耕作放棄地の活用事例10選 ビジネスに活用した成功例などを紹介
「耕作放棄地の活用事例を知りたい」
「使っていない農地を活用したい」
「耕作放棄地をビジネスに活用した成功例を知りたい」
このようにお考えの方に向けて、本記事では「耕作放棄地」の活用事例についてまとめました。
せっかく農地を所有していても、使用しなければ税金や管理の手間がかかってしまいます。
しかし、耕作しか手がないわけではありません。農業を営むのが厳しい状況でも、農地転用できれば土地を有効に活用できます。
耕作放棄地の問題を解消する活用アイデア

耕作放棄地や使わない畑は、以下のような対策を取ることで解消できます。
- 負担の少ない農作物を育てる
- 太陽光発電パネルを設置する
- 農地転用してビジネスなど農業以外の用途で活用する
1. 負担の少ない農作物を育てる
作業負担が少なく害獣防除も簡単な農作物を育てることで、比較的楽に農作物を生産して利益を得られます。代表的な農作物は「そば」「なたね」「果樹」の三種類です。
そばは生育期間が短く、痩せた土地でも育ちやすい特徴があります。中山間地域でも栽培しやすいこともあり、水稲からの転作作物としても広く採用されています。
なたねは、搾油による菜種油の利用や肥料化が可能な農作物です。全国的に栽培できることから耕作放棄地再生に適しています。秋に播種し春に一面に花を咲かせるため、景観向上にも寄与します。
果樹は樹種によっては労力が低いものもあり、安定した収益が見込めるため注目されています。負担の少ない農作物の栽培に加えて、スマート農業を実践すれば機械化・情報化により労力を削減することが可能です。
栽培のほかに手間はかかりますが、観光農園としての活用や、地域による6次産業化でジャムやワインを製造する成功例もあります。ただし、栽培の労力が非常に大きい樹種もあるため、樹種の選定には注意が必要です。
2. 太陽光発電パネルを設置する
耕作放棄地に太陽光パネルを設置すれば、電力を生むことができます。雑草や鳥獣などの被害防除は必要ですが、年に数回程度の手入れで済むため、日常的な管理が難しい方におすすめです。
また、農地に太陽光発電パネルを設置する「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」も注目を浴びています。これは、パネルを農地の上に設置し、農作物の栽培と発電を同時に行う方式です。
パネルを高所に設置することで、農作業の障害にもならず、農作物の育成に適した遮光率に調整できます。ソーラーシェアリングでは、農作物販売・売電による2つの収入が得られます。
太陽光発電の設備には補助金が出る制度もあるため、設置の際には国や市町村のホームページの確認をおすすめします。
関連記事 農地で太陽光発電を行うには?
3. 農地転用してビジネスなど農業以外の用途で活用する
耕作が困難な農地は、農地転用することで農業以外の用途で活用できます。
農地区分によって転用可否の難易度は異なりますが、第2種・第3種農地は比較的許可が下りやすいです。農地の転用は農地法や農振法により制限されています。
具体的には、宅地や駐車場、資材置き場への転用が可能です。転用することで土地の価値が上がる可能性もあるので、転用が比較的容易な「第2種・第3種農地」をお持ちの方は、農業以外の活用方法も検討してみてください。
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耕作放棄地の活用事例10選
ここでは、耕作放棄地や使わない田んぼを活用して事業や生活に役立てている10の事例を紹介します。
1. 太陽光発電しながら耕作(ソーラーシェアリング)する
京都府向日市の福祉施設を運営する法人は、取得した農地に太陽光パネルを設置し、施設利用者と農業を営みながら太陽光発電(ソーラーシェアリング)をしています。
この取り組みにより、農業を営んで利用者の生活の質を向上させながら、施設で利用する電力をまかなえるという2つのメリットを受けています。自然エネルギーを活用することで、停電などの非常時に電力を供給することも可能です。
本例は施設で行っていますが、個人農家もソーラーシェアリングをすれば、通常時だけでなく非常時の電力も確保できます。電力の復旧に時間がかかる地域に居住している方や、非常時にも電力が必要な事情がある方には参考になる活用事例です。
関連記事 ソーラーシェアリングとは?
出典:環境省「営農地、ため池、廃棄物処分場等における太陽光発電の導入事例集」
2. 集落営農する
島根県雲南市八雲地区では、7名の住民が協力して集落営農組織を結成し、耕作放棄地を解消しています。
高齢化が進み、放棄された農地の再生が急務となっていたため、共同で草刈り・耕起・作付けを行い0.7haの荒廃農地を水田や畑に戻すことに成功しました。個人の力では再生が難しかった農地の維持と景観回復に挑んだ事例です。
同地区では、高齢化による農業後継者不足で耕作放棄地が増加し、農地景観の悪化や獣害が深刻になっていました。
解決策として、地域の7名が協力して、行政支援も活用しながら共同で耕作をしました。
その結果、地域の耕作放棄地が減少し、農地景観が回復しました。個人では難しかった耕作放棄地の再生を集落全体で実現し、景観の改善や地区農業のひっぱり役を担っています。
出典:島根県農業再生協議会「平成24年度 耕作放棄地再生利活用事例集」
3. 近隣の農家へ声掛けして受け手を募集する
千葉県旭市では、農家が0.28haの耕作放棄地の借受を所有者に直接交渉し、借地契約を結んで耕作放棄地を解消した事例があります。放棄地の雑草は2m超えに成長していましたが、自力で薮の撤去や耕起を行い、長ネギを栽培しています。
借主は自らチェーンソー等を用いて草根を取り除き、経費削減を図っています。抜根・整地などを行い農地を再生させた後、長ネギの生育に成功しました。
結果として、借主の経営規模は300aから328aに拡大し、農地も集約して作業効率が向上しました。
このように、農地を探している方が周りにいることも考えられます。農地の拡大を目指している近隣の農家に声をかけ、貸出を提案するのも有効な手段です。
出典:千葉県農地・農村振興課「耕作放棄地 解消取組 事例集」
4. 緑化活動でレクや出会いの場をつくる
北海道上富良野町西町では、地域住民と協力して耕作放棄地約2haと隣接する山林3haにサクラの苗木を植えて緑化しました。単なる農地再生ではなく、植樹祭や自然観察会、体験会などの楽しいイベントを企画し、住民の参加意欲を高めながら継続的な緑化活動を展開しています。
単なる作業奉仕では人手が集まらず、また農地法上の制限や費用負担も大きいため、地域住民も楽しめるような工夫を施しています。多様な要望に応えつつ、持続可能な活動にするには楽しさや交流の要素を組み込む必要がありました。
解決策として、2007年の植樹祭をレクリエーションの場として企画しました。樹木観察や燻製作りも開催し、18名が参加しています。参加者アンケートでは64.7%が「楽しみ目的」と回答し、アンケートの高評価も82.4%に達しています。
耕作放棄地を緑化することにより、レクや出会い、楽しみの場として活用すれば、生活の質の向上にも役立ちます。
出典:J-STAGE「住民参加による里山保全活動の現状と課題 -北海道上富良野町における耕作放棄地の緑化活用を事例として-」
5. 農地中間管理機構(農地バンク)へ貸し出す
耕作放棄地を農地バンクに貸し出すことで、自身が利用していない土地を他人が活用できるようになります。農地バンクは、農地の貸借を仲介する公的な機関です。
栃木県では、農地バンクが荒廃した遊休農地を外部委託によって整備し、耕作が再開された例があります。
荒れた土地を所有している方は、一度農地バンクに相談することで整備計画が立てられ、再び利用できる農地に再生できる可能性があります。
出典:農林水産省「荒廃農地解消の優良事例集~荒廃農地再生の取組~」
参考:農林水産省「農地中間管理機構」
6. 市民農園を開設する
個人を発端に、市民農園を開設した例があります。
開設者は神奈川の養豚農家だった個人であり、当初は米作り教室や田植え・稲刈りなどのイベントをする小規模なものでした。その後、利用者から「本格的な農業をしたい」「農地を持ちたい」という要望を受け、直売所と同時に市民農園の開設に至りました。
農業を営んでいる方であれば営農指導ができるため、農地の一角を市民農園として開設するのもひとつの手です。
出典:国土交通省「事例調査結果のまとめ」
7. 障害者の就労訓練に活用する
障害者就労支援施設が耕作放棄地を借り受け、農作業による福祉支援と土地再生を同時に行った事例があります。同施設は、2009年度に約0.23haの遊休農地で雑穀や野菜の栽培を開始し、利用者の農作業訓練に取り組んでいます。
農村地域では、高齢化や人口減少による担い手の減少で放棄地が増え、地域環境や防災の面で悪影響が生じていました。また、障害者の社会参加や就労支援が十分ではなく、農福連携により農地活用と福祉の課題解決を図りたいという狙いもあったそうです。
この課題に対して、市の農業団体が福祉施設と農地所有者を仲介して土地の貸借を行い、技術指導者の支援を受けながら栽培が進められました。
この取り組みにより、地域の環境改善や知的障害者の訓練につながりました。農家との交流や農作業により、利用者には社会適応能力向上や生きがい形成といった福祉的な効果が表れています。
出典:農研機構「地域の福祉施設と連携した耕作放棄地の再生」
8. 資材置き場として活用する
横浜市の事例では、高齢の農地所有者が自身での耕作が困難となった農地をリサイクル業者に貸し、資材置き場として活用するために農地転用を申請した事例があります。農地の適切な管理と有効活用を目的に転用を申請し、農業委員会の許可を得ました。
耕作放棄に伴う雑草繁茂や景観悪化、害虫発生の懸念がありましたが、業者が家電製品の中古資材保管ヤードとして利用することで解消されました。
この取り組みは所有者にとって、管理負担の軽減と安定した貸出収入の確保というメリットがあります。貸し出すことで、耕作しなくても農地の適切な維持管理が可能です。
出典:横浜市中央農業委員会「第10回総会議事録(令和3年4月26日開催)」
9. 駐車場として活用する
横浜市における事例では、個人が所有農地の一部を駐車場として活用するため転用許可を得ました。申請者は、耕作放棄で農業を継続できなかった農地を所有者と協議し、駐車場に転用する農業委員会の許可を得ました。
農地は住宅地に近いものの、農地管理が困難となり長期間放置されていました。雑草やゴミの問題が発生し、地域からの苦情も増加していました。所有者は耕作できる状態でなく、転用を申請しました。
コンクリートブロックや金網フェンスを設置するなど適切な防除を計画し、転用が許可されました。
出典:横浜市中央農業委員会「第16回総会議事録(令和3年10月26日開催)」
10. 農地買取センターへ売却する

高齢の両親が管理していた農地について、耕作困難と管理負担の増加により、当サイトの農地買取センターへ売却した事例があります。酷暑による作業難や、雑草に対する周辺住民からの苦情が増えたことから、売却を決断しました。
これまでは草刈りや管理作業を通じて農地の維持に努めていましたが、所有者の高齢化で作業が困難となり、周辺地域の迷惑になる恐れがありました。放置すれば、景観悪化や害虫発生につながる懸念が大きい点も課題に感じていたそうです。
売却に際しては、農地買取センターに連絡し、本人所有の農地だけでなく周辺の放棄地も合わせて契約しました。その結果、複数の農地が一括で買い取られ、広範囲の耕作放棄地が整理されました。
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耕作放棄地は、上手に活用すれば耕作する以上のメリットを得ることもできます。耕作放棄地をお持ちの方は、本記事で紹介した事例を参考に、活用方法を検討してみてください。
とくに活用の予定がない方は、売却してしまうのも手です。
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