太陽光パネルは掃除・洗浄が必要! 自分で洗浄するのはおすすめしない理由を解説
「太陽光パネルは自然に汚れが落ちる設計と聞くけど、掃除が必要ないのか知りたい」
「太陽光パネルの掃除は自分でできるの?」
「太陽光パネルの清掃を業者に依頼する時期や頻度は?」
このように、太陽光パネルを自分で掃除するべきかとお悩みの発電事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
太陽光発電システムはメンテナンスを定期的に実施することで、高い発電量を維持できることが分かっています。
しかし、産業用は枚数の多さが、住宅用は屋根上での掃除がネックで、太陽光パネルの汚れを自分で落とすのは難しい状況です。
本記事では、なぜ太陽光パネルの掃除が必要なのかと自分での洗浄は推奨できない理由を解説。洗浄の重要性が分かると適切にメンテナンスを業者に依頼できるため、発電量の減少を防げます。
業者に太陽光パネルの掃除を依頼する際に注意するべき事項も紹介していますので、最後までお読みください。
太陽光パネルの処分や売却を検討されている方は、「太陽光パネルの買取相場」をご覧ください。価格推移や買取業者の選び方も解説しています。
太陽光パネルを掃除する2つの理由
太陽光パネルは屋外に設置するため汚れが付着しやすいため、定期的に洗浄が必要です。
太陽光パネルを綺麗にすることでどのようなメリットがあるか、順に見ていきましょう。
太陽光パネルの汚れで低下した発電効率を回復できるため
太陽光パネルの掃除は、太陽光発電システムの発電効率を回復させる方法として有効です。
強化ガラスに汚れが付いたままでは、太陽光パネル内部の太陽電池セルに光エネルギーが届きにくくなります。
実際に、経済産業省による発電量の安定化に向けた取組みで、汚れの洗浄で発電効率の回復が見られたと紹介されています。
洗浄前後で5%程度の発電高効率が回復すると実証されており、発電効率を維持するためには太陽光パネルの掃除が大切と言えるでしょう。
参照:今冬の発電量の安定化に向けた再生可能エネルギーにおける取組例|経済産業省 資源エネルギー庁
汚れを放置すると太陽光パネルの寿命を縮めるため
太陽電池セルを覆う強化ガラスの汚れは、太陽光パネル劣化の原因となる可能性があります。
強化ガラスに汚れが付着していると太陽光パネルの影になり、この箇所の表面温度が上がる現象のホットスポットが劣化につながる理由です。
場合によっては、ホットスポットとその周辺で太陽光パネル表面に30℃近い温度差ができ、以下図のように発火の懸念があります。
発火した太陽光パネルは寿命を迎えたのと同じで使い続けられず、交換が必要です。長く太陽光パネルを使い続けるには、汚れを放置せず綺麗な状態を保つことが必須と言えます。
太陽光パネルが汚れる原因
太陽光パネルの強化ガラスに付着する汚れには、以下のようなものがあります。
- 土埃や砂埃
- 花粉
- 黄砂
- 火山灰
- 鳥の糞
- 落ち葉
- 水垢
埃や花粉など風に飛ばされてくるものは、30度などの傾斜を付けて設置している場合、雨が降ればある程度流されます。
鳥の糞はすぐに雨が降れば流れ落ちますが、取り除けない期間が長くなると固まってこびりついてしまいかねません。濡れた落ち葉がパネルに付いてそのまま乾くと、綺麗に取り除くのが難しくなります。
こびりつくと厄介な鳥の糞などがある場合は、故障や発電量の減少を防止するため、速やかな除去作業が必要です。
太陽光パネルの掃除を自分でするのはおすすめできない理由
コストを抑えるため太陽光パネルを自分で洗浄しようと考えることもあると思いますが、以下3つの理由からおすすめできません。
- 適切な方法で掃除しないと逆効果になるため
- 住宅用は太陽光パネルの掃除が屋根上での作業になり危険なため
- 産業用は洗浄機器の準備が困難なため
自分で太陽光パネルを洗浄すると何が問題になるのか、順に説明します。
適切な方法で掃除しないと逆効果になるため
太陽光パネルは適切な掃除方法や道具を理解したうえで洗浄しないと、さらに発電効率が低下したり故障の原因になったりします。
洗浄で太陽光発電システムの発電効率を回復させる方法は、以下のとおりです。
- 繊維が柔らかいマイクロファイバークロスやモップで汚れを拭き取る
- 水道水をそのまま使用せずに専用の洗剤を薄めた水で洗う
- 水分が太陽光パネル表面に残らないようにしっかり水切りする
反対に、以下3つのような洗浄方法は、避ける必要があります。
- 雑巾の使用:強化ガラス表面に傷ができて発電量低下の可能性がある
- 水道水で洗い流した状態で放置:水垢が付着して発電量が減少する
- 高圧洗浄機の使用:高い水圧で散布するとパネル内部の破損や内部への水分侵入で故障の原因になる
間違った方法での洗浄が原因で太陽光パネルが故障しても、メーカーや施工業者による保証を受けられません。
このように、太陽光パネルの洗浄には故障のリスクや発電量を低下させる懸念があるため、自分で掃除するのは避けたほうが良いでしょう。
住宅用は太陽光パネルの掃除が屋根上での作業になり危険なため
個人宅の場合、自分で掃除するのはおすすめできません。屋根上での作業となり危険なためです。
一般的な2階建ての住宅で天井高が2m50cmの場合、屋根の高さは6m以上と想定できます。
高さ2m以上の場所で作業する場合、足場の設置など危険防止措置をとるよう厚生労働省が労働安全衛生法令で規定しています。
厳密にいうと自宅屋根の清掃は労働に該当しませんが、危険なことに変わりありません。
無理に自分で掃除しようとせず、危険防止対策しながら作業できる専門業者への洗浄依頼をおすすめします。
参照:労働安全衛生法令における墜落防止措置と安全帯の使用に係る主な規定|厚生労働省
産業用は洗浄機器の準備が困難なため
産業用の太陽光発電においては、洗浄用の機器を個人で準備することが困難な点が、自分での掃除がおすすめできない理由です。
何百枚も設置された太陽光パネルを手作業で掃除できないことはありませんが、膨大な時間がかかります。
設置される太陽光パネルの枚数が多い発電所での掃除には、洗浄機を使用するのが一般的です。洗浄には水を大量に使用するため、水源を確保できない場合はタンク車の手配も必要な可能性があります。
コストも手間もかかることから、産業太陽光発電のパネルを自分で掃除するのは現実的ではないと言えます。
太陽光パネルの掃除を業者に依頼する際の注意点
専門業者に洗浄を依頼する際、注意するべき事項は2つあります。
- 掃除に適切な時期
- 太陽光パネルの掃除を依頼する頻度
太陽光発電のメンテナンスを業者に依頼する際の費用については、以下の記事もあわせて参考にしてください。
関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)
掃除に適切な時期
太陽光パネルの洗浄は、実施するタイミングが重要です。汚れの原因である花粉や黄砂は、年間を通して飛んでいます。
どちらもピークは春先のため、黄砂が落ち着く5月末から梅雨前までに太陽光パネルを綺麗にすれば、高い洗浄効果を期待できます。
晴天が多い時期に発電効率が高くなっているように、太陽光パネルの掃除は適切なタイミングで依頼しましょう。
太陽光パネルの掃除を依頼する頻度
太陽光パネルの掃除に関して、頻度はガイドラインで指定されていませんが、半年に1回のサイクルでの目視確認がおすすめです。
神奈川県川崎市による実証実験で、太陽光パネルの洗浄による発電効率が上昇する効果は半年程度持続すると分かっています。
このことから、太陽光パネルの汚れ具合を6ヶ月に1回はチェックし、必要に応じて掃除の依頼が適切なサイクルと言えます。
太陽光パネルの掃除にかかる費用の相場
太陽光パネル清掃の料金は、住宅用の太陽光発電ならおおよそ1kWあたり10,000円程度が相場です。
大規模な産業用の太陽光発電の場合、都度見積もりで金額を提示される洗浄業者が多い傾向があります。
洗浄は1kWあたりの価格が設定されていたり、太陽光パネル1枚でいくらと決まっていたり、業者によって異なります。
発電設備がある土地までの業者の移動距離や設置条件でも金額が増減するため、詳細の確認には見積もり取得が必要です。
まとめ|太陽光パネルの掃除は業者への依頼がおすすめ
定期的な太陽光パネルの掃除で、汚れが原因で低下した発電効率を回復できます。半年に1回の頻度で太陽光パネルの汚れを目視で確認し、目立つ汚れがある場合は速やかに清掃してください。
しかし、高所での掃除が危険だったり洗浄機器の準備が必要だったりと、自分で洗浄するのは困難です。
このため、以下2点を意識して、専門業者に洗浄を依頼することをおすすめします。
- 掃除に適切な時期
- 太陽光パネルの掃除を依頼する頻度
発電設備の容量や太陽光パネルの設置条件により実際にかかる洗浄費用は異なるため、見積もりを取得して詳細を確認しましょう。