耕作放棄地の草刈りが必要な理由とは? 補助金・料金についても詳しく解説!

耕作放棄地の草刈りをどうすればよいのか知りたいと考えていないでしょうか。
耕作放棄地はきちんと管理しないとさまざまな問題が発生してしまうため、正しい方法で草刈りする必要があります。
耕作放棄地の草刈りをする際の参考にしてください。
管理できていない・放置している田んぼを売りたいとお考えなら、「農地売却の方法(田んぼを売るには?)」をご覧ください。農地の売却方法や税金、費用について解説しています。
耕作放棄地の草刈りが必要な理由

耕作放棄地の草刈りが必要な理由は次の3点です。
- 耕作放棄地によって近隣農家に迷惑がかかるため
- ごみの不法投棄が発生するため
- 災害リスクが高まるため
耕作放棄地の草刈りをして、トラブルを発生させないようにしましょう。
そもそも「耕作放棄地」とは何かについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事 耕作放棄地とは? 問題と解決策
耕作放棄地によって近隣農家に迷惑がかかるため
耕作放棄地の草刈りをしていないと、近隣農家に迷惑をかけてしまい、苦情が寄せられる場合もあります。
雑草が広範囲に繁茂したり、害虫・野生動物による被害を拡大させたりしてしまうためです。
近隣の土地に種子を飛散させてしまう
耕作放棄地において雑草が繁茂してしまうと、近隣農家に種子が飛散する可能性があります。飛散した種子が発芽すると、近隣農家の土地に雑草が生え、迷惑をかけてしまうでしょう。
害虫や野生動物が近隣を荒らしてしまう
耕作放棄地の草刈りをしていないと、害虫が発生しやすくなります。近隣の農家が栽培している農作物や、周辺の土地や建物に悪い影響を与えるため、注意が必要です。
実際に、以下の耕作放棄地では、雑草の繁茂にともなってスズメバチが生息し、近隣が危険な状態となっていました。

また、雑草が繁茂したり、害虫が発生したりしている環境には、餌を求めて野生動物が侵入してきます。その結果、近隣農家に迷惑をかけてしまう可能性があります。
ごみの不法投棄が発生するため

草刈りをしていない耕作放棄地では、ごみの不法投棄が発生する可能性があります。雑草が茂って管理されていない土地とみなされると、「ごみを捨ててもわからないだろう」と思われるためです。
家庭ごみから大型ごみまで、さまざまなごみが不法投棄されてしまうと、土地の価値が下がってしまいます。また、環境を汚染し、近隣住民からの苦情が寄せられるリスクもあります。
災害リスクが高まるため
耕作放棄地の草刈りをしていないと、災害リスクが高まります。耕作放棄地は、貯水機能や防火機能が失われているためです。
水田には水が張られているため地表に雨水を貯められますし、畑は土壌の隙間に雨水を貯留する機能を持っています。水田や畑が耕作放棄地になってしまうと、これらの貯水機能が低下するというのが、洪水が発生しやすくなるメカニズムです。
また、管理されている農地は火災が発生した場合に延焼を防ぎますが、草刈りをしていない耕作放棄地は反対に枯れ草などによって火災の原因になってしまうリスクがあります。
関連記事 耕作放棄地とは? 問題と解決策
耕作放棄地の草刈りの方法
耕作放棄地の草刈りの方法は次の2つです。
- 刈払い機・トラクターを使用して耕作放棄地の草刈りをする
- 料金を払って耕作放棄地の草刈りをしてもらう
自分で草刈りをする方法と、他人に草刈りを依頼する方法ですが、それぞれについて説明します。
刈払い機・トラクターを使用して耕作放棄地の草刈りをする

耕作放棄地の草刈りを自分でする場合には、刈払い機を使う方法があります。比較的小規模の面積を草刈りするには、手軽にできるためおすすめの方法です。ただし、面積が大きい場合には作業の負担が大きくなるためおすすめできません。
広い面積の草刈りをするには、トラクターにハンマーナイフモアという草刈り機を装着する方法があります。また、トラクターに装着するのではなく、押すタイプの歩行式ハンマーナイフモアや、乗用式モアもあります。
料金を払って耕作放棄地の草刈りをしてもらう

耕作放棄地の草刈りを自分でするのではなく、料金を払って草刈り代行業者にしてもらう方法もあります。草刈りのみを依頼する場合と、刈った草の処分まで依頼する場合があります。また、草刈り後にオプションとして除草剤をまくサービスを提供している業者もあるため、希望する場合には相談してみましょう。
草刈り料金の相場は、規模によっても異なりますが、1坪(約3.3㎡)あたり400円〜600円程度が一般的です。
耕作放棄地の草刈りへの補助金
耕作放棄地の草刈りへの補助金は主に次の2種類です。
- 多面的機能支払交付金による草刈りへの補助
- 自治体による草刈りへの補助
国によるものと自治体によるものですが、それぞれについて説明します。
多面的機能支払交付金による草刈りへの補助
農林水産省による多面的機能支払交付金は、農業の持っている多面的機能の維持・発揮を図るための地域の共同活動を支援する補助金です。
多面的機能には、「農村の景観を保全する機能」などが含まれるため、農地の法面・農道の草刈りなどが該当します。まずは、市町村の担当窓口に相談してみましょう。
自治体による草刈りへの補助
自治体によっては、耕作放棄地の草刈りに対して独自の補助制度を設けているところもあります。
例えば、福井県永平寺町には「永平寺町耕作放棄地対策補助金」制度があり、耕作放棄地における草刈り・耕起等の農地保全活動を作業委託した面積に、10a当り 2,000円を、年2回まで交付しています。
地元の自治体に補助制度がないかどうか、問い合わせてみましょう。
耕作放棄地の草刈りに関するよくある質問
耕作放棄地の草刈りに関して、よくある質問と回答をまとめました。
- 農地の草刈りは義務ですか?
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農地の草刈りは、所有者の義務であるとは言えません。ただし、雑草が繁茂して種子が近隣農地に飛散したり、害虫が発生したり、野生動物の侵入を招いたりして、近隣農家や住民に迷惑をかけてしまう可能性があるため、注意が必要です。
- 耕作放棄地で雑草の草刈りをしないとどうなるか?
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耕作放棄地で雑草の草刈りをしないと、近隣農家に迷惑がかかったり、ごみの不法投棄が発生したりしてしまいます。また、貯水機能や防火機能が低下することによって、災害リスクが高まってしまうため、草刈りは必要であると言えます。
雑草を放置した場合の問題点については、以下の記事をご覧ください。
関連記事 雑草を放置するとどうなる?
- 耕作放棄地の草刈りをしない場合の罰則は?
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耕作放棄地の草刈りをしないということだけで罰則を受けることはありません。
ただし、耕作放棄地において草刈りなどの管理をせずに、病害虫が発生し、周辺の地域における営農条件に著しい支障が発生する場合には、農地法42条によって、市町村長が措置を講ずることを命じることができます。さらにその命令に違反した場合には、30万円以下の罰金が課せられます。
耕作放棄地の草刈り まとめ
耕作放棄地の草刈りが必要な理由は、耕作放棄地によって近隣農家に迷惑がかかるため、ごみの不法投棄が発生するため、災害リスクが高まるためなどです。
耕作放棄地の草刈りをするには、刈払い機・トラクターを使用して耕作放棄地の草刈りをする、料金を払って耕作放棄地の草刈りをしてもらうという2つの方法があります。
また、耕作放棄地の草刈りへの補助金には、国による「多面的機能支払交付金」や、自治体独自の制度があるため、該当するものがあれば活用することをおすすめします。
耕作放棄地の草刈りをして、トラブルを発生させないようにしましょう。
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