農地転用できない土地とは? できるかどうかの基準・転用許可がおりない場合の対処法を解説

農地転用できない土地とは
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「自分の農地は農地転用できない土地なの?」
「農地転用できない場合の活用方法は?」
「どういう農地が転用を許可されないの?」

農地転用に関して、上記のようなことに悩んでいませんか?使わなくなった農地を転用したい、転用後に売却したいと考えており、転用できる条件に興味をお持ちの人も多いはずです。

この記事では、以下について解説します。

管理できていない・放置している田んぼを売りたいとお考えなら、「農地売却の方法(田んぼを売るには?)」をご覧ください。農地の売却方法や税金、費用について解説しています。

使わなくなった農地 買います!借ります!

そもそも農地転用とは何かについて知りたい方は、以下の記事からご覧ください。

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農地転用できるかどうかの基準

農地転用できるかどうかの基準は、次の2種類です。

農地転用できるかどうかの基準
  1. 立地基準
  2. 一般基準

立地基準

立地基準とは、農地の営農条件・周辺の市街地状況をもとに転用の可否を判断する基準です。

基本的に農地区分に基づいて転用の可否を判断します。農地区分と農地転用の関係について、以下の表にまとめました。

農業振興地域制度による区分農地転用
農業振興地域農用地区域(青地)不許可
農振白地地域(白地)第1種農地(甲種農地を含む)原則不許可
第2種農地第3種農地に立地困難な場合に許可
第3種農地原則許可
農業振興地域外第1種農地(甲種農地を含む)原則不許可
第2種農地第3種農地に立地困難な場合に許可
第3種農地原則許可
市街化区域届出制

この表からわかるように、農地転用ができるのは、第2種農地と第3種農地と市街化区域内農地です。ただし、第2種農地については、第3種農地に立地できない場合に、農地転用が許可されます。

また、立地基準のみで農地転用が許可されるわけではなく、次に説明する一般基準も満たしていなければなりません。

一般基準

一般基準とは、農地の効率的かつ安全な利用という観点から定められている基準です。例えば、周辺農地の営農条件に影響が出ないか、確実に農地転用されるのかを審査して、転用の可否を決定します。

農地転用の主な一般基準は次の通りです。

農地転用の一般基準
  1. 農地転用後の事業を行うのに必要な資金があるか
  2. 農地転用の許可後、速やかに事業が行われるか
  3. 農地転用する面積が事業の目的に見合っているか
  4. 周辺の農地の営農に支障を生ずるおそれがないか
  5. 農地の一時転用の場合は確実に農地に復元できるか

一般基準は、農地転用の申請書などに照らし合わせて判断されます。

農地転用許可基準の判断は「事例集」を参考にしよう

自身の所有する農地が転用できるか気になる方は、国や自治体が無料で公開している「事例集」を参考にしてみてください。事例集には、次の情報がまとめられています。

  • 農地転用許可の判断基準
  • 追認許可の妥当性等
  • 許可の適否

どういった農地が不許可になったか判断できます。他にも、許可申請手続きの流れや罰則といった情報も整理してあるので、参考にしてみてください。

宅地などに農地転用できない土地とは

農地転用できない土地3つ

立地基準から判断される、農地転用できない土地は次のとおりです。

農地転用できない土地
  1. 農用地区域
  2. 甲種農地
  3. 第1種農地

農用地区域

農用地区域は、国内農業の中でも生産性が高く重要な位置付けの農地です。例えば次のような農地が農用地区域に該当します。

  • 農業振興地域内に集団的にまとまっている農用地
  • 土地改良事業の区域内にある農用地

農用地区域の農地は、農地転用を許可してもらえません。ただし、やむを得ず農業以外の目的へ転用が必要な場合や、農地法に基づき農業振興地域整備計画を変更できる場合には、農用地区域から除外されるケースがあります。

甲種農地

甲種農地は、第1種農地の中でも、農業機械による効率的な農業経営ができるなど、特に良好な営農条件を備えている優良農地です。そのため、農地転用は原則不許可とされます

ただし、次のような場合は、農地転用が許可されることもあります。

  • 農業用施設、農産物加工・販売施設
  • 集落接続の住宅(甲種農地・第1種農地以外の土地に立地困難な場合)

第1種農地

第1種農地は農地転用が原則不許可とされます。以下のような良好な営農条件を備えている農地であるためです。

  • 集団的に存在する。
  • 農業公共投資の対象である。
  • 高い生産力が認められる。

ただし、甲種農地と同様に、例外として農地転用が許可される場合もあります。

農地転用できない土地の活用方法

農地転用ができない土地は、どのように有効活用すればよいのでしょうか。農地転用できない土地の活用方法として、以下の5つを紹介します。

農地転用できない土地の活用方法
  1. 行政機関による売買のあっせん事業
  2. 農家に農地を賃貸・売却
  3. 市民農園を開設
  4. 農地集積バンクに登録
  5. 営農型太陽光発電

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行政機関による売買のあっせん事業

農地転用が不許可とされる、農用地区域(青地)の農地を売りたい場合、貸したい場合には、農業委員会による「農地移動適正化あっせん事業」を利用できるケースがあります。

あっせんにより売却する場合には、売却価格は、あっせん委員会において決めることになりますが、譲渡所得税について800万円の特別控除を受けられます。

農家に農地を賃貸・売却

農地の借手や買い手となる農家がいる場合には、地目が農地のまま賃貸・売却することを検討しましょう。

ただし、どちらの場合にも、農業委員会に申請をして、許可をもらわなければなりません。許可を得た後に、賃貸契約や売買契約を締結する流れになります。

農業委員会の許可について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。許可が必要な理由や許可してくれない条件をまとめています。

関連記事 農地を売りたいなら農業委員会の許可が必要

市民農園を開設

農地を市民農園として活用するには、以下の3つの方法があります。

市民農園を開設する方法
  1. 市民農園整備促進法に基づく方法
  2. 特定農地貸付法に基づく方法
  3. 農園利用方式に基づく方法

市民農園整備促進法に基づく方法では、市民農園区域として指定された農地か、市街化区域内の農地が対象となります。農機具収納施設、休憩施設、トイレなどの施設を設置しなければなりません。市町村への申請が必要です。

特定農地貸付法に基づく方法では、開設場所に関する定めはないものの、適切な位置にある場合に承認されます。施設設置の義務はありません。農業委員会への申請が必要です。

農園利用方式に基づく方法では、法律上の手続きは不要です。ただし、あくまでも体験農園であるため、農地所有者が農地管理や農作業を行わなければなりません。

農地集積バンクに登録

農地の借り手を自分で見つけられない場合には、農地集積バンクに登録する方法があります。

農地集積バンク(農地バンク)とは、主に地方公共団体が運営する「農地中間管理機構」が行っている、農地を貸したい人から農地を借り受け、耕作を希望する人に農地を貸し付ける事業のことです。

農地集積バンクのメリットには次のようなものがあります。

農地集積バンクのメリット
  1. 賃借料が農地集積バンクから確実に振り込まれる
  2. 貸付期間終了後は農地が返却される
  3. 農地が適切に管理される
  4. 税制の優遇措置が適用される

農地転用できない土地の活用方法のひとつとして、検討してみることをおすすめします。

営農型太陽光発電

ソーラーシェアリング

農地転用ができない土地においても、条件を満たせば農地の一時転用が許可されるケースがあります。

一時転用ができれば、農地において農業をしながら太陽光発電もする「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」が可能です。

農地に支柱を立てて太陽光パネルを設置し、その下で農作物を栽培します。ただし、営農が適切に継続されていなければなりません。農業収入を得ながら、売電収入も得られるため、安定的な収益を得て農業経営ができるのがメリットです。

ソーラーシェアリングについて、詳しくは以下の記事で説明しています。

関連記事 ソーラーシェアリングとは?

農地転用が不許可になる事例

農地転用が不許可になる事例は、主に以下の4つです。

農地転用が不許可になる事例
  1. 無許可ですでに転用している
  2. 過去に農地法上の違反行為がある
  3. 事業計画が実行できない
  4. 近隣の農家への説明が不十分

無許可ですでに転用している

農地転用を申請した農地が、すでに農地の状態ではなく、無許可で転用している場合には、農地転用が不許可になります。申請をする前に、原状回復しなければなりません。また、農地の状態ではなくなっている理由を報告しなければならないケースもあります。

過去に農地法上の違反行為がある

過去に農地法上の違反行為があり、農業委員会に要注意人物であるとみなされている場合には、農地転用が不許可になるケースがあります。具体例は次の通りです。

農地法上の違反行為の例
  • 申請を偽装している
  • 工事完了報告義務を果たしていない

関連記事 農地法をわかりやすく解説

事業計画が実行できない

農地転用の申請の際には事業計画を提出しますが、計画通りに実行できないとみなされる場合には、農地転用が不許可になります。具体例は次の通りです。

事業計画が実行できないとみなされる例
  • 資金不足である
  • 融資証明の発行が間に合わない
  • 法令に抵触している

近隣の農家への説明が不十分である

近隣の農家への説明が不十分である、隣接農地所有者の承諾が得られていない、などと農業委員会が判断した場合です。

将来、農地転用に反対され、近隣農家と争いが発生する可能性があるため、農業委員会が許可を出すことを避けるケースがあります。近隣農家にきちんと説明するなどの対応が必要です。

農地転用許可がおりない場合の裏ワザとは 

「農用地区域(青地)」に指定されている土地については、農地転用は不許可とされているため、農地転用はできません。

ただし、農地法第4条の農地転用許可がおりない場合の裏ワザとして、農用地区域の指定を解除する不許可の例外に「農振除外」という手続きが、農振法で認められています。農用地区域(青地)が、以下の5つの要件を満たす場合には、農振除外の可能性があります。

農振除外の要件
  1. 農用地以外の土地とすることが必要かつ適当で、農用地区域以外に代替すべき土地がないこと
  2. 農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
  3. 効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと
  4. 土地改良施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと
  5. 農業生産基盤整備事業完了後8年を経過していること

農振除外は市町村の担当課に申請しますが、審査・手続きには半年〜1年程度かかります。関係者と相談しながら、計画的に進めましょう。

農地転用で発生するトラブル一覧

農地転用の申請手続きを実施する際に、周辺農地とのトラブルが発生する場合があります。参考として、よくあるトラブルを整理しました。

農地転用でよくあるトラブル
  • 農林水産省の許可を得ずに転用してしまった
  • 農地法第3条・4条の権利を調べずに建物を建築してしまった
  • 周辺農地からクレームが入った
  • 都市計画法に違反してしまった

特に頻発しているのが、農地転用の申請をせず勝手に転用してしまうトラブルです。無断転用は農地法違反に該当し、罪や罰則を科せられる場合があります。参考として、次の項目に以下の情報を整理しました。

農地転用トラブルの基礎知識
  1. 農地法違反によって問われる罪・罰則
  2. 農地法違反だと気づいた場合にできる対策

農地法違反によって問われる罪・罰則

農地法に違反して農地転用すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。また、また、農地法違反を問われ次の行動をとった場合には、別途罪に問われるので注意してください。

罪に問われる行動罰則・罰金
職員の調査・測量・除去・移転を拒む・妨げる6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
市区町村長の命令や処分を無視・違反する30万円以下の罰金
法人もしくはその業務従業者が農地法を違反する最大1億円以下の罰金
違反について虚偽の報告をする最大30万円以下の過料

農地法違反だと気づいた場合にできる対策

農地法違反だと知らずに転用したことに気が付いたときには、所有する農地エリアの農業委員会に出向いて正直に違反を打ち明けてください。

よほど悪質な違反でなければ、都道府県知事から情状酌量として処罰を受けずに済む可能性があります。農地法違反によって経済的損失や社会信用を失いたくないのなら、すぐ農業委員会に連絡してください。

農地転用できない土地に関するよくある質問

農地転用できない土地に関して、よくある質問と回答をまとめました。

Q
農地転用許可がおりない理由は何ですか?

農地転用の申請をしても、許可がおりない理由は次の3つです。

  1. 申請に不備があるため
  2. 申請内容が立地基準を満たさないため
  3. 申請内容が立地基準を満たしているが、一般基準を満たさないため
Q
農地を宅地に転用するにはいくらかかりますか?

農地を宅地に転用する際の申請費用は無料です。ただし、書類を揃えるのに1万円〜数万円程度がかかります。また、申請を行政書士に依頼した場合には、15万円〜20万円程度かかることが一般的です。

Q
農地転用できない土地を売買できますか?

農地転用できない土地は、相手が農家や農業法人であれば、農地のまま売買できます。また、農用地区域(青地)の農地を売りたい場合には、農業委員会による「農地移動適正化あっせん事業」を利用できるケースがあります。

Q
農地転用できない土地の活用方法は?

農地転用できない土地の活用方法は以下です。

  1. 行政機関による売買のあっせん事業
  2. 農家に農地を賃貸・売却
  3. 市民農園を開設
  4. 農地集積バンクに登録
  5. 営農型太陽光発電

農地転用できない土地 まとめ

農地転用できるかどうかの基準には、農地区分に基づいて判断される「立地基準」と、申請書などに照らし合わせて判断される「一般基準」があります。立地基準から判断される農地転用できない土地は、農用地区域、甲種農地、第1種農地です。

ただし、農地転用許可がおりない場合の裏ワザとして、農用地区域の指定を解除する「農振除外」という手続きが、農振法で認められています。

自分の土地が農地転用ができるのかできないのか確認した上で、売買、賃貸、その他の活用法を検討しましょう。

なお、相続するなどして、使わなくなった農地(田んぼや畑)をどうすれば良いのかについては、以下の記事でもまとめています。活用方法などの参考にしてください。

関連記事 使わなくなった田んぼや畑の活用方法

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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