RPR(逆電力継続器)とは? 自家消費型太陽光発電に逆潮流が必要な理由を解説
「RPR(逆電力継電器)とはどのような機器?」
「RPRを太陽光発電に取り付けるよう言われたけど、低圧にも必要?」
「RPRがなぜ自家消費型太陽光発電に必要なのか知りたい」
オンサイトPPAを利用した自家消費型太陽光発電の導入を検討中の法人ご担当者様の中には、上記のようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
世界情勢の悪化による燃料費高騰の影響で電気代が高い状態が何年も続いている中、固定費削減のために太陽光発電導入を検討する企業が増えています。
これまでは自家消費よりも売電をメインに考えるケースが多かったため、RPRの取り付けが不要な太陽光発電システムがほとんどでした。
本記事では「RPRとは?」や、太陽光発電に取り付けが必要な理由を解説します。
RPRを導入して安全に太陽光発電で自家消費する方法が分かる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。
当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。
RPRとは? 逆潮流についても解説
自家消費型の太陽光発電ではRPRと呼ばれる逆電力継続器の取り付けが必要になるケースがあります。
以下ではRPRがどのような機器なのか、関連する「逆潮流」という電気の流れについて解説します。
RPRとは逆電力継続器のこと
RPRは「Reverse Power Relay」の頭文字を取って省略した名称で、日本語では逆電力継続機、逆電力継電器などと呼ばれる機器です。
発電した電気を電力会社に売電せずに、全量を自家消費する太陽光発電設備にRPRが設置されます。
電気の流れを監視し契約外の方向に流れそうになったら、太陽光での発電を停止する役割を担うのがRPRです。
低圧や住宅用など設備の規模にかかわらず、電気を売電しない太陽光発電にはRPRが必要になります。
なぜ電力を自家消費する太陽光発電でRPRが必要になるのかの前に、逆潮流という電気の流れについて説明します。
逆潮流とは
逆潮流は、太陽光発電システムなどから電力会社に売電する際の電気の流れを指します。反対に、電力会社から一般家庭やオフィスビルなどに供給される電気の流れは「順潮流」と呼び、以下の図のようなイメージです。
電気量は電力会社が管理して需要と供給のバランスを保っているため、予定外の電気が逆潮流で送電網に流れてしまうと、負荷がかかり停電の原因になります。
このため電気を売電しない自家消費型の太陽光発電設備から、送電網に電気が流れないようにする対策が必要です。
逆潮流に対してなぜRPRが必要になるのか、見ていきましょう。
RPR(逆電力継電器)が太陽光発電に必要な理由
RPRを設置する目的は、自家消費型太陽光発電所から電力会社の送電網への電力の流入を防ぐことです。
電力会社の設備である送電網は、電力の需要に応じた供給量を保たないと停電などの不具合が発生するため、24時間体制で監視・制御されています。
一般家庭や商業施設などで消費される電力量よりも供給量が多くなると、需要と供給のバランスが崩れかねません。
太陽光発電にRPRを取り付けて電気の流れを監視していれば、逆潮流を検知した際は強制的に発電をストップして電気の送電網への流れ込みを防げます。
このように電流を監視することで電力の供給過多によるトラブルを防ぎ、電力会社や電気の利用者に損失が出ないよう、RPRを利用したコントロールが必要です。
逆潮流でRPRが動作すると発生する問題
逆潮流が発生してRPRが動作すると、以下2つのような問題が起きます。
- 発電が止まるため自家消費できない
- 感電の可能性があり危険
なぜ問題となるのか、それぞれ詳しく説明します。
発電が止まるため自家消費できない
RPRは回路に逆潮流の信号が検出されると、パワーコンディショナの運転を停止させる機能があります。
このため発電した直流の電気を自家消費できる種類の交流に変換できなくなり、復旧するまで電力会社から供給される電力を使用しなければなりません。
パワーコンディショナが止まった状態が長くなると電気代がかさみ、自家消費のメリットが薄れます。
太陽光発電を利用した自家消費を継続するためには、逆潮流が発生しない環境になるように、消費電力量の調節や蓄電池導入などでの対策が重要です。
感電の可能性があり危険
RPRが機能してパワコンを停止させても、太陽光パネルでの発電が止まるわけではありません。パワコンが停止しても、太陽光発電システムには発電した電気が蓄積されています。
回路に電気が溜まっている状況に気が付かずに、復旧作業でケーブルなど施設の設備に触れると感電の可能性があり危険です。
このため停電時に回路から太陽光発電システムを切り離すための単独運転防止機能が、パワコンには備えられています。
逆潮流を発生させないための対策
自家消費型の太陽光発電で、逆潮流が起きないようにするための対策は、以下の3つです。
- 自家消費量に合わせてパネル設置枚数を調節する
- 発電量の制御装置を導入する
- 蓄電池に電気を溜める
それぞれの、具体的な対策方法を説明します。
自家消費量に合わせてパネル設置枚数を調節する
太陽光パネルの枚数を調節して、太陽光発電の出力容量を小さくすることが逆潮流を防止する方法のひとつです。
逆潮流が発生する原因は、自家消費で使用する電力が発電量よりも少ないことです。
日中の電力消費量に合わせて設置する太陽光パネルの枚数を決めると、最大の発電量が減るため逆潮流を防止できます。
自家消費する電力量は、以下の項目を参考に想定します。
パネル枚数を減らして発電量が少なくなると自家消費による電気代削減効果が小さいため、損失が出ないような運用を業者に相談する必要があります。
発電量の制御装置を導入する
太陽光発電での発電量を制御できる製品を活用するのも、逆潮流を防止する方法の1つです。
負荷追従制御機能を搭載した装置を太陽光発電システムに接続すれば、発電量をコントロールできます。
太陽光発電から供給される電力量と消費する電力量を負荷追従制御機能が監視して、発電量を自動で調整できることが逆潮流の防止になる理由です。
日によって電力消費量に大きく差がある場合は、制御装置の導入が逆潮流の防止策として有効と言えます。
蓄電池に電気を溜める
太陽光発電と蓄電池を併用していれば、自家消費しなかった分の電気を溜められるため、逆潮流対策になります。
逆潮流の発生を防止するには、電気の消費量よりも発電量が大幅に多い状況を避けなければなりません。
厳密には太陽光発電で発電した電気を使っていませんが、蓄電池に溜めることで電力を消費したのと同じ状態になります。
蓄電池に電気を溜めることは、逆潮流の防止だけでなく電気代の削減にも貢献できると言えます。
RPRの設置場所
RPRは通常太陽光発電システムと電力会社の送電網との間で、電力会社側に近い場所に設置されます。
また太陽光発電システムにRPRを取り付けた後で、電力会社に設置位置が分かる配線図の提出が必要です。
以下の図は、RPRを太陽光発電に設置する例のひとつです。
RPRの取り付け位置を間違えてしまうと、逆潮流を防止する機器として機能しません。
自家消費型太陽光発電の施工実績が豊富な業者にRPRの取り付けを依頼すれば、設置間違いによるトラブルは避けられるでしょう。
太陽光発電でRPRの設置を省略できる条件
電気の逆潮流が発生してはいけない自家消費型の太陽光発電でも、RPRを設置しなくても良いと電力会社に判断されるケースがあります。
- 太陽光発電システムの出力容量が電力会社から供給を受ける電力量よりも極めて小さい
- 単独運転検出機能により、速やかに太陽光発電での発電を停止できる
RPRの設置を省略できるかどうかは電力会社の判断によるため、電力会社への問い合わせが必要になります。
参考:系統連系に係る設備設計について|東京電力パワーグリッド株式会社
RPRについてのよくある質問
太陽光発電のRPRに関してよくある質問とその回答です。
- RPRのメーカーはどこですか?
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RPR(逆電力継電器)の自家消費型太陽光発電に利用できる機器を製造している主なメーカーは、以下のとおりです。
- オムロン
- 三菱電機
- 富士電機
- 日新電機
上記以外でも、RPRを製造しているメーカーがあるため、業者に相談しながら最適なメーカーの機器を選ぶことをおすすめします。
- RPRの設置は義務ですか?
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電力会社からRPRを設置するよう指示を受けた場合は、義務となります。
太陽光発電で発電した余剰電力を売電せずに、自家消費のみで電気を使用する場合はRPRの設置が必要なケースがほとんどです。
RPRとは?についてのまとめ
RPR(逆電力継電器)とは、太陽光発電からの逆潮流を防止するための装置です。
逆潮流が発生して電力会社の送電網に電気が流れ込むと、需要に見合わない供給量となり停電などトラブルの原因になります。
このため電気を売電しない自家消費型の太陽光発電にはRPRの取り付けが必要です。
ただしRPRが働いて、パワコンの稼働が停止すると電気の自家消費ができないため、逆潮流を起こさないような工夫も重要になります。