させないように対策を講じましょう。
とくに、太陽光発電の農地・土地売却に関してはトラブルが発生しやすいため、注意しなければなりません。良心的な太陽光発電事業者を選び農地の売却を進めましょう。
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