太陽光発電5kWの発電シミュレーション! 電気代の削減効果がどれくらいか検証

太陽光発電5kWの発電シミュレーション
阿部希

「太陽光発電の容量が5kWだと、実際どれくらい発電するの?」
「5kWの太陽光発電があったら、電気代はどれだけ抑えられる?」

上記のように、太陽光発電の発電量や電気代の削減効果を疑問に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

燃料費高騰の影響による電気料金の値上がりが続いている昨今、電気代を削減する手段として太陽光発電に関心が集まっています。

しかし、住宅用太陽光発電は設備規模が小さいとはいえ高額なため、どれくらいの経済効果になるか疑問に思う方が少なくないのが現状です。

本記事では、住宅用太陽光発電で容量が5kWの場合のシミュレーションや平均的な初期費用、設置に必要な面積について解説します。

得られる電気代削減効果がどれくらいかも検証していますので、ぜひ導入検討の参考にしてください。

当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。

太陽光発電(容量5kW)の基本情報

屋根の上のソーラーパネル

太陽光発電システムの設置を検討する際に押さえておきたい基本情報は、以下の2つです。

  • 設置に必要な面積
  • 平均的な初期費用

以下では容量5kWの場合を例に、太陽光発電の基本情報について詳しく説明します。

設置に必要な面積

容量5kWの太陽光発電システム導入には、30㎡程度のパネルを設置するための面積が自宅屋根に必要です。

メーカーや型式で太陽光パネルのサイズが変わりますが、以下のように条件を仮定して5kWに必要なパネル枚数と面積を計算してみます。

太陽光パネルの仮定条件
  • 出力:250W/枚
  • サイズ:長さ1.5m、幅1m

この条件に当てはめると、5kWに必要なパネル枚数は「20枚=5,000W(5kW)÷250W/枚」と計算できます。また、パネル1枚あたりの面積は「1.5㎡=1.5m×1m」です。

パネル枚数と面積の計算結果から、太陽光発電5kWの設置には「30㎡=20枚×1.5㎡/枚」の面積が必要と分かります。建て坪に置き換えると30㎡は「9.075坪」です。

ただし、実際には架台設置の場所を考慮する必要があるため、9.075坪より広い建て坪が必要になります。

平均的な初期費用

住宅用太陽光発電システムの初期費用は、28.4万円/kWが平均です。初期費用には、以下5つの項目を含みます。

  • 太陽光パネル(太陽電池モジュール、ソーラーパネル)
  • パワーコンディショナー
  • 架台
  • 工事費(電気工事を含む)
  • その他(接続費や設計費など)

太陽光発電システムの容量が5kWでは、一般的な初期費用の価格は「142万円=5kW×28.4万円/kW」と計算できます。

ただし、屋根の形状や材質などの諸条件によって、追加工事の可能性がある点に注意が必要です。例えば築年数が長く屋根の防水工事や耐震性能の補強が必要な場合は、工事金額が上がります。

リフォームと併せて既存住宅への太陽光発電導入を検討する際は、屋根の状態確認を含めた見積もり依頼が必須です。

参考:太陽光発電について|経済産業省 資源エネルギー庁

太陽光発電(容量5kW)の発電シミュレーション

太陽光発電の発電シミュレーションに必要な情報は、以下の3つです。

発電シミュレーションに必要な情報
  • 発電設備の規模(太陽光パネルの出力)
  • 太陽光発電を設置する土地の平均日射量
  • 補正係数(パワコンによる電気の変換ロスなどを差し引いた割合)

平均日射量は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の日射量データベース閲覧システムで抽出できます。

補正係数は、表示ガイドラインで設備容量の70〜80%と定められており、発電量を多く見積もり過ぎないよう70%で試算します。

1日あたりの発電量を算出する計算式は、以下のとおりです。

発電設備の規模(kW) × 平均日射量(kWh/㎡・day) × 補正係数(%)

以下では、具体例を用いて発電量をシミュレーションしていきます。

太陽光発電の容量が5kWの発電量は1日あたり約13.2kWh

太陽光パネルの出力合計が5kW、年間の平均日射量3.76kWh/㎡・dayの土地に設置する前提で、発電量をシミュレーションしてみましょう。

発電シミュレーションの計算式にこれらの条件を当てはめると、以下のようになります。

仮定した条件での1日あたりの発電量
発電設備の規模(kW) × 平均日射量(kWh/㎡・day) × 補正係数(%) = 発電量
5kW × 3.76kWh/㎡・day × 70% = 13.2kWh/日

仮定した条件において5kWの太陽光発電システムで得られる発電量は、1日あたり13.2kWhというシミュレーション結果です。

実際には、自宅がある地域の平均日射量や周辺環境、パワコンの変換効率による補正係数の割合で数値が変わります。

自宅に置き換えた場合の詳しい発電量を知りたい場合は、シミュレーションの業者への依頼が必要です。

太陽光発電(容量3kW)の1日の発電量と比較

5kWでのシミュレーションと同じ仮定の条件で、容量3kWに置き換えると1日の発電量は以下のように計算できます。

仮定した条件での1日あたりの発電量
発電設備の規模(kW) × 平均日射量(kWh/㎡・day) × 補正係数(%) = 発電量
3kW × 3.76kWh/㎡・day × 70% = 7.9kWh/日

太陽光発電システムの容量が5kWの場合、1日あたりの発電量は13.2kWhです。容量が2kW下がると、発電量が4割程度少なくなると分かります。

大家族で昼間の電力消費量が多いケースなど自家消費できる電力を増やしたい家庭には、より大きい発電設備の導入が必要です。

太陽光発電の容量3kWについては、以下の記事で詳しく解説していますので併せて参考にしてください。

関連記事 太陽光発電3kWの発電量や設置費用

太陽光発電(容量4kW)の1日の発電量と比較

5kW、3kWと同様の補正係数の割合と平均日射量で、容量4kWの発電量をシミュレーションしてみます。

仮定した条件での1日あたりの発電量
発電設備の規模(kW) × 平均日射量(kWh/㎡・day) × 補正係数(%) = 発電量
4kW × 3.76kWh/㎡・day × 補正係数70% = 10.5kWh/日

同じ条件下でも5kWの太陽光発電では13.2kWh/日の発電量、4kWでは10.5kWh/日と、わずか2.7kWhの差です。

しかし、年間で見ると985.5kWhも発電量に差があり、削減できる電気代の額も大きく変わります。

太陽光発電の容量4kWについては、以下の記事で詳しく解説していますので併せて参考にしてください。

関連記事 太陽光発電4kWの発電量や設置費用

太陽光発電(容量5kW)でどれくらい電気代を削減できるか検証

電気料金のイメージ

5kWの太陽光発電で実際に削減できる電気代の金額がいくらになるか、以下2つのケースに分けて検証します。

  • すべて自家消費する場合
  • 余剰売電する場合

それぞれのパターンで、どれくらいどれくらい電気代の削減になるか、順に見ていきましょう。

すべて自家消費する場合

5kWの太陽光発電で得られる電力を、100%自家消費すると仮定して電気代の削減額を検証してみましょう。

発電量が約13.2kWh/日なら、容量5kWの太陽光発電があれば1ヶ月あたり約396kWhの電力を自家消費できます。

契約中の電気料金プランを、以下のように仮定します。

契約中の電気料金プラン
  • 東京電力のスタンダードLプラン
  • 契約容量6kVA

東京電力のシミュレーションによると3月の電力消費量が396kWhの場合、1年あたりの電気代は146,928円(税込)です。

このことから、5kWの太陽光発電で発電した電気をすべて自家消費する場合、年間で約14.6万円の電気代を節約できると言えます。

余剰売電する場合

太陽光発電システムの容量が5kWで、電力会社に余剰売電する場合の電気代削減額を検証します。

1ヶ月あたりの発電量が約396kWhのうち3割を自家消費と仮定すると、電力量は以下のようになります。

  • 自家消費:119kWh=396kWh×30%
  • 余剰売電:277kWh=396kWh×70%

電気料金プランが東京電力のスタンダードLで容量6kVAの場合、東京電力のシミュレーションによると年間の電気代削減額は54,240円(税込)です。

また、FIT制度を利用する際の買取価格が17.6円(税込)の場合、太陽光発電の容量5kWで得られる売電収入は58,502円(税込)/年です。

売電収入をすべて電気代の支払いに充てると、自家消費分と合わせて年間の電気代削減額は112,742円(税込)になります。

電気料金が値上がりしFIT単価が下がっている現在では、自家消費量が多いほうが高い電気代削減効果を得られます。

関連記事 固定価格買取(FIT)制度とは

太陽光発電(容量5kW)の電力でまかなえる家電製品

実際に容量5kWの太陽光発電を導入して家電製品がどれくらい使えるかは、電力の消費量で変わります

5kWの太陽光発電で得られる発電量は約13.2kWh/日のため、消費電力量の合計が13,200Wよりも低ければどのような組み合わせでも使える計算です。

以下の図は、一般的な家電製品の電力消費量を表したものです。

電化製品の消費電力一覧
出典:“見える化”のすすめ 家電製品の消費電力(W)はどのくらい?|クール・ネット東京

4人家族で小学生の子どもが2人いる家庭の休日の過ごし方を例に、5kWの太陽光発電で使える家電製品を考えてみます。

家族の休日の過ごし方
  • お母さんが朝食の準備をしている
  • お父さんはパソコンで調べものをしている
  • 子どもたちはテレビを見ている

上記のようなシーンで使用する家電製品と消費電力は、以下のようになります。

家電製品消費電力量
IHクッキングヒーター1口あたり3,000W
オーブントースター1,000W
電気ポット800W
エアコン6畳用450W
液晶テレビ50W
パソコン45W

これらの家電製品を同時に使用しても、消費電力量の合計は5,345Wです。IHクッキングヒーター2口で同時に調理しても、すべて太陽光発電の電気で自家消費できます。

同時に洗濯機を回したり、掃除機をかけたりしても電力にはまだ余剰があるため、5kWの太陽光発電の電気は大容量なことが分かります。

太陽光発電(容量5kW)と併せる蓄電池の容量と価格の目安

太陽光発電は蓄電システムを組み合わせることで、電気代削減効果を高められます。以下では5kWの太陽光発電に合う蓄電池の容量と価格の目安を紹介します。

容量の目安

蓄電池の最適な容量は、導入する目的や用途に応じて変わります。太陽光発電の容量が同じ5kWでも昼間に自家消費する電力量によって、余剰電力量が変動するためです。

5kWの太陽光発電の1日あたりの発電量は約13.2kWhのため、日中に自家消費せず溜める場合、13kWh前後の蓄電容量が必要です。

一方で、7割の電力を自家消費して3割を溜めたい場合、余剰電力は3.96kWhになり4kWh前後の蓄電容量があればじゅうぶんと考えられます。

蓄電池は容量が大きくなると、価格が高くなります。溜めたい電力量が少ないのに、容量が大きい蓄電池を購入すると、蓄電できない分が損失になりかねません。

ライフスタイルに合わせた電気の使い方を考えて、最適な蓄電池の容量を選ぶことが重要です。

価格の目安

2022年度の家庭用蓄電システムの費用平均は、13.9万円/kWhです。この費用に含まれる項目は、以下のようになります。

蓄電システム費用の項目
  • 蓄電池
  • 専用のパワコン
  • 筐体(きょうたい)
  • 工事費
  • 流通コストなど

蓄電システムの費用平均は2019年度には18.7万円/kWhでした。わずか3年で5万円近く価格が下がっています。

とはいえ蓄電池の価格が高止まりしている傾向のため、2050年カーボンニュートラル(カーボンネガティブ)実現に向けて普及させたい政府の意に反して広まっていないのが現状です。

政府は家庭用蓄電システムの2030年の目標価格を工事費込みで7万円/kWhと定めています。このため、将来的に今よりも費用を抑えて蓄電池を導入できるようになる見込みです。

カーボンニュートラルについては、以下の記事で詳しく解説していますので併せて参考にしてください。

関連記事 カーボンニュートラルとは

参考:定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査|三菱総合研究所

太陽光発電(容量5kW)の検討時に意識したいポイント4選

5kWの太陽光発電の導入を検討するときに押さえたいポイントは、以下の4つです。

  • 安心して任せられる業者の選定
  • 補助金の公募状況をチェック
  • 維持管理費用の把握
  • アフターサービスの充実度をチェック

なぜ意識するべきなのか、1つずつ説明します。

安心して任せられる業者の選定

太陽光パネル 業者

太陽光発電システムの発電効率が高い状態を長く保つためには、技術力がある施工業者に設置してもらうのも大切なポイントです。

技術力がある施工業者は、実績を積み重ねています。不備が起きやすいポイントを把握しているため、施工不良の可能性が低くなります。

ただし、太陽光発電の施工実績があるならどの業者でも良いわけではありません。同じ規模感の太陽光発電システムの施工実績が豊富なことが重要です。

5kWの太陽光発電の施工を安心して任せられるのは、住宅向けの屋根設置型の実績がある業者になります。

補助金の公募状況をチェック

太陽光発電は容量が5kWといっても、初期費用がどうしても高額になります。導入費用を抑える方法の1つに、補助金の利用があげられます。

しかし、補助金はいつでも申請できるわけではなく、期間内でも予算の枠が埋まったら利用できません。

5kWの太陽光発電に利用できる補助金の公募が開始されたらすぐに申請できるよう、情報を常にチェックする必要があります。

維持管理費用の把握

いつ・何に・どれくらいの金額の維持管理費用がかかるのか、事前の把握も必要です。

維持管理費用に含まれるのは主に以下の4つとなり、5kWの太陽光発電では年間29,000円程度の支出になります。

  • メンテナンス
  • 定期点検
  • 保険料
  • パワコンの交換

この金額を事前に把握していれば、支出額を抑えられるわけではありません。しかし、おおよその金額や必要になる時期が分かれば、あらかじめ資金繰りできます。

想定外の支出が発生するよりも、予定しておいたほうが収支計画が崩れないため、事前の維持管理費用の把握が大切です。

参考:太陽光発電について|経済産業省 資源エネルギー庁

アフターサービスの充実度をチェック

太陽光発電は設置後のメンテナンスがとても重要なため、アフターサポートがいかに充実しているかもチェックするべきポイントです。

使用する期間が長くなれば経年劣化によって、太陽光発電の発電効率が低下します。

容量5kWの太陽光発電でも13.2kWh/日に近い発電量を維持するためには、こまめなメンテナンスが欠かせません。

メンテナンスやトラブル対応などの体制が整っていると、時間が経過しても太陽光発電の経済効果が薄れる懸念を少なくできます。

まとめ|5kWの太陽光発電を導入すれば年間で14.6万円程度の電気代を削減できる

太陽光発電システムの容量が5kWの場合、1日あたりの発電量は13.2kWh/日です。1ヶ月では5kWの太陽光発電で396kWhの発電量になります。

契約中の電力料金プランによって変わりますが、発電した電気を全量自家消費と仮定すると約14.6万円/年の電気代を削減できる計算です。

発電した電気の使い方や蓄電池の有無などによっても、削減できる電気代の額が変動します。

関連記事 太陽光発電に蓄電池の併用は必要?

電気代を賢く節約するためにも、ライフスタイルに合った太陽光発電の使い方を検討しましょう。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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