太陽光発電の電磁波で体調不良になる心配はない! 人体や生活への影響の有無を解説

太陽光発電 電磁波
阿部希

「太陽光発電は電磁波が出るから危ないという噂は本当?」
「太陽光発電を自宅に設置したいけど、電磁波での体調不良が不安」

このように太陽光発電の周囲への影響が心配で、購入を決めかねている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

電流が流れているところに存在する電磁波は、日常生活で利用するあらゆる家電製品からも発生しています。太陽光発電システムからも電磁波が生じるため、人体への悪影響が懸念されている状況です。

この記事では太陽光発電から発生する電磁波の種類や、人体や生活に影響があるかを解説します。

電磁波が不安な場合に影響を少なくできる方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。

電磁波とは電界と磁界が空間を伝わる波

電磁波は電気が流れるところに発生するもので、電界と磁界が1つの方向に進む流れを指します。

電界は電気を回路に流そうとする力の電圧がかかる空間、磁界は磁性を持つ物質が引き寄せられる磁力がはたらく空間です。以下の図は、電磁波のイメージを表しています。

電磁波のイメージ図
出典:身のまわりの電磁界について|環境省

たとえば、電子レンジを使用する際、電源コードの周りに以下のような流れで電磁波が発生します。

  1. 電気を通す性質の金属に電流を流す
  2. 磁界が発生する
  3. 電流が流れる向きが変化する
  4. 電界が発生する
  5. 1~4を交互に繰り返す

目には見えませんが、磁界と電界が互い違いに発生しながら波のようにうねった状態で空間を伝わるのが電磁波です。

太陽光発電から生じる電磁波の種類と強さ

太陽光発電から電磁波が発生するのは、パワーコンディショナーで発電した電力が家電製品を動かせる種類の電流に変換されるときです。

以下では、太陽光発電システムから生じる電磁波の種類と測定した数値を紹介します。

太陽光パネルの場合

太陽光パネルからは、静磁界(せいじかい)と呼ばれる大きさが変化しない磁界が発生します。0.2m離れた位置で測定した静磁界の最大値は、8.33μT(マイクロステラ)です。

「μT」は磁界の大きさを示す単位で、5A(アンペア)の電流が流れている場所から1mの地点での測定値になります。

磁界が発生する際に流れる電流の種類が「交流」の場合、電気の向きが変化するため電磁波が発生する仕組みです。

太陽光パネルが発電する際の電流種類は「直流」で向きが変化しないため、電磁波は発生せず危険性も低いと言えます。

パワーコンディショナーの場合

パワーコンディショナーからは、300Hz(ヘルツ)以下で変動する超低周波磁界が発生します。

「Hz」は、1秒あたりに電磁波として発生する波の数を表す単位です。

磁界の大きさをパワーコンディショナーのすぐ近くで測定した場合、最大値は61.9μT(マイクロステラ)です。

太陽光発電のパワーコンディショナーから生じる超低周波磁界は、向きが変化する交流電流によって生成されるため、電磁波が発生します。

太陽光発電の電磁波による影響の有無

太陽光発電のトラブル

太陽光発電システムから発生する電磁波による健康被害や、電波障害はないと言われています。ただし、埋め込み式医療機器を装着している方は、電磁波による誤作動が懸念事項です。

以下では電磁波が健康被害や電波障害の原因にならない理由と、埋め込み式医療機器を使用している場合のリスク回避法を説明します。

太陽光発電の電磁波は人体への影響はない

太陽光発電システムのパワコンから生じる電磁波による健康被害の有無について、世界保健機関(WHO)が以下の見解を示しています。

世界保健機関(WHO)の見解
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)がガイドラインで定める指針値よりも、人体が浴びる電磁波が小さい場合、健康被害は起きない。

ガイドラインで定められている電磁波の指針値は200μT(マイクロテスラ)、パワコンから発生する最大値は61.9μTです。

太陽光発電システムから生じる電磁波は、基準値の半分を下回る大きさであり、人体への影響はないと分かります。

電波障害による生活への影響も報告されていない

太陽光発電システムの電磁波によるWi-Fiやテレビなどへの電波障害の事例は報告されていないと、環境省の資料にまとめられています。

資料によると、群馬県太田市のパルタウン城西の杜で約550戸の住宅に太陽光発電を設置し、4年に渡り実証実験した中で電波障害は発生していません。

また、空港など大規模な太陽光発電システムを導入している施設でも、電波障害はなく飛行機の運航にも影響がないとされています。

このため、自宅の屋根に太陽光発電を導入しても無線が利用できない、テレビが観られないなど生活への影響はないと考えられます。

埋め込み式医療機器は誤作動の可能性がある

太陽光発電システムから発生する電磁波は人体に影響がないレベルですが、非常に弱い電磁波でも電気・電子機器の動作に影響します。

ペースメーカーなど埋め込み式医療機器を装着している方が、電磁波を発生させる機器の近くにいると誤作動の危険があります。

このため、ご家族がペースメーカーを装着している場合は、電磁波で誤作動しないようパワコンを屋外に設置するなどリスクを回避する対応が必須です。

パワコンの設置場所を慎重に決めれば、埋め込み式医療機器を装着しているご家族がいる場合でも自宅に太陽光発電を導入できます。

太陽光発電の電磁波が心配な場合の対策方法

埋め込み式の医療機器を使用していなければ、太陽光発電の電磁波による健康や生活への影響はないことが分かりました。

それでも何も対策しないと不安な場合には、以下2つの対応をおすすめします。

  • パワコンの設置場所を調整する
  • 電磁波干渉防止シートをパワコンに貼付する

どのような対策方法か、1つずつ見ていきましょう。

パワコンの設置場所を調整する

電磁波は、発生源から距離が近いほど受ける影響が大きいと言われています。これは太陽光発電のパワコンを可能な限り遠くに設置すれば、電磁波と距離を保てるということです。

ただし、一般的な広さの戸建て住宅で屋内設置型のパワコンを導入する場合、生活スペースを遠ざけるのは現実的でないケースが考えられます。

家庭向けの太陽光発電で電磁波の影響を少なくしたい場合は、屋外設置タイプのパワコンを導入すると良いでしょう。

電磁波干渉防止シートをパワコンに貼付する

電磁波干渉防止シートを利用するのも、電磁波が心配な場合の対策方法です。電磁波干渉防止シートには磁気の影響による電波干渉を防ぐ機能があります。

たとえば、交通系ICカードの情報が消えないように、スマートフォンとカードの間に入れるのが電磁波干渉防止シートの使用方法です。

このシートをパワコンに貼付することで、電磁波対策ができます。

太陽光発電で近隣トラブルになる理由の1つは電磁波

住宅用太陽光発電において隣の家とトラブルが起きる原因の1つに、電磁波があります。

太陽光発電で多い近隣トラブルの原因は反射光や景観ですが、電磁波が問題となった事例も一定数が報告されている状況です。

電磁波が原因のトラブルとしては、太陽光発電の設置によって健康被害や電波障害を懸念する隣地の住民から反対される事例が考えられます。

万が一電磁波を理由に近隣から太陽光発電の設置に反対された場合は、業者にも相談して双方が納得できる位置へのパワコン設置を提案しましょう。

パワコンと距離が取れていれば隣の家も電磁波の影響を受けなくなるため、太陽光発電の設置に納得してもらえる可能性が高いと考えられます。

まとめ|太陽光発電から生じる電磁波で人体や生活への影響はない

太陽光発電システムでは、パワーコンディショナーから電磁波が発生しますが、太陽光パネルからは生じません。

パワーコンディショナーの電磁波は、最大61.9μT(マイクロテスラ)です。電磁波の基準値である200μTより、非常に低い数値のため人体や生活に支障はないと世界保健機関(WHO)が見解を示しています。

ただし、電気・電子機器の動作に電磁波が影響します。このため、ペースメーカーなど埋め込み式医療機器を装着する方がいる場合は、パワーコンディショナーの設置場所について慎重な検討が必要です。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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