雑草を放置するとどうなる? 枯れた雑草・抜いた雑草の処分方法も解説
「草刈りした雑草を放置するとどうなるの?」
「雑草はどうやって処分すべき?」
「雑草の処分でやってはいけないこととは?」
畑や田んぼ(水田)といった耕作地に生える雑草について、処分方法が分からないとお困りではないでしょうか? 土壌を守るために必要な草刈りですが、放置するリスクがあります。
この記事では、以下について解説します。
雑草の正しい処分方法を学ぶ参考にしてみてください。
管理できていない・放置している田んぼを売りたいとお考えなら、「農地売却の方法(田んぼを売るには?)」をご覧ください。農地の売却方法や税金、費用について解説しています。
抜いた・枯れた雑草を放置するとどうなる?
耕作地に生える雑草を放置すると、耕作物の成長を阻害してしまいます。雑草の成長を止めるためには定期的な草刈りが必要ですが、その場に抜いた・枯れた雑草を放置する人もいるはずです。
雑草を放置すると、あなた自身そして近隣住民に悪影響を生み出してしまいます。まずは雑草を放置するリスクを紹介します。
- 健康被害が起きる
- 害獣・害虫問題が発生する
- におい問題を引き起こす
- 治安の悪化や人災の原因になる
健康被害が起きる
抜いた・枯れた雑草を放置すると、周辺にアレルギー問題といった健康被害を引き起こす恐れがあります。
雑草にはアレルギー症状を引き起こすイネ科の植物が多いです。季節や草刈りによる影響で大量の花粉が空気中に広がって、草刈りした本人そして周辺家屋に健康被害をもたらします。
NPO法人緑地雑草科学研究所の報告書によると、春・秋の健康被害が多いと報告があります。被害の大きい雑草を以下に整理しました。
季節 | 炎症と中毒をもたらした雑草 |
---|---|
春 | ネズミムギ |
カモガヤ | |
オオアワガエリ | |
秋 | ヨモギ |
ヒメムカシヨモギ | |
オオブタクサ | |
ブタクサ |
「クシャミ」「カユミ」「セキ」「鼻水」「鼻炎」「喉の痛み」のような花粉症特有の症状だけでなく「ジンマシン」「結膜炎」「発熱」といった中毒症状も起きています。
害獣・害虫問題が発生する
草刈りした雑草を放置すると、山積みになった雑草を寝床とする害獣や害虫が発生・繁殖します。
まず刈り取った雑草を放置すると、その空間にゴキブリやハエ、ムカデといった不衛生な虫が大量発生します。一部の害虫は近くの民家に入り込むケースもあり、住宅の衛生環境を脅かしてしまうかもしれません。
また、害虫が大量発生すると、それを食べるヘビやアライグマといった害獣が集まってきます。毒性のある生き物が民家近くに集まることはもちろん、集まった害獣が近隣の耕作物を荒らす恐れもあるため注意が必要です。
におい問題を引き起こす
除草した雑草を放置すると、発酵・腐食する過程でイヤなにおいを放つようになります。植物の強いにおいが周辺に漂うことはもちろん、むせ返るような刺激臭を感じるケースもあるため放置するのは好ましくありません。
また、においが洗濯物にしみついてしまうほか、窓を開けていられないほどにおいがし、近隣の住宅からクレームが入るといった問題につながるケースもあります。
治安の悪化や人災の原因になる
雑草を放置すると、それが治安の悪化や人災の原因になります。
例えば、山積みの雑草がある土地は荒れた土地のように見えるため、そこに侵入して犯罪行為を行う人がいるかもしれません。また治安が悪化すると、ゴミを無断で捨てられたり、ポイ捨てされたりと、雑草問題とは別の被害が起きるケースもあります。
他にも子どもたちが侵入してケガする恐れ、タバコのポイ捨てによる大規模な火事の恐れがあることに気を付けてください。
冬場の乾燥する時期は火事に注意しよう
草刈りした雑草を冬場に放置するのは危険だと言えます。なぜなら、空気が乾燥して火事が発生しやすくなるためです。
タバコのポイ捨てやいたずらが原因で火事になることはもちろん、雑草が発酵する過程でメタンガスが発生し、自然発火する恐れもあります。
冬場は乾燥する影響で、火のまわりが早くなるのが特徴です。民家といった建物に燃え広がると、大規模な火事を引き起こしてしまうかもしれません。
草刈りで刈った草の処理方法
耕作地を草刈りするのなら、あらかじめ正しい処理方法を理解することが重要です。主な処分方法を紹介します。
- 乾燥させた後に燃えるゴミとして処分する
- 埋めて土壌の栄養にする
- 肥料として加工する
- 専門業者に処分を依頼する
乾燥させた後に燃えるゴミとして処分する
草刈りした雑草は、一度乾燥させて燃えるゴミとして処分するのがおすすめ。ひとつの理由として、乾燥させることでゴミ袋に入る量が増えるためです。水分があると、効率的にゴミ処分できなくなります。
雑草の乾燥方法は、天日干しが有効です。草刈りした雑草をシートの上に並べて天日干しすれば、数日のうちに雑草の水分が抜けて雑草がしぼみます。
また、雑草を乾燥することはゴミ処理場での不完全燃焼を防ぐこと、付着した土を落としやすくすることに大切です。土は焼却処分できないため、土を落としながら袋詰めしましょう。
埋めて土壌の栄養にする
雑草といった植物は自然から生まれたものであるため、土に埋めることによって土壌の栄養にできます。
土壌の栄養にしたいのなら深さ40cm程度の穴を掘り、刈った草を埋めてください。穴を掘る行為には、土壌を耕す効果、そして雑草の根を除去する効果もあります。
雑草でも、地中で分解されれば土壌の栄養です。肥沃な土壌は耕作物の成長に欠かせない環境であるため、草刈りした雑草を再利用してみてください。
肥料として加工する
雑草は、刈り取った後に発酵させることで堆肥・肥料として利用できます。肥料としての加工手順を以下に整理しました。
- 刈り取った雑草を発酵させる
- 抜いた雑草に米ぬか・石灰・水を混ぜて放置する
- 定期的にかき混ぜる
- 土のにおいだけするようになったら完成
雑草を使った肥料づくりの目安期間はおよそ半年です。根気のいる作業ですが、環境にやさしいのはもちろん資源を無駄にしません。材料はホームセンターといった店舗で簡単に手に入ります。
専門業者に処分を依頼する
自力で草刈りや処分できないと悩んでいるのなら、専門業者に処分を依頼するのがおすすめです。例えば、次の業者が草刈り〜処分に対応してくれます。
- 草刈り業者
- 造園業者
- 便利屋
- 片付け業者
- シルバー人材センター
専門機器を用いて丁寧に雑草を処理してくれるのはもちろん、経験豊富なスタッフが短期間で雑草問題を解決してくれるのが魅力です。さらには、刈草の処分場まで輸送してくれるため、雑草に関するすべての作業を任せられます。
草刈りが手に負えない、草刈り後の雑草を処分する時間がないとお悩みなら、専門業者に雑草処分のことを相談してみてください。
雑草の処分でしてはいけないこと
雑草の処分には、やってはいけないNG行為があります。法律違反・近隣トラブルにつながるため、雑草を処分する参考にしてください。
- 野焼きする
- 家や庭の周り・見えない場所に雑草を放置する
- 敷地外に不法投棄する
野焼きする
刈った雑草をその場で燃やす「野焼き」は、環境への悪影響があることから、一部を除いて日本各地の自治体で禁止されています。
- 風俗慣習上・宗教上の行事に必要な廃棄物の焼却
- 農業、林業または漁業を営むためにやむを得ない廃棄物の焼却
- たき火・日常生活を営むうえで行われる軽微な廃棄物の焼却
出典:愛知県岡崎市「よくある質問(FAQ)」
野焼きは二酸化炭素(CO2)の排出の原因になることはもちろん、火災や山火事の危険性をはらんでいる行為です。自治体によっては5年以下の懲役、1,000万円以下の罰金を科される場合もあるため、事前に野焼きが可能なのか自治体に確認してください。
家や庭の周り・見えない場所に雑草を放置する
耕作地の雑草を家の周りや見えない場所に放置する人もいますが、これらの行為は、前述した「雑草放置のリスク」を引き起こします。
隣の家に、健康被害や悪臭、害虫問題といった問題を起こしてしまうかもしれません。また、見えない場所に雑草を放置する行為も治安の悪化などを引き起こす行為です。雑草を抜いた後は放置せず、正しい方法で処分してください。
敷地外に不法投棄する
耕作地の敷地外、また人里から離れた山に雑草を処分しようと考えているのなら、それは違法行為であるため注意してください。
敷地外に雑草を捨てることは不法投棄に該当し、5年以下の懲役、1,000万円以下の罰金を科されます。少量の雑草であっても敷地外に捨てるのは違反行為です。必ず自治体で決められた処分方法で雑草を処理してください。
雑草を大量処分する手順
抜いた雑草を大量処分したいのなら、以下の手順で処理するのがおすすめです。
- 草刈り機等でまとめて刈り取る
- いったんその場に放置して乾燥させた後に集める
- ゴミ袋に入れて焼却処分場へもっていく
また、自身で大量の雑草を処分できないとお悩みなら、専門業者の利用をおすすめします。短期間で大量の雑草を処分してくれることはもちろん、焼却処分場までまとめて輸送してもらえるのが特徴です。
ワンストップ対応で作業してもらえることから、体力的に不安がある方、大量処分する時間がない方は専門業者に相談してみてください。
大量処分に利用できるアイテム
農地の雑草の大量処分する際には、以下の道具を準備したうえで動き始めましょう。
- 草刈りを効率化する「草刈り機」
- 雑草をまとめる際に使う「大型の熊手」
- ケガ・アレルギー防止のための「軍手」
また田んぼや畑といった耕作地を休耕地にするのなら、防草シートやグランドカバーを用いるのがおすすめです。そのまま放置すると雑草が土壌の栄養を吸い取ってしまうため、必ず雑草対策を行ったうえで休耕地にしてください。
休耕地の放置(耕作放棄地)については、以下の記事で詳しく解説しています。休耕地を放置状態にしているのなら、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事 耕作放棄地とは? 問題と解決策
草刈りした雑草放置のよくある質問
草刈りした雑草を放置することについて、よくある質問をまとめました。
- 放置したらダメな雑草の種類は何?
-
農地に次の雑草が生えているのなら、すぐに処分してください。
処分すべき雑草- スギナ
- ドクダミ
- カヤツリグサ
- オヒシバ
- コニシキソウ
成長すると地面深くに根を張ることはもちろん、大量繁殖して負担が増える雑草ばかりです。また、一部の植物は独特なにおいを発生させることから、放置せず草刈りをしてください。
- 草刈りに最適な日ってあるの?
-
草刈りに最適な日を以下に整理しました。
草刈りに最適な日- 草が生い茂る前に刈り取る「6月〜7月」
- 雑草の生長速度が落ちる「9月〜10月」
- 枯れ葉が多くなる「11月〜12月」
草刈りは雑草が生い茂る前に刈り取ること、成長しなくなるタイミングで刈り取ることが重要です。タイミングを見計らって草刈りすれば、必要最小限の労力で耕作地の状況を維持できます。
- 草刈りしてはいけない日ってあるの?
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以下に示すタイミングで草刈りするのはNGです。
草刈りしてはいけない日- 真夏の昼間
- 夜中(時間がかかる場合は夕方も)
- 雨の日
真夏の草刈りは熱中症のリスクがあるため、早朝もしくは気温の低い日に実施してください。また、夜中の草刈りは騒音問題につながるほか、野生動物やケガの危険があるため避けましょう。
さらに雨の日の草刈りは草刈り機の故障やケガの原因になります。安全に草刈りするためにも、必ず上記のタイミングを避けてください。
- なぜ草むしりが必要なの?
-
農地の雑草を放置する行為は、周辺の農地、住宅への迷惑になるためです。伸び放題の茂みの中に害虫・害獣がすみかをつくるほか、雑草が繁殖して近隣の農地にまで侵食するかもしれません。
雑草を放置するとどうなる? まとめ
田んぼ(水田)や畑といった耕作地の雑草を放置すると、健康被害、害虫・害獣、悪臭といった問題を引き起こします。また、野焼きはもちろん不法投棄するのもNGです。
雑草を処分する際には、正しい知識・処理方法を理解しておくことが重要ですので、動き始める前に本記事の情報を参考にしてみてください。
耕作地の維持管理に負担を感じているのなら、農地売却・農地転用といった選択肢もあります。田んぼを売るにはどうすればいいか知りたい方は、農地売却について解説した以下の記事を参考にしてください。
関連記事 田んぼを売るには? 農地売却の方法
農地転用については、以下の記事をご覧ください。
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