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【2026年最新】土砂崩れはメガソーラーが原因? 事例や責任、規制を解説

土砂崩れはメガソーラーが原因?
momohiki011

太陽光発電施設の周辺で発生する土砂災害をめぐり、メガソーラーと土砂崩れの因果関係がたびたび議論されています。

そこでこの記事では、以下の内容を解説します。

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メガソーラーは土砂崩れの原因になる?ならない?

メガソーラーにおける土砂崩れの要因

結論から言うと、メガソーラー単体が土砂崩れの「直接的な原因」と断定されるケースは多くありません。ただし、「完全に無関係」とも言い切れないのが実情です。

ここではまず、「なぜ因果関係が断定されにくいのか」「それでも補助要因になり得る理由」について解説します。

この章の結論
  • 土砂崩れは複数の要因が絡み合って発生する
  • メガソーラーも要因として含まれる
    (特に対策不足の場合)

土砂崩れの因果関係を「断定できない」3つの理由

まず、メガソーラーが直接、土砂崩れに影響すると断定できないのは、「土砂崩れ=複数の要因で発生する自然災害」だからです。以下は、土砂崩れが起きる要因の例になります。

  • 森林伐採・造成(盛土)など人為的な地形の変更
  • 線状降水帯や記録的豪雨(ゲリラ豪雨)
  • 地形・地質の個別性(勾配・地層・地下水位など)

たとえば、平成30年7月に広島で起きた「集中豪雨による土砂災害」は、メガソーラーと関係のない「盛土により整備された舗装道路」で発生しました。

また、日本の山地はもろい地質が多いため、人の手が加えられていない場所でも土砂崩れが頻発しているのが実情です(参考:土砂災害防止広報センター「日本に土砂災害が多いわけ」)。

そのため、メガソーラーのような単一施設だけを原因とする科学的な立証は難しいのが現実です。

それでも「無関係とは言えない」理由

因果関係を断定できない一方、メガソーラーを設置する際には、以下の理由から土砂崩れの「増幅要因」になる可能性も拭いきれません。

  • 建設時の森林伐採により保水力が低下する
  • 造成に伴い地表・地下水の流れが変化する
  • 集中排水により斜面下部への負荷が集中する

特に斜面に施設を建設した場合、施設周辺の地形がもろくなり、土砂崩れが間接的に起きやすくなります。その根拠となるのが、以下に示す環境省ガイドラインの記述です。

斜面に設置した場合、適切な排水対策が講じられていない施設では、降雨の度に、斜面下の隣接地や河川等へ濁水・土砂が流れ込む被害が発生することがあります。

引用:環境省「太陽光発電の環境配慮ガイドライン(令和2年3月)」

つまり、設計・施工・維持管理が適切ならリスクは抑えられますが、対策が不十分な場合、土砂崩れの「条件」を悪化させるという位置づけです。そのため、

  • 建設時に大きな地形変更を行った
  • メンテナンスの際に地形問題が確認された

という場合には土砂崩れのリスクがあるため、対策を講じて安全に運用する必要があります。

実際に起きたメガソーラー関連の土砂崩れ事例

メガソーラーが「単独原因」と断定された土砂災害は多くありません。しかし、実際の災害や事故では、盛土・森林伐採・排水計画といった開発行為が「被害を拡大させた補助要因」として問題視されたケースが複数存在するのも事実です。

ここでは、日本各地で発生したメガソーラー関連の土砂崩れ事例について、

  • どのような点が問題視されたのか
  • メガソーラー事業がどのように位置づけられたのか
  • 結果として、事業や開発計画にどのような影響が生じたのか

を整理して紹介します。

奈良県平群町土砂崩れ(2025)|2度にわたる造成崩落

2025年5月、奈良県平群町のメガソーラー造成工事現場で土砂崩れが発生しました。

被害の概要
  • 土砂崩れの発生:2024年秋に続き2度目
  • 被害状況:町道や水路への土砂流入、下流住宅地に濁流が到達

現地調査や町の説明によると、渓流上に造成された「メガソーラー施設のための盛土」の崩落が主要因とされています。造成地では谷埋め盛土が行われており、排水対策が不十分だった可能性も指摘されました。

この事故を受け、平群町のメガソーラー事業は単なる施工トラブルではなく、造成工事中の安全管理や行政の監督体制の妥当性が問題視されるようになりました。なお現在は、林地開発許可の取消しを求めて裁判が行われるなど、訴訟問題にも発展しています。

(参考:日経BP「<第124回>奈良県・平群町メガソーラー裁判の解説」

北海道北斗市(2025)|市営キャンプ場への土砂流出

2025年、北海道北斗市の市営「湯の沢水辺公園キャンプ場」で、近隣で進むメガソーラー建設工事に起因するとみられる土砂流出が発生しました。

被害の概要
  • 土砂崩れの発生:2024年9月以降、計3回確認
  • 被害状況:キャンプ場内の小川が土砂で埋没し、水路形状が変化。一部キャンプサイトの利用に支障

市の調査では、集中豪雨に加え、太陽光発電施設の工事に伴う作業道や排水処理の影響で雨水がキャンプ場側へ流入した可能性が指摘されました。

災害発生により、市は林地開発の許可権限を行使し、対策が講じられない場合は事業開始を認めず、中止命令や復旧命令を出す可能性を明言しました。

千葉県鴨川市(2025)|森林伐採に伴う土砂崩れリスク

2025年、千葉県鴨川市田原地区で計画されているメガソーラー事業を巡り、盛り土や森林伐採に伴う土砂災害リスクが問題視されました。

被害・リスクの概要
  • 計画内容:山林約146ヘクタールを開発し太陽光パネルを設置
  • 確認事項:開発区域外を含む森林の誤伐採(計13カ所・約2.4ヘクタール)

県が設置した有識者会議による現地視察では、風化した砂岩・泥岩の地質や地下水の湧出が確認されました。盛り土予定地では地下水処理が不十分な場合、地震時の液状化や地滑りが起きる可能性があると専門家が指摘しています。

この計画を受け、千葉県は事業者に対し工事の一時中止を含む行政指導を実施しました。

そのほか注目地域マップ(飯塚市白旗山・添田町など)

ここまで紹介した事例以外にも、全国各地でメガソーラー開発を巡り、土砂災害リスクや開発手法を問題視する動きが広がっています。

地域問題の内容
福岡県飯塚市白旗山太陽光発電所が設置された斜面がむき出しであり、土砂災害の不安を高めている
福岡県添田町土砂崩れが発生し高齢の女性が死亡
福島県西郷村防災施設の整備より太陽光パネルの設置が優先され、土砂の流出が繰り返し発生

これらの事例に共通するのは、メガソーラーだけではなく、造成方法や立地条件への配慮不足が災害リスクとして顕在化している点です。各地で、開発の進め方や事前対策の妥当性が改めて問われています。

なぜメガソーラーの周辺で土砂崩れが起きやすいのか

メガソーラー周辺で土砂崩れが起きる原因

メガソーラー工事を行うと、地形・水・土壌のバランスが崩れ、災害を誘発しやすいという共通点があります。

所有するメガソーラーに該当する項目があるかチェックする参考として、土砂崩れリスクが高まりやすい理由を、4項目に分けて整理しました。

チェックリスト
  • 広範囲の森林伐採を行っていないか
  • 下流側で集中排水が起きていないか
    (地盤の削れがないか)
  • 水みちを大きく変更していないか
  • 集中豪雨が起きる地域に発電所がないか

【理由1】森林伐採

山林を伐採すると、樹木の根が持っていた土壌を固定する力(根系保持力)が失われ、土砂崩れが起きやすくなります。

森林は雨水を受け止め、ゆっくりと地中に浸透させる防波堤として機能するのが役割です。しかし、伐採によってその機能が低下すると、表土が流出しやすくなり、豪雨時に土砂崩れや濁流が発生する可能性が高まります(樹木がある場合の150倍)。

特に、メガソーラーの設置工事では造成のために伐採されるため、

  • 安定した土質まで基礎を設けていない
  • 地盤改良を行っていない
  • 土留め対策を実施していない

という場合には、土砂崩れの影響の規模が拡大しやすいです。

(参考:林野庁「地面をがっちりつかむ!~森林の防災機能~」

【理由2】集中排水

メガソーラー施設の基礎はコンクリート張りにされることが多いため、降った雨が一気に施設外の地表へ流れ落ち、地肌を変形させる点に注意が必要です。

排水が一部に集中すると、谷筋や水路、盛土部分に強い負荷を与え、崩落や土砂崩れの引き金になることがあります(排水対策を実施しても、それを超過する降雨の場合は同様)。

実際の災害でも、排水設計の不十分さが補助要因として指摘されるケースが少なくありません

【理由3】水みちの変化

メガソーラーの造成工事により地形が改変されると、もともと存在していた地下水や雨水の流れ(水みち)が変わることがあります。

たとえば、

  • 谷を埋める盛土
  • 作業道路の造成

などによって水が想定外の場所へ流れ込むと、盛土内部に水が滞留して崩壊したり、下流の住宅地へ急激に流出したりする点に注意が必要です。

水の流れを人工的に変えるのは好ましくありません。地形図の等高線を確認し、水が滞りやすく流れにくい状況の場合は、土砂崩れのリスクが高まっている可能性があります。

【理由4】自然災害

日本は、豪雨・地震・台風が頻発する自然災害多発国であるため、計画以上の自然災害を受けると土砂崩れのリスクが高まります。

気象庁が公開している資料によると、日本では2010年あたりから平均降雨量が100mmを超える頻度が増え、豪雨が頻発化している状況です。

日本の年降雨量の推移
出典:気象庁「日本の年降水量偏差の経年変化(1898〜2025年)」

こうした状況のなか、集中豪雨を受けやすい地域で大規模造成を行うと、自然災害時の影響が増幅されて土砂崩れにつながりやすくなります。

メガソーラーが原因で土砂崩れが起きたときの責任は誰?

メガソーラー周辺で土砂崩れが発生した場合、誰がどの立場で土地を管理し、どの工程に問題があったかが個別に検討されるのが一般的です。

ここでは、主に争点となりやすい3つの責任区分を整理します。

事業者の法的責任

メガソーラー施設に排水施設の不備や盛土設計の欠陥があった場合、「不可抗力」とは認められず、損害賠償責任や原状回復義務が生じる可能性があります。

原則として、メガソーラー事業者は造成・排水・維持管理を含めた安全確保義務を負わなければなりません。自然現象そのものではなく「事前に防げたかどうか」が重視されるため、豪雨や台風が引き金であっても、メガソーラー事業者の責任と判断される可能性があります。

関連する法律の例

土地所有者・施工会社の責任

土砂崩れは、土地の使用形態によって責任関係が変わります。

まず土地を長期使用する「地上権」を設定している場合、事業者は土地所有者と同等の管理権限を持つため、原則として土地の補修・復旧は事業者責任です。一方、土地を借りて利用する「賃貸借契約」では、契約内容次第で土地所有者に補修義務が及ぶケースもあります。

また、施工会社についても、設計・施工上の瑕疵が認められれば、事業者と並んで責任を問われる可能性もあるため注意が必要です。

関連する法律の例

行政の責任と許認可の問題

行政は許認可を与える立場ですが、「許可が下りた=行政が全ての責任を負う」わけではありません。基本的には事業者や所有者の責任となります。

ただし、判断プロセスに明確な瑕疵があった場合など、行政による明らかな審査ミスや基準逸脱がある際には、許可の適法性で争われることがあります。

前述した「実際に起きたメガソーラー関連の土砂崩れ事例」でも、災害発生後に「許可判断そのもの」が裁判で争点となるケースがありました。

メガソーラーで土砂崩れを起こさないためにオーナーがやるべきこと

土砂崩れ対策としてオーナーは何をすべき?

メガソーラーにおける土砂崩れリスクは、「施工後に気をつければよい」ものではありません。

ここでは、オーナーが主体的に取るべき対応を整理します。

新規の設置計画への対応

新規のメガソーラー計画における土砂崩れリスクは、設置後の管理以前に「立地選定と排水設計の段階」でほぼ決まります。

許認可が取れるかどうかも重要ですが、それ以上に、

  • 土砂災害警戒区域の指定の有無だけで判断しない
  • 下流に住宅地・公共施設・道路・河川がないかを確認する
  • 過去の土砂災害・崩落履歴を自治体資料やハザードマップで確認する

を意識して設置場所を検討しましょう。

また、設置場所が決定したら、雨水の集中排水が起きないよう、一方向に集中させない排水計画を立てることが重要です。「災害を起こさない施設か」「災害時に責任を負える計画か」という視点で設置場所と対策を検討してください。

既存メガソーラーへの対応

既存メガソーラーにおける土砂崩れリスクは、「想定外の自然災害」ではなく、「兆候を見逃した結果」として問題化するケースがほとんどです。

すでに稼働している設備は、

  • 入念な定期点検で不具合を早期発見する
  • 遠隔カメラなどで監視する
  • 住民や自治体などと情報共有をする

など、常にメガソーラーの様子をチェックできる状況を構築することが欠かせません。

また、不具合を早期に発見できれば「小さな地滑りがある→土留め対策を行う」「雨水が滞水している→排水施設を設ける」というように、土砂崩れが起きる前の対応が可能です。

多くの裁判や行政指導では、「危険を予見できたか」「適切な管理をしていたか」が判断の分かれ目になります。事故を未然に防ぐ努力を継続することを意識し、メガソーラーを運用しましょう。

2026年の規制強化で今後のメガソーラーはどう変わる?

2026年以降、メガソーラーは「地域と共生できるか」が審査・支援・継続の対象となり、不適切な事業は法規制で排除され、地域共生型のみが残る仕組みへと制度が大きく転換します。

たとえば、内閣官房が公開している「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ(令和7年12月23日閣議決定)」によると、

  • 林地開発許可の違反に対する罰則・是正命令が厳格化
  • 施工・管理不備があれば、既存事業でも是正・停止対象に
  • 法令違反があった場合、FIT/FIP交付金を停止
  • 国と自治体が連携してメガソーラーを常時監視する体制を構築
  • 地上設置型メガソーラーへの支援について縮小・廃止を含めて見直し

などの方針が示されています。

実際、経済産業大臣「赤澤亮正」氏の2026年所感でも、

2027年度以降の新たなメガソーラーへの支援は廃止を含めて検討するなど、経済産業省として適切に対応してまいります。

と記載されるなど、メガソーラーの支援が縮小傾向にある状況です。

そのため、メガソーラーを計画している事業者だけでなく、すでに運用中の太陽光発電施設を保有しているオーナーにとっても、今後は事業の「継続可否」を冷静に見極める局面に入っています。

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メガソーラーと土砂崩れの関係まとめ

メガソーラーと土砂災害の問題は、「事故が起きた一部の事例」に限った話ではありません。

森林伐採や盛土、排水計画といった構造的な要因は、立地次第でどの事業にも潜在的に存在します。実際、各地で訴訟や行政指導が相次ぎ、2026年以降は規制・監視体制も大きく強化されます。

林地開発許可の厳格化や法令違反時の交付金停止など、今後は安全性と地域共生を前提とした事業運営のみが求められます。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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