農地活用・売却

農地は相続放棄できる? いらない農地を放棄したいときの対処法

農地の相続放棄はできる?
momohiki011

「農地って相続したいとダメなの?」
「相続放棄する方法ってあるの?」
「相続した場合はどのように活用すべき?」

故人から相続する農地について、上記のようなことに悩んでいませんか?農地を相続すると、固定資産税がかかるほか、毎年の草刈りや管理・維持が大変で「農地を相続放棄したい」と考えている方も多いはずです。

この記事では、以下についてわかりやすく解説します。

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農地は相続放棄できるが困ることが多数あり!

結論として、故人から相続する農地は相続放棄できます。ただし、相続放棄はできたとしても、それに伴うデメリットが複数あるのも事実です。

まずは農地の相続放棄によって困るポイントをまとめました。

相続すべてを放棄しなければならない

相続放棄は、農地を相続したくないときに役立つ便利な手段ですが、農地だけを放棄できるわけではありません。実は、農地を含むすべての相続を放棄するための手段です。

前提として、日本の裁判所では相続放棄について次のように記述されています。

  1. 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
  2. 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
  3. 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認
引用:裁判所「相続の放棄の申述」
相続人・被相続人とは?

相続人とは、財産を受け取る人のことです。一方、被相続人は財産を遺して亡くなった人のことを指します。

以上より、相続では「すべて受け継ぐ」「すべて受け継がない」の2択しか選べません。農地だけを相続放棄するといった動き方はできないので注意が必要です。

相続放棄しても農地の管理責任が残る

実は農地を相続放棄しても、管理責任だけは関係者に残ります。農地を相続放棄しても、すべての責任が無くなるわけではありません。

参考として、民法で定められている相続財産の管理の記述を整理しました。

相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

引用:民法「第九百四十条(相続のほうを期したものによる管理)」

以上より、相続放棄後も管理を実施しなければならないことがわかります。所有者が移らない限り、管理の手間が残ってしまうことに注意してください。

相続農地を放棄したい場合の手順

前述した相続放棄のリスクを把握したうえで、相続農地を放棄したいと検討している方もいるでしょう。参考として、相続放棄の手順を詳しく整理しました。

手続きの必要書類を用意する

まずは相続放棄するための書類を準備します。参考として、関係書類を以下に整理しました。

書類の名称概要受け取り場所金額
相続放棄の申述書裁判所へ申請するための書類家庭裁判所、裁判所ホームページ1人につき800円の収入印紙
被相続人の住民票除票または戸籍附票転出や死亡などで除かれた住民票戸籍を置く市区町村役場、コンビニ交付1枚300~450円程度
申述人の戸籍謄本戸籍に記載されている全員の身分事項を証明する書類同上1枚450円程度
申述とは?

裁判所に対し申し立てする際に利用する言葉です。申請書や申込書と同じような位置付けにあり、相続放棄では申述書へ記載しなければなりません。

また、申述者と被相続人との関係(兄弟、長男、孫など)によって、準備すべき書類に若干の違いがあります。裁判所ホームページの情報を参考にしてみてください。

家庭裁判所に相続放棄を申し立てる

書類の準備が完了したら、すべての書類を封筒にまとめて家庭裁判所に郵送してください。

また、申述先は被相続人が最後に住所地としていた地域の家庭裁判所です。他の地域にある裁判所に送った場合、返送されるケースがあるので注意してください。

もうひとつ、相続放棄の申述は、法律上相続人となった事実を知った3ヶ月以内に実施しなければなりません。3ヶ月を超えて提出しても、申述書を受理してもらえないケースがあります。

家庭裁判所に相続放棄の照会書を送信する

相続放棄の申し立てが完了すると、後日、家庭裁判所から最終確認として「照会書」が送られてきます。照会書には、申述の気持ちを再度確認する目的があり、次の項目が記載されているのが特徴です。

  • 手続きを実施することに同意するか
  • 相続放棄に対し心情の変化はないか

とくに問題なければ、照会書にサインをし、家庭裁判所に返送してください。照会書が受理されると相続放棄申述受理通知書が自宅に届きます。

農業委員会に届け出をする

相続放棄に伴い、他の相続人が農地を相続することになった場合には、農業委員会で名義変更の届出を実施しなければなりません。農業委員会そして都道府県知事からの許可がなければ、他の相続人への手続きが完了しないので注意してください。

届出の期限は相続が開始してから10ヶ月以内です。期間を超えてしまうと、10万円以下の過料が科せられる場合があります。

ちなみに、届出する農業委員会は、農地を管轄している市区町村に設置された農業委員会です。届出書の準備はもちろん、相続人の住所や取得日、取得理由などをまとめて提出しなければなりません。

農地相続における農業委員会への許可申請は、農林水産省が定める農地法第3条で取り決められています。農地法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事 農地法をわかりやすく解説

いらない農地は相続土地国庫帰属制度を活用しよう

これまでの農地相続放棄は、必要な農地・不要な農地を問わず、ほかの資産も含めてすべて相続するか、相続しないか選ばなければなりませんでした。

しかし近年では、農業従事者や農家といった土地利用者が減少したことに伴い、土地を手放したいニーズが高まっています。そして農地相続のニーズを満たすために新たに登場したのが、法務局の相続土地国庫帰属法によって施行された「相続土地国庫帰属制度」です。

相続土地国庫帰属制度とは、一定の要件を満たした相続農地(山林等も含む)を国に引き渡せる制度のことを指します。自身の代わりに国が農地を管理してくれるため、土地管理の負担を削減できることはもちろん、所有者不明土地の削減につながるメリットが期待されている制度です。

国に土地を引き渡せる対象者

相続土地国庫帰属制度を利用できる対象者は、次の通りです。

相続土地国庫帰属制度の対象者
  • 相続人
  • 相続または遺贈によって農地(農地の共有持分)を取得した人

ちなみに農地を生前贈与で受け取った人は、引き渡しの対象ではありません。相続・遺贈のみが対象ですので注意してください。

引き渡せる土地の条件

次の条件にあてはまる土地の場合、相続土地国庫帰属制度を利用できません。

相続土地国庫帰属制度を利用できない土地条件
  • 建物が建築されている
  • 担保等が設定されている
  • 通路などが含まれている
  • 土地が汚染されている
  • 所有権争いの最中である

ほかにも管理が大変な場所にある農地や障害物がある農地などは、引き渡しの対象外です。農地の種類によって条件の違いがあるため、事前の制度適用の確認が欠かせません。

農地を相続放棄せずに活用する方法

農地を相続放棄した場合の負担を避けるために、放棄せず活用を検討している方も多いでしょう。参考として、新たな活用方法をまとめました。

農地を売却して利益を得る

相続後も農地を使用する予定がないのなら、農地売却を検討してみてください。

農地売却とは、言葉の通り農地を売って利益を得る手段です。参考として、農地売却の方法を以下に整理しました。

  • 自身で購入希望者(買主)を見つけて売却する
  • 不動産会社に相談して仲介手数料を払って売却する
  • 農地買取センターの無料相談を利用して売却する

農地売却に興味をお持ちなら、以下の記事をチェックしてみてください。農地売却の売却相場や売却の流れ、税金について解説しています。

関連記事 田んぼを売るには? 農地売却の方法

農地を転用して別の目的で使う

農地を別の目的で使用したいと考えているのなら、農地転用を検討してみてください。

農地転用とは、地目を農地から別の目的に変更する手続きです。たとえば、次の目的で農地を転用できます。

  • 宅地
  • 駐車場
  • 太陽光発電施設

農地転用に興味をお持ちなら、以下の記事をチェックしてみてください。農地転用の手順や費用についてまとめています。

関連記事 農地転用とは

農地を転用して売却する

農地転用後の手段として、転用後に売却する方法があります。農地のままだと農地という役割でしか売却できませんが、一度別の地目に転用すれば宅地や駐車場という条件で売却できるのが魅力です。

農地を転用して売却するメリットを以下にまとめました。

  • 宅地購入希望者が買主になる
  • 農地価格よりも高く売却しやすい

ただし、農地転用の可否には農地の条件が関わってきます。もし自身の所有する農地が転用できるかどうか知りたい方は、以下の記事がおすすめです。転用できる土地・できない土地の条件を詳しく解説しています。

関連記事 農地転用できない土地とは

また、農業をしないにも関わらず農地相続の話が出たとお悩みの方もいるでしょう。農業をしない場合の農地相続について詳しく知りたい方は以下の記事をチェックしてみてください。農業をしない人が農地を相続するメリット・デメリットについて解説しています。

関連記事 農業をしない人の農地相続は可能?

農地の相続放棄についてよくある質問

農地の相続放棄について、よくある質問を整理しました。

Q
農地は相続放棄できないの?

農地は相続放棄が可能です。しかし相続放棄では、必ず他の相続資産も含めて放棄しなければなりません。「農地だけ相続放棄したい」「農地の中でも使わない土地だけ放棄したい」という対応ができないので十分に注意してください。

Q
相続した農地を国庫帰属させるにはいくら必要ですか?

相続した農地の国庫帰属の費用は、土地の面積によって費用が変化しますが、一般的な農地の場合は20万円程度だと言われています。また、一般的な農地よりも規模の大きい土地の、面積ごとの負担金額の計算表を以下に整理しました。

面積区分負担金額
250m²以下農地面積×1,210円+20万8,000円
250m²超500m²以下農地面積×850円+29万8,000円
500m²超1,000m²以下農地面積×810円+31万8,000円
1,000m²超2,000m²以下農地面積×740円+38万8,000円
2,000m²超4,000m²以下農地面積×650円+56万8,000円
4,000m²超農地面積×640円+60万8,000円
Q
農地相続で困ったときは誰に相談すべきですか?

農地相続で困った際には、相続のプロや専門家に相談するのがおすすめです。参考として相談が得意なプロ・専門家を整理しました。

  • 法律事務所(弁護士)
  • 司法書士
  • 税理士法人(税理士)
  • 農地買取センター

農地買取センターでは、相続放棄や農地売却・転用の相談・サポートを無料で提供しています。農地相続に困っているときはぜひご相談ください。

Q
相続放棄すると農地の権利はどうなるの?

相続放棄すると、あなた自身の農地の権利がなくなり、別の相続人に相続手続きの権利が移転します。また、遺族全員が相続放棄した場合には、国庫に帰属し国の所有物として取り扱われるのが一般的です。

ただし、相続放棄を実施しても管理責任が残ることに注意してください。農地の雑草処理はもちろん、メンテナンスを担う必要があります。

農地の相続放棄まとめ

相続や遺贈によって受け取る農地が不要な場合、相続放棄できます。ただし、相続放棄は他の資産も含めて放棄しなければならないこと、放棄後も管理責任が残ることに注意しなければなりません。

もし農地に価値が残っていれば、農地売却や転用を検討するのも有効です。ひとつの選択肢として検討してみてください。

もし農地売却を検討しているのなら、以下の記事がおすすめです。

関連記事 田んぼを売るには? 農地売却の方法

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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