田んぼの草刈りはなぜ必要か?方法・時期・料金などを詳しく解説
田んぼの草刈りをどうすればよいのか悩んでいる方はいらっしゃいませんか。田んぼの草刈りが必要な理由を理解した上で、適切な方法を選びましょう。
この記事では、以下について解説します。
田んぼの草刈りをする際の参考にしてください。
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田んぼの草刈りをしないとどうなるのか?
まず、田んぼの草刈りをせず、放置してしまった農地の写真をご覧ください。
草刈りをせず放置した場合
上記写真の左は、雑草が伸びて木も生えてしまった状態です。右は、山林化してしまっています。このような放棄された農地は「耕作放棄地」とも呼ばれます。
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一方、草刈りをしていると、使っていなくても綺麗な状態を保てます。以下は草刈りして整備された状態の土地です。
草刈りをした場合
また、田んぼの草刈りをしないと、稲に対して以下のような影響が及ぼされます。
- 稲の生育が悪くなる
- 害虫であるカメムシが発生する
- 雑草を放置するとミミズ・モグラが発生する
稲の生育が悪くなる
田んぼの草刈りをしないと、稲の生育が悪くなります。なぜなら、雑草が繁茂し、水や養分が稲ではなく雑草に吸収されてしまうためです。
例えば、代表的な田んぼの雑草であるタイヌビエやコナギなどが繁殖してしまうと、水や養分、日光までもが奪われてしまい、稲の収穫量は減少します。
また、雑草により風通しも悪くなるため、稲の病気が発生する原因にもなります。
害虫であるカメムシが発生する
田んぼの草刈りをしないと、稲の害虫であるカメムシが発生します。カメムシは稲の穂を好んで食べ、食害を受けて米に黒い斑点が付く「斑点米」になってしまい、米の食味低下、等級低下につながります。
イネ科の雑草が繁茂している畦畔ではカメムシの発生量が多くなるため、発生を抑制するには、イネ科雑草を生やさないに管理することが重要です。
雑草を放置するとミミズ・モグラが発生する
草刈りをした後に、雑草を放置するとミミズ・モグラが発生してしまうことがあります。
まず、刈った雑草を畦畔に放置しておくと草が腐ってきて、それを餌とするミミズが大量発生します。
ミミズが発生すると、ミミズを餌とするモグラを招き寄せ、畔に穴を掘られてしまうリスクがあることに注意が必要です。最悪のケースでは、畦が決壊してしまい、田んぼに大きな被害が出てしまいます。刈った雑草は放置せず、必ず処分しましょう。
雑草を放置した場合の悪影響や、処理方法については以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
関連記事 雑草を放置するとどうなる?
田んぼの草刈りのポイント
田んぼの草刈りをする際に気をつけたほうがよいポイントが、以下の通り4点あります。
- 高刈りをする
- 水田に草を落とさない
- 田んぼの草刈り時期を考える
- 雑草の種類を理解する
高刈りをする
田んぼの畦畔の草刈りをする場合には、地面際の低い位置ではなく、地面から10cm程度上の位置で刈る「高刈り」をすることをおすすめします。
幅広い形の葉をもつ「広葉雑草」は、成長点が茎の上部にあるため、地面際を刈ると生えなくなるのが特徴です。一方、イネ科雑草の成長点は根本にあるため、地面際を刈ってもすぐに成長できるため、畦畔はイネ科雑草だけになります。
イネ科雑草の繁茂はカメムシの発生につながるため、高刈りをして、畦畔の植生を広葉雑草優勢にしていくことが重要です。
水田に草を落とさない
田んぼの草刈りをする際に、水田や用水路に草を落とさないようにするのが重要なポイントです。草が落ちると、稲の生育に支障をきたしたり、用水路が詰まって水が流れにくくなってしまうためです。
刈払機を使用する場合には、必ず右から左へ向かって刈り、刈り取った草を左側に寄せるようにしましょう。反対向きに刈ると草が飛び散ってしまいます。
もしも、草が落ちてしまった場合には、作業後に拾い上げておきましょう。
田んぼの草刈り時期を考える
田んぼの草刈りは、適切な時期に行ってこそ効果を発揮できます。効果的な草刈り時期を決めるためのポイントは、稲の出穂時期を考慮するという点です。
田んぼの草刈りのタイミングは、稲の出穂期の14日前まで、あるいは自治体によっては10日前までとされています。以後は草刈りしてはいけない日と決められているのは、草刈りによってカメムシが田んぼに追い込まれてしまうためです。
草刈り禁止時期を守ることは、カメムシ防除にとって重要なポイントです。
地方によっても異なりますが、一般的には、雑草が成長する前の6月下旬や、秋の開花を迎える9月中旬や、冬の前に枯れ草を減らすための11月下旬などが適しています。
雑草の種類を理解する
田んぼの雑草と言っても、さまざまな種類の植物の総称であり、実際には種類によって成長サイクル、出穂時期などが異なります。雑草の種類を理解することによって、適切に田んぼの草刈りができることを理解しておきましょう。
例えば、田んぼにおけるイネ科の代表的な雑草は、タイヌビエです。タイヌビエの生活史をたどると、4月〜7月にかけて生育し、7月〜10月にかけて開花するため、開花前の6月に草刈りをするのが効果的であるとわかります。
田んぼの草刈りにいい方法
田んぼの草刈りにいい方法として次の3つを紹介します。
- 機械を使って田んぼの草刈りをする
- 業者に料金を払って田んぼの草刈りをしてもらう
- 除草剤を使用する
機械を使って田んぼの草刈りをする
田んぼの草刈りにいい方法として、自分で機械を使って田んぼの草刈りをする方法があります。比較的低価格で手軽に使えるのが刈払機と呼ばれる草刈機です。
軽量で使いやすい「2サイクルエンジン」、パワーのある「4サイクルエンジン」、メンテナンスの簡単な「電気式エンジン」などから、用途に応じて選びましょう。
刃は、切れ味の良い「チップソー」と、安全性の高い「ナイロンコード」の2種類があります。また、広い面積を草刈りする場合には、自走式の畦畔専用草刈り機がおすすめです。
業者に料金を払って田んぼの草刈りをしてもらう
自分で田んぼの草刈りができない場合には、草刈り代行業者に料金を払って田んぼの草刈りをしてもらうことも可能です。
田んぼの草刈り料金について、以下の3点を解説します。
- 草刈り料金を決める要素
- 追加料金がかかる項目
- 田んぼの草刈り料金の相場
草刈り料金を決める要素
草刈り料金を決める要素は次の3点です。
- 面積
- 作業時間
- 草丈
業者によっても異なりますが、草刈り料金は、草刈りをする面積によって決まる場合、作業に要した時間によって決まる場合があります。
さらに、草丈が高い場合には料金が高くなるケースもあるため、あらかじめ業者に料金体系について確認しておきましょう。
追加料金がかかる項目
草刈りに際して追加料金がかかる項目は次の3点です。
- 雑草の処分
- 除草剤の散布
- 手作業による草刈り
業者によっては、草刈りのみを代行してもらい刈り取った草の片付け・処分は自分でするケースと、処分までも依頼できるケースがあります。雑草の処分を依頼する場合には、追加料金が発生することが一般的です。
オプションとなりますが、除草剤の散布も依頼できる場合もあります。自分に合った業者を選びましょう。
通常は機械による草刈りが行われますが、地形の制約などにより手作業による草刈りが必要な場合には、さらに追加料金がかかることがあるため注意が必要です。
田んぼの草刈り料金の相場
田んぼの草刈り料金の相場は以下の通りです。
面積 | 坪単価 |
---|---|
〜149坪 | 600円 |
150〜299坪 | 400円 |
300坪〜 | 300円 |
田んぼの草刈り料金の相場は、雑草の状態によっても異なりますが、1坪(約3.3㎡)あたり300円〜600円程度が一般的です。
シルバーセンターや、地元の方に依頼すると坪100円以下で十分に見つけられます。使わない農地の場合、毎年依頼することになるため、地元の方を探すのが一番良い方法です。
除草剤を使用する
田んぼの草刈りをする代わりに、除草剤を使用する方法もあります。また、草刈りをする場合にも、あらかじめ除草剤を散布しておき、雑草の発生を抑制した上で刈ることも可能です。草刈りには大変な手間がかかるため、除草剤は農家の負担を減らす有効な手段と言えます。
雑草の種類と生育ステージに応じて、適切な除草剤を選ぶことが重要です。田んぼから水漏れが起きてしまうと、除草剤の効果が発揮できないため、注意しましょう。
田んぼの草刈りに関するよくある質問
田んぼの草刈りに関して、よくある質問と回答をまとめました。
- 田んぼの草刈りをする理由は何ですか?
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田んぼの草刈りをするのは、米の収穫量と品質を向上させるためです。
草刈りをしないと雑草が繁茂し、水や養分を取られてしまい、稲の生育が悪くなります。また、稲の害虫であるカメムシが発生し、食害を受けて米に黒い斑点がつき、品質が悪くなります。
さらに、草刈りをせずに放置していると荒廃農地化し、地域環境の悪化や公害につながる恐れがあるためです。
- 田んぼの畦の草刈りのタイミング・頻度は?
-
田んぼの畦の草刈りのタイミング・頻度は、雨が多く雑草が成長する6月下旬、草の勢いが落ち着いてダメージを与えやすい9月中旬、枯れ草を減らせる11月下旬の年に3回が理想です。
年に2回にするのであれば6月下旬と9月中旬に、年に1回であれば6月下旬に草刈りをしましょう。
- 刈った草をそのままにしておくとどうなる?
-
田んぼの草刈りをした後に、刈った草をそのままにしておくと、悪臭が発生したり、病気や害虫の発生を引き起こす可能性があります。
近隣農家の作物の生育や、農作業の妨げになるリスクもあるため、刈った草を放置しておくことは禁物です。
- 休耕田の草刈り時期に適した時期は?
-
休耕田だからといって、草刈りをせずに放置していると、カメムシが発生したり、病気の発生源になったりして、近隣農家に迷惑をかけてしまう可能性があります。必ず定期的に草刈りをしましょう。
休耕田の草刈り時期に適した時期は、通常の田んぼの草刈りと同様です。6月下旬、9月中旬、11月下旬が理想的ですが、最低でも6月下旬の1回は行いましょう。
関連記事 休耕田の雑草対策
田んぼの草刈り まとめ
田んぼの草刈りをするのは、雑草を抑制し、カメムシの発生を防ぎ、米の収穫量と品質を向上させるためです。
さらに、草刈りをせずに放置していると荒廃農地化し、地域環境の悪化や公害につながる恐れがあります。田んぼ保有者として農地を維持する必要があるため、草刈りは必要です。
高刈りをする、水田に草を落とさない、田んぼの草刈り時期を考える、雑草の種類を理解するというポイントを押さえて田んぼの草刈りをしましょう。
田んぼの草刈りの方法には、機械を使って自分でする、業者にしてもらう、除草剤を使用するなどがあります。
また、日当たりの良い田んぼ(農地)は、太陽光発電所用地に転用されることも多いです。太陽光初発電所になると年1~2回の草刈りメンテナンスを実施するため安心です。
関連記事 農地で太陽光発電をするには?
使わない農地であれば、農地転用をして活用することを一度検討してみてはいかがでしょうか。「使わない田んぼの活用方法」については、以下の記事をご覧ください。
関連記事 使わなくなった田んぼや畑の活用方法