農地売買が自由化するって本当? 個人や一般法人とも取引できるのか、将来予想を解説
「農地売買が自由化するって本当なの?」
「個人や一般法人にも売却できるの?」
「農地売買の自由化で日本はどう変わるの?」
農地売買に関して、上記のようなことに悩んでいませんか? 使わなくなった農地を売りたいと考えており、農地売買の自由化に興味をお持ちの人も多いはずです。
この記事では、農地売買の自由化に関する以下についてわかりやすく解説します。
農地売買の自由化に関する情報を学び、農地売却のタイミングを検討する参考にしてみてください。
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農地法改正により農地売買が「一部」自由化
農地売買の自由化に関わるポイントとして、2023年(令和5年)4月1日より、農地法の次のポイントが一部改正されました。
農地法とは、農地・採草放牧地の取扱いについて定めた法律のことです。日本国内の農作物の生産を維持・拡大すること、農作物を国民へ安定供給することを目的として制定されました。各種手続きには農業委員会への届出が必要です。
農地法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。2023年最新の農地法の情報、第3条・4条・5条の違いを解説しています。
関連記事 農地法をわかりやすく解説
変化したポイントを詳しく解説します。
農地法第3条の下限面積(5反要件)が撤廃
農地法改正に伴い、農地法第3条に記される下限面積という制限が撤廃されました。
農地法第3条は、農地の所有権移転に関する条例です。改正前の農地法では、農地を取得する際の条件に「耕作する農地の合計面積が下限面積の5,000m²(5反)以上である」という取り決めがあり、法律からその文言が削除されています。
また農地法改正前は、5,000m²(5反)に満たない人の場合、農地を購入できないという足かせがありました。小規模の農地であるほど売れなくなる・購入しづらくなるという問題もありましたが、下限面積の撤廃により、農地売買の自由化が進んでいます。
個人・一般法人の参入ハードルが低下
農地法改正により、個人・一般法人も農地売買に参入しやすくなりました。
農地法改正前までは、基本的に農業従事者しか農地売買に関われませんでした。しかし今回の改正により、個人・一般法人の参入ハードルが低下するように変更されたのです。個人・一般法人は下図の条件を満たせば、農地売買に関われるようになっています。
個人事業主の参入はもちろん、兼業サラリーマン、企業のさらなる事業展開としても農地売買ができるため、農業従事者は今まで以上に農地を売却しやすくなりました。
農地売買の自由化が進んだ背景
農地売買の自由化には、現代日本における農業の問題が大きく影響しています。参考として自由化が進んだ背景を整理しました。
農業従事者の少子高齢化
特に大きな問題となったのが、農業従事者の少子高齢化です。
改正前の農地法では、農地売買に農業従事者しか関われないという条件がありました。しかし、農地売買を限定化した結果、次第に農地が売れにくくなり、耕作放棄地が増えてしまったのです。
そして農地が売れずに放置される状況へ、さらに高齢化・人口減少の問題が追い討ちをかけました。
政府としては農地を維持したいと考えていますが、高齢化で引退する人が増え、農地売買が進みません。以上より、滞ってしまった状況を改善するために、農地法を改正し、農地売買が自由化されました。
海外輸入の依存
近年の日本は国内の食料自給率が低下し、海外輸入に依存している状態に陥っています。参考として、農林水産省が公開している日本の食料自給率の推移グラフが以下です。
ピーク時の86%の食料自給率は、今や58%まで低下しています。国内農業の衰退を危惧し、政府は、国内約半数の食材を海外輸入に依存している状態を打破するために農地法を改正しました。
今回の農地法改正に伴い、下がってしまった食料自給率を75%まで回復する計画が示されています。
農地売買を自由化する課題
農地売買が自由化すれば、農業効率が高まり国内利益につながっていくと思われがちです。しかし、農地売買の自由化には、以下のような将来的な課題がいくつもあります。
国内農業の弱体化
農地売買の自由化は、国内農業を弱体化させる恐れがあります。
なぜなら、農地売買の自由化によって外国企業の参入が加速すると予想されるからです。外国企業が日本の農業に参入した場合、次の問題が発生します。
- 外国向けの食材を生産
- 農地単価の上昇
農地を購入する外国企業が増えるほど、農地の単価が上がり、国内法人・個人が手を出しにくくなります。また外国企業の中には、外国向けの食材を生産して日本の食料自給と関係のない農業が始まるかもしれません。
結果として、国内農業が弱体化し、さらなる農業問題が発生すると予想されています。
耕作放棄地の増加
農地売買を自由化することには、耕作放棄地の増加リスクが伴います。
法人・個人が参入しやすくなった場合、利益のために農地を購入したものの成果を生み出せず、そのまま耕作放棄地化してしまうかもしれません。
生活のために農業を実施していた農業従事者から、利益だけを追求する法人・個人まで参入範囲が拡大してしまうと、将来放置されるリスクがあります。また、農地を転用して売却する法人・個人も出てくることから、マイナス方面の影響を受ける恐れがあるのです。
耕作放棄地の問題について詳しくは以下の記事をご覧ください。耕作放棄地が引き起こす問題や解決策をまとめています。
関連記事 耕作放棄地とは? 問題と解決策
農地売買の自由化で日本はどう変わるの?
農地売買が自由化したとしても、日本の農業状況は大きく変化しないと予想されます。なぜなら、農地売買に手間がかかってしまうためです。
例えば、農地売買の手続きはもちろん、購入後の維持・改善など、費用や期間といったコストがいくつもかかります。また、農地売買のノウハウがなければ農業に参入しづらい状況です。おそらく現在の自由化で日本の農業が大きく変化するとは考えられません。
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今後さらに農地売買は自由化するの?
農地売買の自由化は、2023年の改正で一旦ストップし、今後さらなる自由化は起こりにくいと思われます。なぜなら、農地改正の頻度が平成21年、28年、令和5年とスパンが空いているほか、前述した課題が山積みとなっているためです。
年度 | 農地法改正回数 |
---|---|
1952年(昭和27年) | 農地法制定 |
1962年(昭和37年) | 農地法改正(1回目) |
2001年(平成13年) | 農地法改正(2回目) |
2009年(平成21年) | 農地法等改正法の制定・施行(3回目) |
2016年(平成28年) | 農地法改正(4回目) |
2023年(令和5年) | 農地法改正(5回目) |
おそらく今後は、下限面積や個人・一般法人の参入ハードルに関する問題を整備する期間が必要だと思われます。「さらに自由化してから農地売買をスタートしたい」と考えている方は、出遅れてしまう恐れがあることに注意してください。
農地売買のさらなる自由化を待つ前にできること
農地売買を検討している方は、さらなる自由化を待つよりも前に、早めに行動することをおすすめします。今すぐスタートできる動き方を整理しました。
農地売却
使っていない土地、今後使う予定のない土地の所有者は、農地を売却するのがおすすめです。
農地を所有していると、固定資産税が毎年発生します。固定資産税は「農地の固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%」で計算し、農地に価値があるほど、多くの税金を納めなければなりません。
使わない農地を所有し続けるほど税金額が膨らむことから、年を越すごとに農地売却の利益を失ってしまいます。
詳しくは、農地売却について解説した以下の記事を参考にしてください。
関連記事 田んぼを売るには? 農地売却の方法
【無料相談】以下より農地売却の申し込みが可能です
農地売却についてのご相談なら、「農地買取センター」までお気軽にお問い合わせください! 処分や相続の悩みも無料で相談を受け付けております。
農地転用後の売却
農地を別の目的で使いたい、別の目的で売却したいのなら、農地を転用することをおすすめします。
農地転用とは、耕作以外の用途で土地を利用するために地目を変える手続きのことです。農地を住宅用地(宅地)や太陽光発電に利用するケースがあるほか、転用後に価値を高めて売却する事例もあります。
使っていない農地を無駄にしたくない、別の目的で利益を生み出したいと検討している方は、ぜひ農地転用を視野に入れてみてください。農地転用について詳しく学びたい方は、以下の記事がおすすめです。
関連記事 農地転用とは
また近年では、農地を転用して太陽光発電投資をスタートする方もいます。詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事 太陽光発電投資とは
農地売買の自由化まとめ
農地売買の自由化には、下限面積の撤廃や、個人・一般法人の参入といった魅力があります。ただし、海外企業の参入、耕作放棄地の増加などの問題があることから、これ以上自由化する可能性は低いはずです。
また、今後自由化が加速すると、さらに農地売買の価値が下がってしまう恐れがあります。
もし農地売買を検討しているのなら、まずは最新情報を手に入れるために、プロに相談するのがおすすめです。農地買取センターでは、初めて農地売買を検討する方をワンストップでサポートします。ぜひ無料相談を利用してみてください。
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