環境問題

日本の環境問題一覧|原因や取り組み、個人でできることも紹介

日本の環境問題
hikaru

世界では、地球温暖化や大気汚染、海洋汚染など、さまざまな環境問題が深刻化しています。

この記事では、それぞれの問題がなぜ起きているのか、また日本ではどんな影響が出ているのかを一覧で紹介。それぞれの原因、日本の環境問題への取り組みの現状も解説します。

SDGsの目標にも関わるテーマとして、私たちにできる身近な行動についてもまとめていますのでぜひ最後までご覧ださい。

環境問題と原因を一覧にして紹介

日本の環境問題の一覧は以下のとおりです。

それぞれの環境問題に関して、原因や実際にどんな現象が起こっているのかを紹介します。

地球温暖化・気候変動

温室効果ガスによる地球温暖化により、日本を含む世界中で気候変動が起こっています。具体的に起こっている影響や現象は以下のとおりです。

地球温暖化・気候変動による影響
  • 猛暑による熱中症リスク増加
  • 桜の開花時期の早まり
  • 豪雨の発生
  • 雪不足

とくに近年の夏は暑さが全国的に厳しく、異常気象だと言われることが増えました。

1898~2024年の日本の年間平均気温を見ると100年あたり1.40℃の割合で上昇。また、東京だけで見ると年間の平均気温は過去100年で約3℃上がっています。

日本の年平均気温差のグラフ
出典:気象庁|日本の年平均気温偏差の経年変化(1898〜2024年)

世界の100年あたりの平均気温は0.77℃の上昇です。このことから、国際的に見ると日本の温暖化は早いペースで進行しているとわかります。

地球温暖化が深刻化した理由は産業革命に伴い経済活動が発展し、大量生産・大量消費の時代を迎えたことです。

工業化により石炭や石油など化石燃料が盛んに燃やされ、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが増加したことで地球温暖化が加速しました。

参照:東京都熱中症対策ポータル|気温の上昇気象庁|日本の年平均気温気象庁|世界の年平均気温

関連記事 地球温暖化が進むと日本はどうなる?

大気汚染

大気汚染のイメージ

大気汚染とは、モノを生産するなどの社会活動で空気が汚れることを指します。大気汚染のおもな原因物質は、以下のとおりです。

大気汚染の原因物質
  • 硫黄酸化物(SOx)
  • 塩素・塩化水素
  • 一般粉じん(セメント粉、石灰粉など)
  • 一酸化炭素(CO)

大気汚染の代表的な有害物質としてニュースなどでもよく聞く「PM2.5」は、髪の毛より小さい粒子が特徴です。

その小ささからPM2.5は肺の奥まで入り込みやすく、呼吸器系(のどや肺など)や、循環器系(心臓や血管など)への影響が心配されています。

PM2.5は、モノを燃やす時に排出されるケースと、窒素酸化物や窒素酸化物などの化学物質が化学反応を起こして粒子化するケースがあります。

具体的な発生源は以下のとおりです。

PM2.5の発生源
  • ボイラーや焼却炉などばい煙を出す施設
  • 自動車
  • 航空機
  • 自然現象(海洋や土壌からの発生)

参照:独立行政法人 環境再生保全機構|大気汚染の原因環境省|微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報

海洋汚染

海洋汚染のイメージ

海洋汚染とは、海洋生物や人間にとって有害なものが海へ流れ出て、海を汚すことです。海洋汚染の原因は以下のとおりです。

海洋汚染の原因
  • 家庭からの生活排水
  • 工場などからの排水
  • 船舶事故による油の流出
  • ごみの不法投棄

近年、注目されている問題のひとつがプラスチックごみです。

例えば2019年、フィリピンで打ち上げられたクジラの胃から40kgものプラスチックごみが発見されました。

ポイ捨てされたプラスチックごみやペットボトルは風に飛ばされて川から海へ流れ込み、海を汚します。

プラスチックは自然に分解されないため、海にずっと残り続けてしまいます。

参照:政府広報オンライン|海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にも きれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン公益財団法人日本海事広報協会|海洋汚染はどうしておきるの

生態系バランス崩壊の危機

生態系バランスが崩れ、生物多様性が失われつつあります。

「生物多様性」とは、細菌や微生物から哺乳類まで多様な生き物がつながりながら生息している状態のこと。

小さな虫や微生物も、私たちが食べる魚や動物にとっての食料です。一見人間には関係がないように見える生物たちも、食物連鎖の一部として私たちの命を支えています。

生態系バランスが崩れつつある原因は以下のとおりです。

原因詳細
人間活動産業や開発などによる森林伐採や河川改修など
人間活動の減少畜産業・農業などの人間活動が減ったことによるもの
高齢化により田畑が減り、田畑を中心とした生態系が失われるなど
外来種の持ち込み人間により外来種の生物が持ち込まれ野生化し、在来種が減るなど
地球環境の変化気候変動・温暖化などの環境変化についていけず、絶滅する種が増える
出典:国立環境研究センター|日本の生物多様性を脅かす「4つの危機」

日本の環境問題への取り組みは遅れている?現状を紹介

日本の環境問題への取り組みは、分野や視点によって評価が分かれます。特に気候変動対策においては、国際的に遅れが指摘される側面がある一方で、企業レベルでの進展や、大気汚染対策などにおける過去の成功事例も見られます。

米国エネルギー効率経済評議会(ACEEE)によると、2022年度の日本の国際エネルギー効率スコアは世界7位で、省エネ技術の評価は高いです。

しかし、実際の再エネ導入では遅れが目立ち、資源エネルギー庁の資料によると2021年度の日本の再エネ比率は20.3%で主要国9か国中8位でした。

世界の電源構成グラフ
出典:資源エネルギー庁|日本では、再エネの導入は進んでいますか?

このような状況の日本ですが、各環境問題に対してさまざまな取り組みも行われています。以降では、取り組み事例についていくつかご紹介します。

気候変動への取り組み

気候変動の原因である温室効果ガスの2023年度の排出・吸収量は約10億1,700万トンで、2013年度に比べて27.1%減少しました。

2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)の実現に向けて、排出量は徐々に減少しています。

温室効果ガスを削減するために、日本政府としてはおもに制度の整備や政策で企業や国民に対する行動を促しています。一例は以下のとおりです。

取り組み詳細
国としての目標決定パリ協定にて、日本として脱炭素目標を以下のとおり提出
2013年と比較して2035年に60%、2040年に73%の温室効果ガス削減を目指す
気候変動適応法国全体として気候変動への対策・対応を仕組み化
FIT制度FIP制度太陽光などの電力買取価格に関する優遇制度で、再生可能エネルギーの導入を後押し
各種補助金制度太陽光発電の設置やZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)などに自治体や国から補助金を支給し導入を促進
国内排出量取引制度政府が温室効果ガスの排出総量に上限(キャップ)を設定し、その範囲内で企業間で排出枠を取引する「キャップ&トレード方式」に基づく制度

参照:環境省|令和7年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 第1部第1章第2節

大気汚染への取り組み

大気汚染対策としては、環境省が24時間モニタリングを実施しています。観測された大気中の数値はWebサイト「環境省大気汚染物質広域監視システムそらまめくん」で公開しており、だれでも見られます。

また、「大気汚染防止法」や「自動車NOx・PM法」などの法規制で、産業や自動車の排気による大気汚染を防いでいます。

海洋汚染への取り組み

海洋汚染では、とくにプラスチックごみ対策に注力しています。

プラスチックごみ対策
  • 企業によるプラスチックに代わる素材の開発
  • 行政や団体による海岸清掃
  • プラスチックごみ削減運動
  • 「プラスチック・スマート」キャンペーン

「プラスチック・スマート」キャンペーンは企業や団体、個人が、海洋プラスチック問題解決のためのアイディアや取り組みを共有する運動です。

参照:政府広報オンライン|海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にも きれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン

生物多様性への取り組み

生物多様性へは、安全性と生物が暮らしやすい自然環境保護を両立させる取り組みがあります。

例えば、河川整備の際は岸や水辺をコンクリートで固めず、自然災害の対策をしつつもその地に棲む生物の多様性を守っています。

また、名古屋市では都市開発によって失われた緑地を取り戻すため、市街地に緑化地域を指定。50haを超える緑地化の申請がありました。

参照:国土交通省|国土交通省の生物多様性保全に向けた取組

環境問題に対して日本で私たちができること

今の状況を放置すれば、やがて人類や動植物が地球で生きられなくなる可能性もあるでしょう。

環境問題の解決や現状を改善するために、日本に住む私たちができる行動は以下のとおりです。

地球温暖化対策
  • 節電・節水
  • 環境意識の高い企業の製品を選ぶ
  • 環境に配慮された製品を選ぶ
  • 太陽光発電の導入
  • 省エネ家電の使用
  • 乳製品や肉の摂取を控える
  • ごみの分別・リサイクル
  • まだ使えるものは捨てずに再利用する
海洋汚染対策
  • マイボトルやエコバッグ(マイバッグ)を持参する
  • ごみが少ない買い物を心がける
  • 清掃ボランティアに参加する
  • 油分を拭き取ってから洗い物をする
大気汚染対策
  • 公共交通機関を利用する
  • 宅配便は日時指定でまとめて受け取る
生態系を守る
  • ペットを捨てない
  • 野生動物にエサを与えない
  • 野山に生ごみを捨てない

日本の環境問題に関するテーマ例

課題やレポートに書く際の、日本の環境問題に関するテーマ例を紹介します。

日本の環境問題に関するテーマ例
  • なぜ食品ロスの削減が地球環境を守ることにつながるのか
  • マイクロプラスチックは私たちにどのような影響があるのか
  • アユなどの魚を放流する問題点とは?
  • なぜ野生動物にエサをあげると生態系バランスの崩れにつながるのか
  • 日本の大気汚染の歴史が今にどう生かされているか
  • 気候変動でなくなるといわれている食べ物には何があるか

日本の環境問題の現状と課題まとめ

本記事では、日本の環境問題を一覧にして紹介しました。日本が現在抱えている環境問題は、以下のとおりです。

日本の環境問題一覧
  • 地球温暖化・気候変動
  • 大気汚染
  • 海洋汚染
  • 生態系バランス崩壊の危機

こうした課題は、SDGs(持続可能な開発目標)が目指す「気候変動への対策」や「陸の豊かさを守ろう」とも深く関わっています。私たち一人ひとりが環境問題への意識を高め、未来の地球環境を守る行動が求められています。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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