太陽光発電の低圧・高圧・特別高圧の違いを解説|高圧で自家消費するには?

「太陽光発電に投資するなら高圧がいい?」
「太陽光発電の低圧・高圧・特別高圧の違いを知りたい」
「高圧の太陽光発電で自家消費できる?」
太陽光発電は、パワコン(パワーコンディショナー)の容量で低圧・高圧・特別高圧の3種類に分かれています。
太陽光発電所に投資するならどれに投資すべきなのか、それぞれの特徴やメリット・デメリットが気になる方も多いでしょう。
本記事では、高圧太陽光発電所について以下の内容を解説します。
太陽光発電所は低圧・高圧・特別高圧の3つ

太陽光発電にはパワコンの容量で低圧・高圧・特別高圧の3種類に分かれています。
それぞれの違いを簡単にまとめると、以下のとおりです。
種類 | 低圧 | 高圧 | 特別高圧 |
---|---|---|---|
出力容量 | 50kW未満 | 50kW以上2,000kW未満 | 2,000kW以上 |
電圧区分 | 600V以下 | 600V超7,000V以下 | 7,000V以上 |
主な用途 | 一般家庭向け | 事業用 小規模工場、ビル、商業施設など | 大規模事業用 大規模工場やメガソーラー施設など |
メリット | かかるコストが低い 手続きの手間が少ない 工事にかかる期間が短い | 個人も参入しやすい 発電効率がいい 投資利回りが高い | 発電効率がいい 投資利回りが高い |
デメリット | コストパフォーマンスが比較的悪い | かかるコストが高い 手続きが複雑 | 高圧よりもかかるコストが高い 個人の参入はハードルが高い |
低圧
低圧太陽光発電所はパワコンの容量が50kW未満、電圧区分は600V以下の発電設備を指します。
正式名称は低圧連系といい、法的には「一般用電気工作物」と呼ばれます。
初期費用や運用コスト全体的にかかる費用は低いものの、土地代や太陽光パネルの費用など発電できる電気に対してかかる費用単価は高いです。
そのため高圧に比べると、コストパフォーマンスが低いデメリットがあります。
一方で、コストや手続きなどの面でハードルが低いため、屋根への設置など一般家庭にも導入しやすい点はメリットです。
参考:経済産業省|用語の定義
高圧
高圧はパワコンの容量が50kW以上2,000kW未満で、電圧区分が600V超、7,000V以下の太陽光発電所です。
正式名称は高圧連系といい、法的には「自家用電気工作物」に該当します。
小規模工場、ビル、商業施設など事業用の太陽光発電として使われ、低圧に比べて発電効率がよく投資利回りが高い点がメリットです。
一方で、低圧に比べると初期費用やランニングコストがかかります。
また、高圧の太陽光発電所を設置するには国への申請が必要なため、手続きが煩雑というデメリットもあります。
参考:経済産業省|用語の定義
特別高圧
特別高圧は、パワコンの容量が2,000kW以上、電圧区分が7,000V以上の大規模な太陽光発電所です。
企業が事業目的で設置するもので、大規模な工場やメガソーラー施設などが特別高圧の太陽光発電にあたります。
特別高圧の発電所は発電効率が高いため、投資利回りも高くなりやすい点がメリットです。
ただし、鉄塔・昇圧設備の設置や電気主任技術者の常駐義務があり、設置・管理にかかるコストが非常に大きいです。
そのため、特別高圧の施設への個人投資は難しいでしょう。
投資における太陽光発電の高圧・低圧の違い
個人事業者が太陽光発電への投資を検討する場合、高圧・低圧にはどんな違いがあるのでしょうか。以下3つの視点から解説します。
手続き
電気事業法上、低圧に比べて高圧の太陽光発電所の方が手続きが複雑です。
低圧の発電所は規模が小さく比較的安全とされているため、手続きが簡略化されています。それに高圧は規模が大きいため、より複雑な申請が必要です。
例えば高圧の太陽光発電設備を作る際に必要な手続きは、以下があります。
- 管轄消防署への保安規程提出
- 電気主任技術者の選任
コスト
規模が大きい分、初期費用・ランニングコストともに、高圧発電所の方が大きな費用がかかります。
また、高圧の太陽光発電所には電気主任技術者の選任やキュービクル(変圧器)の接続など、運用にもコストがかかります。
上記のように、高圧の太陽光発電所には低圧にはないコスト負担が必要です。
売電収入
高圧太陽光発電所の方が効率的に発電できるため、売電収入は低圧に比べると高く、投資利回りも高い傾向にあります。
さらに、2020年4月からのFIT制度(固定買取制度)改正により、低圧の太陽光発電では30%の自家消費が必須となりました。
事業として収益を得る目的で太陽光発電所に投資するなら、高圧の方が向いています。
高圧の太陽光発電で自家消費するには
高圧の太陽光発電で自家消費するには、建物で使えるようキュービクルを通じて昇圧・降圧する必要があります。
キュービクルとは発電した電気を送電・受電する際に電圧を変換する仕組みをもつ機器で、高圧の太陽光発電所には必ず接続しなければなりません。
また、高圧の太陽光発電所にはリスクに備えてRPR(逆電力継電器)の設置が必須です。
太陽光での発電量が消費する電力を大きく上回ると、電力が系統へ逆流する「逆潮流」が発生する可能性があります。
想定していない逆潮流が起こると配電系統の電圧制御に問題が起こったり、配電線の劣化につながったりします。
低圧と高圧の違いを知って太陽光発電所に投資しよう
太陽光発電所には低圧・高圧・特別高圧の3つがあり、個人の投資対象となるのは低圧か高圧のケースが多いです。
低圧発電所はコスト面や手続きの面で参入しやすいですが、FIT制度の改正もあり、コストパフォーマンスはよくありません。
一方、高圧発電所は利回りが高い傾向がありますが、コストや手続き面ではやや参入のハードルが高いです。
投資対象を選ぶ際はそれぞれの特徴を理解してから、低圧と高圧のどちらにするか選びましょう。