田んぼ売却の相場はいくら? 農地価格の調べ方や平均推移、坪単価も紹介
「田んぼや畑っていくらで売却できるの?」
「農地売却の詳しい価格相場を知りたい!」
「坪単価ってどれくらいなの?」
農地(田んぼや畑)の売却に関して、上記のようなことに悩んでいませんか? せっかく売却するなら、適正な相場価格で売却したいはずです。
この記事では、以下について解説します。
希望価格で農地を売却できるか知る参考にしてみてください。
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管理できていない・放置している田んぼを売りたいとお考えなら、「農地売却の方法(田んぼを売るには?)」をご覧ください。農地の売却方法や税金、費用について解説しています。
農地売却における価格相場の調べ方
農地の売却価格は、専門知識をもつ人しか分からないと思われがちです。確かに、最終的な金額を算出するためには、土地価格に詳しいプロに任せなければなりません。
ですが実は、価格相場なら自分で調査可能です。まずは、農地売却における価格相場の調べ方をエリアの種類・立地条件に分けて紹介します。
- 相場価格は「宅地比準方式」「倍率方式」で調べる
- 純農地・中間農地における価格相場の調べ方
- 市街地周辺農地における価格相場の調べ方
- 市街地農地における価格相場の調べ方
価格相場は「宅地比準方式」「倍率方式」で調べる
農地を売却する価格相場は、一般的に次の2つの方法で簡単に調査できます。
- 宅地比準方式
- 倍率方式
どちらの計算方式も、簡単に調べて計算できるのが特徴です。詳しい計算方法を紹介します。
宅地比準方式
宅地比準方式は、宅地開発できる土地にある農地を対象に価格相場を算出する計算方法です。計算式を以下に整理しました。
(大量の土地が宅地と考えた場合における1m2当たりの価格-1m2当たりの造成費)×面積
- 大量の土地が宅地と考えた場合における1m2当たりの価格
道路に面する敷地を対象とした路線価方式によるエリアでは「路線価」、倍率地域では「近隣の宅地評価額」を当てはめる - 1m2当たりの造成費
国税庁によって地域区分ごとに決められた造成費を当てはめる
各種情報は、国税庁が提供している「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」でチェックできます。所有する土地のエリアを検索して、おおよその価格相場を計算してみてください。
倍率方式
倍率方式は、前述した宅地比準方式にあてはまらないエリアの価格相場を算出する計算方法です。計算式を以下に整理しました。
固定資産税評価額×評価倍率
- 固定資産税評価額
自身が所有する農地に対し毎年交付される「固定資産税の納付書」を当てはめる - 評価倍率
国税庁によって定められている地域区分ごとの評価倍率を当てはめる
評価倍率は基本的に「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」でチェックします。エリアごとに倍率が異なるため、住所情報に照らし合わせて検索してみてください。
純農地・中間農地における価格相場の調べ方
生産性が高く、宅地への転用がほぼ不可能な「純農地」、許可があれば宅地へ転用できる「中間農地」は、倍率方式によって計算可能です。
ちなみに純農地は、農地法の「第1種農地」「甲種農地」、中間農地は「第2種農地」に該当します。ただし農用地区域内にある純農地に限り、売却が許可されません。
関連記事 農地法をわかりやすく解説
市街地周辺農地における価格相場の調べ方
農地以外への転用が許可されているが、まだ転用の許可を受けていない「市街地周辺農地」は、以下の手順で計算します。
- 宅地比準方式または倍率方式で価格を計算する
- 計算した価格の80%を算出する
また、市街地周辺農地は、農地法の「第3種農地」に該当します。
市街地農地における価格相場の調べ方
市街化区域内にある「市街地農地」は、宅地比準方式または倍率方式で計算可能です。最も市街地に近い農地ということもあり、今後開発や市街化が進みやすい地域だといえます。
また市街地農地は、農地法の「市街化区域内にある農地」に該当します。申請さえすればすぐに農地を売却できるのが特徴です。
農業委員会「市町村別田畑売買価格一覧表」における農地売買価格
所有する農地がある地域の平均農地売買価格を知りたいのなら、農業委員会に所属する全国農業会議所が公表する「市町村別田畑売買価格一覧表」を参考にしてください。
最新情報をもとに、以下に示す2つの売買価格・値段相場を紹介します。
- 都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)の売買価格・値段相場
- 市街化調整区域における農地の売買価格・値段相場
都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)の売買価格・値段相場
市街化調整区域から離れている農地(田舎の田んぼ)の場合、以下に示す資料より中田の全国平均が1,083千円/10a(アール)、中畑の全国平均が802千円/10a(アール)と分かっています。
中田・中畑は、全国農業会議所の調査対象区域において、収量水準・生産条件が平均的な田畑のことです。
前年と比較して1.2〜1.4%の下落をみせているほか、平成7年以降、28年連続で下落が続いている状況です。価格の下落は地域別にみても同様です。
中田・中畑の価格が下落している要因
中田・中畑の価格が下落しているのは、以下の社会問題が影響しています。
- 農地の買い手減少・買い控え
- 農産物価格の低迷
- 担い手不足
市街化調整区域における農地の売買価格・値段相場
市街地から距離が近い市街化調整区域の場合、以下に示す資料より中田の全国平均が2,879千円/10a(アール)、中畑の全国平均が2,754千円/10a(アール)と分かっています。
前述した「市街化調整区域から離れている農地(田舎の田んぼ)」よりも2~3倍ほど価値が高くなっているのが特徴です。ただし、前年と比較して1.1〜1.3%の下落をみせているほか、平成4年以降、30年連続で下落が続いています。
ちなみに、農地の売買価格の減少理由は、前述した「市街化調整区域から離れている農地(田舎の田んぼ)」と同様です。
農地の一坪当たりの平均単価・価格(坪単価)を紹介
農地の坪単価を、全国農業会議所の公表データ「市町村別田畑売買価格一覧表」より整理しました。地方別の坪単価も整理しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)の坪単価】
地方 | 中田 | 中畑 | ||
---|---|---|---|---|
千円/10a(単位) | 円/坪(単位) | 千円/10a(単位) | 円/坪(単位) | |
全国 | 1,083 | 3,610 | 802 | 2,673 |
北海道 | 240 | 800 | 116 | 387 |
東北 | 506 | 1,687 | 304 | 1,013 |
関東 | 1,398 | 4,660 | 1,521 | 5,070 |
東海 | 2,046 | 6,820 | 1,819 | 6,063 |
北信 | 1,283 | 4,277 | 882 | 2,940 |
近畿 | 1,810 | 6,033 | 1,300 | 4,333 |
中国 | 677 | 2,257 | 401 | 1,337 |
四国 | 1,642 | 5,473 | 920 | 3,067 |
九州 | 778 | 2,593 | 543 | 1,810 |
沖縄 | 862 | 2,873 | 1,236 | 4,120 |
【市街化調整区域における農地の売買価格・値段相場】
地方 | 中田 | 中畑 | ||
---|---|---|---|---|
千円/10a(単位) | 円/坪(単位) | 千円/10a(単位) | 円/坪(単位) | |
全国 | 2,879 | 9,597 | 2,754 | 9,180 |
北海道 | 437 | 1,457 | 444 | 1,480 |
東北 | 1,311 | 4,370 | 1,143 | 3,810 |
関東 | 1,425 | 4,750 | 1,852 | 6,173 |
東海 | 6,077 | 20,257 | 5,932 | 19,773 |
北信 | 2,169 | 7,230 | 1,915 | 6,383 |
近畿 | 3,226 | 10,753 | 3,014 | 10,047 |
中国 | 3,984 | 13,280 | 2,710 | 9,033 |
四国 | 3,909 | 13,030 | 3,260 | 10,867 |
九州 | 1,629 | 5,430 | 1,426 | 4,753 |
沖縄 | - | - | 5,306 | 17,687 |
農地価格の平均推移
現在の日本における農地価格の平均推移を整理しました。
- 全国的に減少傾向にある
- 関東地方から離れるほど農地価格が減少している
全国的に減少傾向にある
農地価格は、地域の条件を問わず減少傾向にあります。
全国農業会議所が公表する「市町村別田畑売買価格一覧表」によると、中田・中畑の価格平均推移は次の通りです。
エリア条件 | 対象年度 | 比較対象年度 | 下落率 |
---|---|---|---|
都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ) | 令和4年(2022) | 平成6年(1994)※最高価格 | 41.8~45.9% |
市街化調整区域における農地 | 令和4年(2022) | 平成4年(1992)※最高価格 | 74.3~75.5% |
年々下落を見せる農地売買価格ですが、今後も社会情勢が変わらない限り、上昇を見込めない可能性があります。よって農地や田んぼの売却を検討しているのなら、価格が下がらない前に売却することが重要です。
農地売却について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。売却の手続きについて詳しく紹介しています。
関連記事 田んぼを売るには? 農地売却の方法
中心都市から離れるほど農地価格が減少している
農地価格は、都市計画や開発を予定している土地であるほど坪単価が上昇する一方、中心都市を離れていくほど農地の価格が減少しています。これは、日本が一極集中型の国民生活状況をとっているためです。
参考として、都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)に該当する中田・中畑の価格を降順に整理しました。
地方 | 中田 | 中畑 | ||
---|---|---|---|---|
千円/10a(単位) | 円/坪(単位) | 千円/10a(単位) | 円/坪(単位) | |
東海 | 2,046 | 6,820 | 1,819 | 6,063 |
近畿 | 1,810 | 6,033 | 1,300 | 4,333 |
四国 | 1,642 | 5,473 | 920 | 3,067 |
関東 | 1,398 | 4,660 | 1,521 | 5,070 |
北信 | 1,283 | 4,277 | 882 | 2,940 |
沖縄 | 862 | 2,873 | 1,236 | 4,120 |
九州 | 778 | 2,593 | 543 | 1,810 |
中国 | 677 | 2,257 | 401 | 1,337 |
東北 | 506 | 1,687 | 304 | 1,013 |
北海道 | 240 | 800 | 116 | 387 |
上表より、坪単価の高い東海地方の6,820円/坪に対し、北信地方では4,660円/坪と価格が3/5程度になっています。さらには、最も単価が低い北海道では、東海地方に比べて単価が1/8程度まで下がっている状況です。
人口の集まりやすい地域、そして少子高齢化の傾向が強い地域で価格差があります。地域条件により価格に大きな差が生まれることに注意してください。
農地・田んぼ売却の価格相場のよくある質問
農地売却の価格相場についてよくある質問を整理しました。
- 田んぼ一反(300坪)の価格相場はいくら?
-
田んぼ一反(300坪)の平均価格相場は、都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)の場合1,083,000円(108万3,000円)、市街化調整区域における農地の場合2,879,100円(287万9,100円)です。
参考として、全国農業会議所の「市町村別田畑売買価格一覧表」をもとに、田んぼ一反(300坪)の中田の価格相場を地域区分ごとに整理しました。
地方 都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)円/一反(300坪)(単位) 市街化調整区域における農地円/一反(300坪)(単位) 全国 1,083,000 2,879,100 北海道 240,000 437,100 東北 506,100 1,311,000 関東 1,398,000 1,425,000 東海 2,046,000 6,077,100 北信 1,283,100 2,169,000 近畿 1,809,900 3,225,900 中国 677,100 3,984,000 四国 1,641,900 3,909,000 九州 777,900 1,629,000 沖縄 861,900 -
- 農地1ヘクタール(ha)の価格相場はいくら?
-
農地1ヘクタール(ha)の平均価格相場は、都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)の場合、中田が10,830,000円(1,083万円)、中畑が8,020,000円(802万円)です。
対して市街化調整区域における農地の場合は、中田が28,790,000円(2,879万円)、中畑が27,540,000円(2,754万円)となります。
参考として、全国農業会議所の「市町村別田畑売買価格一覧表」より、田畑1ha当たりの価格相場を地域ごとに整理しました。
地方 都市計画法の線引きがない農地(田舎の田んぼ)円/ha(単位) 市街化調整区域における農地円/ha(単位) 中田 中畑 中田 中畑 全国 10,830,000 8,020,000 28,790,000 27,540,000 北海道 2,400,000 1,160,000 4,370,000 4,440,000 東北 5,060,000 3,040,000 13,110,000 11,430,000 関東 13,980,000 15,210,000 14,250,000 18,520,000 東海 20,460,000 18,190,000 60,770,000 59,320,000 北信 12,830,000 8,820,000 21,690,000 19,150,000 近畿 18,100,000 13,000,000 32,260,000 30,140,000 中国 6,770,000 4,010,000 39,840,000 27,100,000 四国 16,420,000 9,200,000 39,090,000 32,600,000 九州 7,780,000 5,430,000 16,290,000 14,260,000 沖縄 8,620,000 12,360,000 - 53,060,000
- 農地・田んぼを売却したらいくら税金がかかるの?
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農地を売却した場合には、譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税とは、財産を別の誰かに譲渡する際にかかる税金のことです。農地・田んぼ売却のほかにも、相続でも発生します。参考として譲渡所得税の計算式を以下に整理しました。
譲渡所得税=(譲渡による収入額-(取得費+譲渡費用))×(15%+5%)
※農地・田んぼを取得後5年以内の売却の場合税率が(30%+9%)に変化
また、農地売却においては特例・特別控除を利用できます。
- 農地の売却価格が安い理由は何?
-
農地の売却価格が減少傾向にあるのは、以下の項目が関係しています。
売却価格が安い理由- 耕作放棄地の増加
- 農業収益の低下
少子高齢化や担い手不足、国産農産物の需要低下に伴い、売却価格が減少している状況です。
農地・田んぼ売却の価格相場のまとめ
農地や田んぼの売却における価格相場は、全国的に毎年減少傾向にあるほか、特に都市近郊と地方部で大きな価格差があります。また、価格相場が最大値である30年前から継続して減少している状況です。
今後、農地や田んぼの売却を検討しているのなら、なるべく早めに動き出すことをおすすめします。本記事で紹介した価格相場を参考に、手続きの準備を進めてみてください。
農地を管理できない、固定資産税が負担だと感じているのなら、売却するのがおすすめです。売却の方法を詳しく知りたい方は、農地売却について解説した以下の記事を参考にしてください。
関連記事 田んぼを売るには? 農地売却の方法
もし使っていない田んぼ・農地を太陽光用地として売却したいのなら、「農地買取センター」で売却可能です。農地売却や転用に興味をおもちの方向けに、手数料無料で手続きをサポートします。
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