太陽光パネル

太陽光パネルから火災が起きる原因は? 火災事例・予防策を紹介

太陽光パネル火災
momohiki011

「太陽パネルから火災が起きるって本当なの?」
「トラブルが起きるなら投資すべきではないの?」
「メガソーラー火災という怖いニュースを見るけど、どれくらいひどいの?」

太陽光発電投資に興味があるけれど、太陽光パネルで発生する火災トラブルが不安な方はいないでしょうか?中には、火災リスクによって投資や環境に悪い影響が起きるのではないかと気にしている人もいるはずです。

この記事では、以下についてわかりやすく解説します。

太陽光パネルから火災! 過去の事例・ニュースを紹介

太陽光パネル

「太陽光パネルから火災が起きた」というニュースを目にしたことはないでしょうか。具体的にどのような火災が発生しているのか、過去の事例やニュース情報をまとめました。

メガソーラーの火災により消防士が死亡

現在、世界中に設置・運用されているメガソーラーから、多数の火災事件が起きています。

メガソーラーとは?

山や丘の一面を太陽光パネルで埋め尽くされた発電施設のことです。大規模太陽光発電所と呼ばれています。

火災発生の原因となるのが、パネルが継続的に受ける強い日差しです。太陽光パネルの裏表に用いられる防水用の樹脂製バックシートは燃えやすい素材であるため、強い熱の力によって発火し、周囲の太陽光パネルに燃え広がります。

結果として大火災が起き、消防活動に取り組む消防士が何名も命を落としました。海外諸国そして日本では現在、次のような取り組みが始まっています。

太陽光パネルの耐火性に関する法律や規制が定められているとしている。米国でも同じように、太陽光パネルの耐火性への対応が強まりつつあるという。
日本国内では現在、太陽光パネルの耐火性に関する法律や規制は存在しないものの、検討が進んでいるようだ。

引用:日経XTECH「『消防士の死亡例も』、発電が止まらず、燃え続ける太陽光パネル」

地震・山火事による太陽光パネル被害が相次ぐ

太陽光パネル火災は、熱を起こす日光だけでなく、地震・山火事といった自然災害の影響で発生する場合があります。

たとえば、和歌山県では山火事の影響でメガソーラーが焼け、配線ケーブルショートにより山火事の被害が悪化しました。また放水時の感電リスクがあるとして、消火活動に悪い影響を及ぼしています。

結果として、メガソーラーに反対する団体から次のような発言が増えているそうです。

太陽光パネルが消火活動の妨げになったり、火災で損傷したパネルがショートするなどして被害を拡大させたりしていないか、今後のためにも調査するべきだ

引用:産経新聞「能登半島地震で太陽光パネルに被害相次ぐ 和歌山の山林火災では消防士が感電の危険」

他にも、地震の影響で地滑りが起き、メガソーラーの一部が飲み込まれるといった被害も起きているため、経済産業省から注意喚起される事態へと発展しました。

住宅用太陽光発電システムからも火災が発生

太陽光パネルの被害は、大規模発電施設であるメガソーラーだけでなく、自宅に設置されている住宅用太陽光発電システム(ソーラーパネル)から火災が発生している事例があります。

消費者庁が公開している「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等に係る事故等原因調査の報告書」によると、次のような被害が起きているそうです。

  • 屋根に取り付けた太陽光パネルのモジュールが出火
  • 小動物が配線をかじったことにより太陽光パネルから漏電・出火
  • ケーブル施工ミスにより火災が発生

太陽光パネルは設置するだけで自動で発電される便利なシステムです。一方で、自宅に太陽光パネルを設置している人にも影響を及ぼしているニュースが、たびたび報道されています。

太陽光パネルが起因となる火災件数

太陽光パネルから発生している火災件数が気になっている人向けに、2008〜2024年の期間で登録された火災件数を紹介します。

まず消費者庁が運営している事故情報データバンクに登録されている太陽光パネルの火災件数は、374件(2024年4月時点)ヒットします。
※「太陽光 火災」と検索

火災が発生したシステムのほとんどは、モジュールやケーブルが起因となる火災であり、建物や発電施設が全焼する事故が起きている状況です。現在調査中の火災事故もあることから、消費者庁でも原因の究明を急がれています。

太陽光パネルから火災が起きる原因

太陽光パネルから火災が発生する主な原因を整理しました。

製品不良によるモジュールの不具合

太陽光パネルは、製品不良によって発火する場合があります。とくにモジュールに耐熱性の鋼板が取り付けられていない製品の場合、まわりのパネルなどに延焼しやすいと消費者庁で報告されました。

設備を導入する際に、メーカーの実績や過去の事故例、対策状況をチェックしておかなければ、将来太陽光パネル火災が起きるかもしれません。

施工不良によるケーブルからの発熱

太陽光パネル火災は、施工不良によってケーブルから発火する場合があります。参考として、ケーブル発火が起きやすくなる施工不良の例をまとめました。

  • ケーブルを設備に挟み込んでしまい絶縁効果が薄れて発火した
  • ケーブルが施工ミスで断線して漏電した
  • 延長接続による品質低下により発火した

各種トラブルは、太陽光パネルの設置業者の力量に左右されます。過去の実績や品質管理能力を確認しなければ、気づかぬうちに施工不良が起きるかもしれません。

太陽光パネルの老朽化

太陽光パネルの品質が良く、キレイに施工できていたとしても、老朽化が進めば火災のリスクが高まります参考として、老朽化によって引き起こされる問題をまとめました。

  • モジュールの劣化による異常発熱
  • ケーブル内配線の腐食によるアーク放電
  • 暴風・防雨による設備の破損

定期的なメンテナンス・維持管理を徹底しなければ、いつ火災に発展するかわかりません。時間の経過とともに品質が悪くなるのはどの太陽光パネルも同じですので、自力で対処せず専門家に点検・補修を依頼することが重要です。

地震といった自然災害

太陽光パネル火災は、以下に示す自然災害の影響を受けて発生する場合があります。

  • 地震
  • 台風
  • 落雷
  • 豪雨・洪水

たとえば、地震によって地滑りが起き、設備がショートするかもしれません。また台風や豪雨・洪水の影響で設備が破損して火災や漏電が起きる場合もあります。設備を設置する場所や気候状況を詳細にチェックしなければ、自然による影響を受けやすくなることに注意してください。

もし太陽光パネルが台風の影響を受けるか気になっている人は、以下の記事がおすすめです。耐久性といった情報をわかりやすく解説しています。

関連記事 太陽光パネルは台風で飛ばされる?

太陽光パネル火災が起きても放水できない理由【消防庁でも注意喚起】

太陽光パネルから火災が起きても、消防士による放水ができない場合があるとご存じでしょうか。消防庁でも注意喚起されているポイントを含め、放水できない理由を詳しく説明します。

感電の危険性がある

太陽光パネルの火災は、配線のショートや放電など、電気が起因になる場合があります。よって太陽光パネルの消火活動を実施すると、次のような感電リスクがあるのです。

  • 放水時の水を伝って感電する
  • 火災時も発電し続けるため近づくだけで漏電する
  • 電気が建物・施設を伝うことにより近づくだけで感電する
  • 急に太陽光パネルが起動して感電する

消防庁が公開する「太陽光発電システムの設置された一般住宅における消防活動上の留意点」では、感電対策として火災箇所から離れて放水すること、感電防止用の装備で放水に当たることなどを挙げています。

ただし、どのような対処をしても感電のリスクがあるため、太陽光パネルなど電気がかかわる設備には、簡単に放水できません。

メガソーラー発電所だと消防車が入り込めない

太陽光パネルの発電施設が小規模であれば、十分な対処を取ることで消火活動を実施できる場合もあります。しかし、メガソーラー発電所など、大規模かつ密集した構造になっている場合には、放水距離が届かず消火・鎮火ができない場合があるようです。

一般的に、消防車の放水距離は25~40m程度だと言われています。対して、メガソーラー発電所が半径40mを超える範囲で密集していると、中央部まで放水が届きません。また消防車が入り込めないため、簡単には放水できないのです。

よって近年では、太陽光パネル火災の問題を回避すべく、消防法によりモジュール等の設置ルールが定められました。発電所・建物ともに、消火しやすい環境を整えなければ、設備を設けられなくなっています。

太陽光パネル火災を防ぐ方法

太陽光パネルを起因とした火災発生頻度を減らしたい、止めたいと考えている人向けに、すぐに実施できる対策を整理しました。

信頼できるメーカーの太陽光パネルを導入する

太陽光パネルのメーカーは国内外に複数存在します。利用するメーカーによって太陽光パネル製品の品質に違いがあるため、必ず信用できるメーカーの製品を導入することが重要です。

たとえば、次のようなポイントをチェックし、任せられる業者を見つけてください。

  • 過去に製品を起因とする火災事例が起きていないか
  • 世界的に信用されているメーカーか

とくに重要なのが、過去の事例をチェックすることです。過去に火災が起きたメーカーについては利用しないほうが良いと言えます。

また、ベンチャー企業・メーカーは実績が少ないため、判断するのが難しいです。より良いメーカー製品を導入するためにも最初に確認してください。

定期メンテナンスを徹底する

太陽光パネル 業者

太陽光パネルなど設備が整った後は、必ず定期メンテナンスを実施してください。なぜなら、高品質な製品を導入できたとしても、時間の経過とともに劣化する恐れがあるからです。

製品が劣化すると、モジュールやケーブルから漏電などが起きて発火する危険があります。定期メンテナンスで故障や異常に気がつければ、火災リスクを回避できるのがメリットです。

メンテナンス費用が気になる人は、以下の記事を参考にしてください。メンテナンス費用の相場・内訳を説明しています。

関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)

設備周辺に可燃物がないかチェックする

太陽光発電所を設置する際には、設備の周辺に以下のような可燃物がないかチェックしてください。

  • 草木
  • 家屋
  • そのほか可燃性のもの

太陽光パネルから発火しても、周囲に可燃物がなければ被害を最小限に抑えられます。一方で可燃物の多い場所に設置すると、延焼被害が起きるかもしれません。

山林や家屋に火災が広がった場合、命を落とす大問題が起きるほか、賠償金問題に発展する恐れがあります。

地震・落雷対策を実施する

太陽光パネルを設置する際には、自然現象による発火の原因である「地震リスク」「落雷リスク」に備えることが重要です。

たとえば、次のような方法で地震・落雷を対策できます。

  • 自然災害の発生頻度が少ない土地を選ぶ
  • 地盤条件の良い土地を選ぶ
  • 地盤改良や土台・基礎対策を徹底する
  • 避雷針を設置する

自然災害は、いついかなる状況で起きるか予測できない問題です。近年では予測できない大規模被害が起きる傾向もあるため、設置場所の選定や、十分な対策を実施することが欠かせません。

太陽光発電投資はやるべき?やめるべき?

太陽光発電所の設置など、太陽光発電への投資を検討している人は、火災対策を実施したうえで投資をスタートするのがおすすめです。

前述した「太陽光パネル火災を防ぐ方法」の通り、火災リスクを下げる方法が複数あります。また、太陽光発電所向けの保険も充実しているため、もしものトラブルが起きても安心です。

また、太陽光発電投資は継続的なリターンを得られる投資方法のひとつだと言われています。以下の記事でも紹介していますが、太陽光発電投資は利回りの高い投資方法です。火災対策を理解したうえで、この機会に投資を始めてみてはいかがでしょうか。

関連記事 太陽光発電投資の利回り

やめたほうがいいか気になっている人は、以下の記事もチェックしてみてください。

関連記事 太陽光発電はやめたほうがいい?

太陽光パネル火災についてよくある質問

太陽光パネル火災について、よくある質問をまとめました。

Q
太陽光パネルが火災を起こす確率はどのくらい?

消費者庁が公開している「住宅用太陽光発電システムに起因した住宅の火災事故に注意!」の情報によると、2018年までに導入された住宅用太陽光発電システムは237万4,700棟であり、そのうち火災が起きているのは127件です。

つまり、火災発生の確率は0.005%と計算できます。もちろん少数の火災が起きているのは事実です。ただし安全対策を講じれば、現状の計算値よりも火災発生の確率を抑えやすくなります。

Q
太陽光パネル火災が発生する煙が猛毒って本当?

太陽光パネル火災によって発生する煙は、人・環境に悪影響を及ぼす次のような猛毒を含んでいます。

  • オゾン層破壊や呼吸器に刺激を与える「シリコン」
  • 中毒症状を引き起こす「鉛」「重金属」
  • 骨粗鬆症を引き起こす「カドミウム」

火災が起きると周辺環境のみならず、近隣住民に悪影響を及ぼします。安全のためにも必ず、火災対策を実施しなければなりません。

太陽光パネル火災についてまとめ

太陽光パネル火災は、世界中で起きている問題です。国内でも火災事例が報告されており、山林だけでなく人家にも被害を及ぼしています。

火災の確率は、過去の事例より0.005%と低いものの、いついかなるタイミングで火災が起きるかわかりません。もし太陽光発電所を設置するのなら、設置場所の検討はもちろん、万全な火災対策を講じることが重要です。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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