住宅用太陽光発電の10年後はどうする? 卒FIT後のおすすめ利用方法を紹介
「太陽光発電の10年後、設備はどうしてる?」
「太陽光発電は10年後に売電できなくなるの?」
「太陽光発電を売電以外で11年目以降もお得に活用する方法を知りたい」
上記のように、住宅用太陽光発電の10年後についてお悩みではないでしょうか。
住宅用太陽光発電が10年後に固定価格買取制度の期間が満了し、卒FITした後も値下がりした単価で余剰電力の売電を続けるだけでは、損をしてしまうかもしれません。
そこで本記事では「卒FITした太陽光発電をお得に利用する方法」を紹介します。
10年後の太陽光発電をどのように利用するべきか、その選択肢が分かる内容になっているので、ぜひ参考にしてください。
当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。
住宅用太陽光発電は10年後に卒FITを迎える
固定価格買取制度(FIT)を適用して電気を売電している住宅用太陽光発電は、稼働から10年後に卒FITを迎えます。
卒FIT後も電気の売電はできますが、電力会社の買取価格がそれまでよりも大きく下がるため、生活スタイルに合わせた運用方法の検討が必要です。
以下では、太陽光発電を導入する上で欠かせない固定価格買取制度と卒FITが、どのような仕組みなのかを解説します。
固定価格買取制度(FIT)とは
固定価格買取制度(FIT)は、再生可能エネルギーで発電した電気を、一定期間国が定めた固定の価格で電力会社が買い取る仕組みです。
FIT期間中の買取価格を市場価格よりも高い金額で固定して、再生可能エネルギーによる発電所を増やす目的で開始されました。
太陽光発電の設備容量によって、価格が固定される期間が以下のように異なります。
種類 | 設備容量 | 買取期間 | 買取対象 |
---|---|---|---|
住宅用太陽光発電 | 10kW未満 | 10年間 | 余剰電力のみ |
産業用太陽光発電 | 10kW以上 | 20年間 | 全量買取 |
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卒FITとは
卒FITとは、固定価格買取制度の単価で電力会社に電気を買取してもらえる期間が終了することです。
FIT期間の終了後も売電は可能ですが、単価が大幅に低下するため売電収入も減少します。
このため「太陽光発電が卒FITする10年後はどうなる?」と心配する声が多いです。
一般的に太陽光発電設備の寿命は、以下のように言われています。
設備 | 寿命 |
---|---|
太陽光パネル(モジュール) | 20~30年程度 |
パワーコンディショナ | 10~15年程度 |
固定価格買取制度の適用期間が10年間の住宅用太陽光発電では、設備が寿命を迎える前に卒FITすることになります。
太陽光発電を開始してから10年後以降も十分な発電が見込まれるため、卒FITを迎える前に今後の利用方法について検討が必要です。
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太陽光発電の10年後はどうすればいい? おすすめ利用方法
住宅用太陽光発電で、売電を含めた11年目以降の利用におすすめの方法は、以下の5つです。
太陽光発電の10年後はどうすればいいのか、売電を含めて11年目以降もお得になる利用方法を紹介します。
電力会社への売電を継続する
住宅用太陽光発電でFIT期間が10年後に終了した後に、余剰電力の売電を継続するのも選択肢の1つです。
固定価格買取制度の適用期間中の売電先は大手電力会社のみですが、卒FIT後は新電力会社への切替えもできます。
メリット
卒FIT後も電力会社に売電を継続するメリットは、以下の3つです。
- 大手電力会社の場合は、契約の手間が少ない
- プランによっては電気料金が安くなる
- 新電力会社は大手よりも買取価格が高い可能性がある
大手電力会社への売電をそのまま継続する場合、自動更新と新たに申請が必要な2つのケースがあります。
改めて売電の手続きをする場合でも、別の電力会社に新規申し込みするよりは手間が少ないでしょう。
購入する電気とのセットプランなどが用意されていれば、電気代を削減できます。
新電力会社の電力の買取価格は、大手と同等から数円高い設定が一般的です。
少しでも高い金額で売電したい場合には、新電力がおすすめです。
デメリット
住宅用太陽光発電で卒FIT後も電力会社への売電を継続する場合のデメリットは、2つあります。
- 買取価格が定期的に見直しされる
- 新電力会社が電力事業から撤退、倒産の可能性がある
FITが適用されない場合、電力の買取価格は市場の相場に合わせて定期的に見直されるため値下がりの可能性があります。
また新電力会社は電気の小売りがメイン事業ではないため、電力事業からの撤退や、最悪の場合は倒産の懸念がある点がデメリットです。
自家消費量を増やす
太陽光発電が卒FITする10年後に、自家消費で利用する電気量を増やす利用方法もあります。
余剰電力で売電収入を得るのではなく、太陽光発電の電気を暮らしの中で最大限利用して、電気代を削減したい場合におすすめです。
メリット
住宅用太陽光発電で10年後に自家消費量を増やすメリットは、2つあります。
- 電気代を節約できる
- 非常時に電気を使える
自家消費する電気量が増えると、購入して利用する量が減るため電気代を削減できる点がメリットです。
自立運転機能が付いたパワーコンディショナを導入していれば、停電などの非常時にスマートフォンの充電程度なら電気を使えます。
デメリット
卒FIT後に電気の自家消費量を増やすデメリットは、以下の2つです。
- 売電収入がなくなる
- 夜間は太陽光発電の電気を使えない
太陽光発電が発電した電気を全量自家消費に切り替えれば、売電収入は得られなくなります。
設備が発電できない夜間は、電力会社から購入する電気を利用しなくてはいけない点が自家消費のデメリットです。
日中の太陽光が出ている間に家事を集中させて、夜間の電力消費量をなるべく減らすなどの工夫が、自家消費する運用では大切になります。
蓄電池と併用する
住宅用太陽光発電の10年後は、家庭用蓄電池との併用もおすすめです。
蓄電池に太陽光発電の電気を溜めれば、無駄なく発電した電気を利用できます。
メリット
太陽光発電の電気を売電せず、11年目以降に蓄電池と併用するメリットは、以下の2つが考えられます。
- 夜間に蓄電池の電気を利用できる
- 災害の備えになる
蓄電池を導入せずに太陽光発電の電気を自家消費する利用方法では、夜間は電気を購入しなければいけないデメリットがありました。
太陽光発電と蓄電池をセットにすれば、昼間に発電した電気を溜められるため夜間にも自家消費できる点がメリットです。
台風や地震などの災害時に停電が発生した場合も、あらかじめ決めておいた家電製品を蓄電池の電気で利用できます。
デメリット
太陽光発電を設置してから10年経過後に蓄電池を導入するデメリットは、以下の2つです。
- 初期費用がかかる
- 設置場所の確保が必要
以下の表より、家庭用蓄電システムの導入にかかるコストは、設備本体と設置費用を併せて18.7万円/kWhが相場です。
大容量の蓄電池を選択すると、その分費用がかかるデメリットがあります。
メーカーや容量によって蓄電池の外寸は変わりますが、おおよそで以下の表くらいのスペースが必要です。
蓄電池 | 外寸 |
---|---|
横幅 | 50~80cm程度 |
奥行 | 20~60cm程度 |
高さ | 60~120cm程度 |
設置場所があまり広くない場合は、コンパクトタイプの蓄電池を選ぶと圧迫感を少なくできるでしょう。
エコキュートと併用する
太陽光発電のFIT単価での売電が終了した11年目以降は、エコキュートと併用する選択肢があります。
エコキュートの利用方法として、夜間の電気料金が安いプランを契約し、夜のうちにお湯を沸かせば電気代を節約できると言われていました。
卒FIT後はエコキュートのお湯を太陽光発電で沸かすように設定すれば、さらに節約できます。
メリット
卒FITした太陽光発電とエコキュートを組み合わせて利用するメリットは、以下の3つです。
- 電気代を節約できる
- 電気料金のプランを見直しできる
- エネルギー効率が上がる
電気料金が安い深夜にエコキュートでお湯を沸かす方法では、安くても電気料金がかかっていました。
エコキュートで昼間に沸かす設定をして、太陽光発電の電気を利用すれば、電気代はかからず節約できます。
昼間の電気料金が高いプランを無理に契約する必要がなくなるため、電気料金プランの見直しも可能です。
夜間の給湯では利用するまでの時間が長く、お湯の温度が下がりかねません。
昼にお湯を沸かせば利用するまでが短時間のため、沸かし直しが不要でエネルギー効率を上げられます。
デメリット
エコキュートと太陽光発電を併用するデメリットは、蓄電池と同様に初期費用がかかることです。
施工費用を含めて60万円程度かかることもあります。
工事費用はエコキュートを設置する場所の条件で異なるため、詳細な費用は業者に見積もりを依頼して確認が必要です。
電気自動車を充電する
太陽光発電の電気は、電気自動車(EV)の充電にも利用できます。
ガソリン車と比較すると電気自動車は高額なイメージがありますが、太陽光発電と組み合わせればコストを減らせるでしょう。
メリット
電気自動車の充電に太陽光発電を利用するメリットは、2つあります。
- 電気自動車が蓄電池の役割も果たせる
- ガソリン代と電気代を節約できる
太陽光発電の電気を電気自動車に充電していれば、バッテリーに溜まっている電気を利用できるため、非常時に蓄電池の代わりになる点がメリットです。
電気自動車の充電を太陽光発電でまかなえば、電気代がかからずガソリン代と併せて節約できます。
デメリット
晴れた日の日中に2~3時間程度電気自動車を充電させる必要があるため、外出したくても車を利用できないデメリットがあります。
自家用車で通勤している場合は、太陽光発電で充電できるのが休日のみになります。
このため節約を重視される場合は、メリットが少なく感じるでしょう。
太陽光発電10年後の売電価格はいくら?
太陽光発電のFIT期間が10年後に終了した後の売電価格がいくらになるかは、売電先の電力会社によって異なります。
執筆時現在(2023年9月)の太陽光発電が10年後以降の大手電力会社による最小の買取価格は、中部電力、四国電力、九州電力の7円/kWh(税込)です。
東北電力の9円/kWh(税込)が最大で、東京電力は8.5円/kWh(税込)になっています。
新電力会社の買取価格は、基本的に大手電力会社の価格よりも1円程度高い設定が多いです。
蓄電池とのセットにすると、買取価格が16円/kWh(税込)になるケースもあるため、よりお得に売電できる新電力会社を探すことをおすすめします。
住宅用太陽光発電の10年後についてのまとめ
住宅用太陽光発電は、売電開始から10年後に卒FITを迎えます。
固定価格買取制度が適用されなくなると売電単価が大幅に下がるため、今までと同じ利用方法では損だと感じる方がいるかもしれません。
ご家庭でのライフスタイルに合った利用方法を選べば、10年後に卒FITした後も太陽光発電を有効に利用できます。
電気代を節約したい、いつ起きるか分からない停電に備えたいなど、太陽光発電をどのように使いたいかは、人によって異なります。
卒FIT後の太陽光発電の利用方法でお悩みの方は、どのように太陽光発電を利用したいかの検討から始めてみてはいかがでしょうか。