太陽光パネル

太陽光パネルの寿命は何年? 劣化の原因や長持ちさせる3つのコツを紹介

太陽光パネル 寿命
阿部希

「太陽光パネルは実際に何年くらい使い続けられるのか知りたい」
「太陽光パネルをできるだけ長持ちさせる方法がないか」
「太陽光発電に寿命がきたらどうすれば良いか分からない」

太陽光発電の投資を検討している方の中には、上記のように太陽光パネルの寿命が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

再生可能エネルギーを活用した発電設備の中で、太陽光発電は最も普及しています。

しかし、パーツに有害物質を含む太陽光パネルの大量廃棄が懸念されていることもあり、太陽光発電の投資はやらなきゃよかったなどの声もある状況です。

そこで本記事では太陽光パネルの寿命までの年数や、劣化する原因や長持ちさせるためのポイントを解説します。

寿命を迎えた太陽光パネルをどのように廃棄するのかも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

太陽光パネルの寿命は実際20年以上ある

屋根の上のソーラーパネル

太陽光発電システムを構成する各機器の寿命までの期間は様々ですが、太陽光パネルは20年以上発電し続けられる機器です。以下では太陽光パネルの寿命について、詳しく説明します。

製品寿命は25~30年

一般的な太陽光パネルの寿命は、25〜30年と言われています。メーカーによる太陽光パネルの保証期間も25年が多く、30年のケースもある傾向です。

発電所を稼働して25年、30年経過したからといって、急に太陽光パネルが発電できなくなるわけではありません。徐々に発電効率が低下していき、比例して発電量も減少します。

寿命までの期間を長く保つために、太陽光発電では定期的なメンテナンスの実施が重要です。

とはいえ、寿命が10〜15年程度と言われているパワーコンディショナーと比較すると、太陽光パネルは役目を終えるまでの期間が長い機器と言えます。

参考:2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題|経済産業省 資源エネルギー庁

メーカーの出力保証は25年が一般的

メーカーによる太陽光パネルの出力保証は、25年間が一般的です。太陽光パネルに関するメーカー保証は、出力保証製品保証の2種類あります。

それぞれで保証される期間や保証内容を、以下の表にまとめました。

保証の種類出力保証製品保証
一般的な保証期間25年が多い10年が基本
保証内容メーカーが規定した条件下での使用において、発電量が基準を下回る場合に保証される。経年劣化を加味するため、使用年数に応じて基準となる発電量の数値が変わる。設計や製造不良などメーカー責の欠陥が見つかった場合に受けられる保証。

製品保証は10年間が多く、有償で15年や20年に保証期間を延長できるケースもあります。

メーカー保証を受けての修理や交換には、施工不備がないことなど条件があるため、技術力が高い業者の選定も重要です。

法定耐用年数は17年

太陽光パネルの寿命と勘違いされやすい年数に、法定耐用年数があります。

「法定耐用年数」とは国税庁が定めた、太陽光発電システムを固定資産として減価償却できる年数のことです。

減価償却するための法定耐用年数は設備ごとに年数が定められており、太陽光発電の場合は17年です。

固定資産に関する税制上の取り決めのため、法定耐用年数は太陽光パネルの寿命とは関係ありません。

ただし、節税に関わる内容であることから、投資用太陽光発電を購入される方には重要な事項と言えます。

太陽光パネルが劣化して寿命に近づく原因

太陽光パネルの劣化率は年間で0.5〜1%程度と言われており、主な原因は以下の3つです。

  • パネル表面の汚れ
  • パネルを覆う強化ガラスの破損
  • 経年劣化によるパネル内部の腐食

これらが太陽光パネル劣化の原因となる理由について、詳しく説明します。

参考:太陽光発電の導入見込量と関連情報について|環境省

パネル表面の汚れ

そもそも太陽光パネルは屋外に設置するため以下のような汚れが付きやすく、定期的な清掃が必要不可欠です。

  • 鳥の糞
  • 枯れ葉
  • 黄砂や砂埃

汚れが付いた状態で放置してしまうと、太陽光パネルに影ができるためホットスポットの原因になります。

「ホットスポット」とはパネルに影や汚れなど不具合があると、周囲よりも温度が上昇する現象のことです。

影や汚れの部分が周囲より30℃近く温度が高くなるケースもあり、発電性能が劣化する原因になります。

太陽光パネルに汚れがなくなればホットスポットは発生しないため、こまめに清掃できれば寿命までの期間を長くできます。

ただし、水道水で洗い流すだけでは水垢が付着し、ホットスポットになる箇所が増えかねません。純水清掃に対応した業者への太陽光パネル清掃依頼が必要ですので、注意しましょう。

関連記事 太陽光パネルは掃除が必要

パネルを覆う強化ガラスの破損

太陽光パネルは内部の太陽電池が強化ガラスで保護されていますが、ガラス面の破損は発生しやすい傾向があります。

パネル表面が破損する主な原因は、以下の2つが考えられます。

  • 強風による飛来物の衝突
  • 鳥のいたずらで空から石が落ちてくる

パネルが破損していると、発電量が低下するだけでなく漏電の可能性もあり危険です。

破損を放置するとガラスが割れた箇所から内部に水分が入り込んで、パネルだけではなく回路全体が故障することもあります。

太陽光発電システム全体の発電効率維持と感電など危険回避のため、破損したパネルは早急に適切な処分と交換が必要です。

経年劣化によるパネル内部の腐食

内部で異変が起きると太陽光パネルが発電できなくなることが、寿命に近づく要因の1つです。

太陽光パネルは強化ガラスや太陽電池のほか、バックシートや封止材などの層が重なってできています。

長期間、太陽光パネルで発電を続ける間に内部の配線が腐食したり、層同士が剥がれたりすることが劣化の原因です。

定期的にメンテナンスすることで、経年劣化が進むスピードを緩められます。

太陽光パネルが内部から性能低下するのを防ぐためには、メンテナンスが必要不可欠と言えるでしょう。

太陽光パネルの寿命を伸ばすコツ3選

少しでも長く太陽光パネルが発電できる状態を保つためのコツは、以下の3つです。

  • メンテナンスを定期的に実施
  • 遠隔監視での発電量チェック
  • 技術力が高い業者の選定

どのような方法で太陽光パネルの寿命を伸ばすのか、詳しく説明します。

メンテナンスを定期的に実施

太陽光パネル 業者

定期的に太陽光発電システムをメンテナンスしていれば、太陽光パネルの寿命を長く保てます。

メンテナンスでは発電設備の電圧を計測したり、設備に不具合がないかチェックしたりした上で、必要に応じて修繕などを施します。

設備が発電できなくなる前の小さな不具合の段階で対策できることが、大きなトラブルや故障を未然に防いで、太陽光パネルを長持ちさられる理由です。

太陽光パネルを含めた太陽光発電システムのメンテナンス費用がかかりますが、メンテナンスしなかった場合に寿命が短くなることを考えると、必要経費ということが分かります。

メンテナンス費用の詳細は以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。

関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)

遠隔監視での発電量チェック

日常的に発電量をチェックするのも、太陽光パネルを長持ちさせるためのポイントです。

投資用太陽光発電では発電所が遠方にあるケースが多く、発電量は遠隔監視の機能を利用して確認します。

遠隔監視システムでは以下図のようにリアルタイムで発電量データがグラフ化され、感覚的に発電状況が分かります。

発電量のグラフ比較

設置したパワコンの台数分だけグラフがあり、1台だけ違う波打ちをしている機器があれば、何かしら異常が発生しているサインです。

発電グラフの変化に異常を発見したタイミングで業者に点検を依頼すれば、太陽光パネルの不具合にすぐ対処できるため寿命が長くなります。

関連記事 パワコン(パワーコンディショナー)とは?

技術力が高い業者の選定

ソーラーパネルを点検するエンジニア

太陽光パネルを長く使い続けられるかは、施工技術による部分もあるため技術力が高い施工業者を選べるかも関係しています

施工不良があると設備に負荷がかかり、性能低下を早める可能性があるためです。

たとえば、ケーブル同士を接続するコネクタという部材は、施工不良が起きやすい傾向があります。

コネクタに施工不良がある状態で発電を継続すると、ケーブルに負荷がかかって発火や断線などトラブルの原因になりかねません。

しかし、コネクタでケーブルを正しく接続できていなくても発電できるため、発覚が稼働から1年以上経過後になるケースが多くあります。

太陽光パネルの寿命を早めないためには、施工実績が豊富で電気工事士の資格所有者が在籍している業者を探す必要があります。

太陽光パネルが寿命を迎えた後の廃棄方法

太陽光パネルにはカドミウムや鉛、銀など人体や環境に悪影響がある物質が含まれているため、適切な方法での廃棄が必須です。

基本的には、産廃業者やリサイクル業者に有償で処分を依頼します。

太陽光発電では、将来的に太陽光パネルが最終処分場に集まり過ぎて処理しきれなくなるのではないかと、廃棄問題が懸念されている状況です。

2012年のFIT制度開始以降、太陽光発電の普及が進みましたが、同時に2037年頃から大量の太陽光パネルが寿命を迎え始めます。

不法投棄などで環境汚染の懸念もあることから、太陽光パネルは猛毒という意見もあります。

こういった問題に備えて、発電事業者には2022年から廃棄費用の積み立てが義務化されました。

FIT制度を適用していれば、卒FITの10年前から自動的に積み立てが始まる仕組みです。FITを利用しないモデルでは、各事業者で独自に廃棄費用の積み立てが必要になります。

地球温暖化対策としての太陽光発電が、環境汚染の原因になっては意味がないので、投資を始める前から廃棄費用の積み立てを計画していくことが大切です。

太陽光パネルの廃棄費用平均

太陽光パネル廃棄の際、架台の基礎部分であるスクリューやコンクリートを解体しない場合の撤去費用は0.57万円/kWが相場です。

この金額は経済産業省が廃棄費用を調査した中での中央値のため、太陽光パネルの枚数や発電所の環境によって変動します。

以下の図表は、太陽光発電システム廃棄の工程ごとに基礎の種類別に撤去費用を一覧にしたものです。

太陽光発電の撤去費用一覧
出典:太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを担保する制度に関する詳細検討①|経済産業省 資源エネルギー庁

寿命で発電できなくなった太陽光パネルのみ処分するか、発電所を原状復帰するかで費用相場が大きく違うことが分かります。

発電所から太陽光パネルの処分場までの距離で運搬費が追加になるケースもあるため、具体的な費用については産業廃棄物を取り扱う業者への問い合わせをおすすめします。

関連記事 太陽光パネルの廃棄費用・処分方法

まとめ|太陽光パネルの寿命は20年以上あるが対策すれば長くできる

一般的な太陽光パネルの寿命は25〜30年で、メーカーの出力保証期間も25年または30年が多い傾向です。

寿命までの期間が10〜15年程度のパワーコンディショナーと比較すると、太陽光パネルは寿命が長い機器になります。

以下は、太陽光パネルの寿命を長く保つためのポイントです。

  • メンテナンスを定期的に実施
  • 遠隔監視での発電量チェック
  • 技術力が高い業者の選定

太陽光パネルの寿命を長くさせるポイント抑えられれば、廃棄費用を積み立てる期間が長くなります。

発電できなくなった太陽光パネルは、産廃業者またはリサイクル業者を利用して処分が必要です。

処分せずに太陽光パネルを設置したままにすると、有害物質が漏れだす可能性も懸念事項になっているため注意しましょう。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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