税金

【税理士監修】太陽光発電設備を売却する際の税金について解説

太陽光発電設備を売却する際の税金
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太陽光発電投資の出口戦略として売却を検討されている方にとって、売却時にかかる税金は、手元に残る利益に大きく影響します。

特に、売却のタイミングを間違えると税金の支払い額が変わるため、税制の仕組みを理解しておくことが非常に重要です。

本記事では太陽光発電設備を売却する際にかかる税金の種類、そして「5年の境目」の仕組みと、具体的な節税対策について詳しく解説します。

この記事の監修者
野村真一  税理士
野村真一  税理士

野村税理士事務所 所長の野村真一と申します。税理士事務所勤務経験は開業前を合わせると20年以上です。また、webサイト制作の会社など複数の会社を経営しています。
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監修日:2025年11月6日

太陽光発電設備を売却する際にかかる税金とは

個人が太陽光発電所を売却する場合、主に以下の3種類の税金が発生します。

  • 所得税
  • 住民税
  • 消費税

所得税
売却によって得た利益(譲渡所得)に対して課税されます。所得税は超過累進税率が適用され、利益が高くなるほど税率も高くなる仕組みです(5%から45%までの7段階)。

住民税
所得税と同様に、売却益(譲渡所得)に対して課税されます。税率は所得に対して10%です。

消費税
太陽光発電所の売却額に対して一律10%の税率が適用されます。

個人が太陽光発電所を売却するときの課税関係と有利な売りどき

個人が太陽光発電所(設備一式)を売却して利益が出た場合、その利益は原則、譲渡所得として、所得税と住民税の課税対象になります。

太陽光発電設備(動産)の譲渡による所得は「総合譲渡所得」として、他の所得(給与所得、不動産所得など)と合算され、超過累進税率により所得税が課税されます。

譲渡所得金額は以下の計算式で求められます。

譲渡所得金額 = 譲渡価額(対価) ― (取得費+譲渡費用)-50万円(注)

  • 取得費:発電所購入金額から減価償却費を差し引いた金額(帳簿価額)
  • 譲渡費用:売却時に発生する手数料(仲介手数料など)

譲渡所得の特別控除は同一年中に生じた長期譲渡益と短期譲渡益の合計額に対して、一律50万円まで適用できます。

その年に短期・長期の双方で譲渡益が発生している場合は控除の適用順序が決まっており、まず短期譲渡益から50万円を優先して差し引く取扱いとなります。

その年の譲渡益の合計が50万円以下でしか発生していない場合には、控除できる上限もその合計額までに限定され、50万円を超えて控除することはできません。

この計算によって算出された譲渡所得金額に対し税金がかかります。

所有期間が5年超だと有利に

太陽光発電所の売却益にかかる税金は、設備や土地の「所有期間」が5年を超えるか否かを境目に、税制上の取り扱いが大きく変わります。

この「5年」が、税金を抑えるための最大のポイントとなります。

譲渡所得の計算は、所有期間によって大きく変わります。長く持つほど税負担が軽くなる仕組みです。

所有期間区分課税対象となる額
5年以下短期譲渡所得譲渡所得の全額
5年超長期譲渡所得譲渡所得の1/2

節税を意識するなら、所有期間が5年を超えてから売却する方が、短期よりも税率面で明確に有利になります。

法人が太陽光発電所を売却する場合の課税

法人が太陽光発電所を売却したときは通常、得られた利益は法人税・法人事業税・法人住民税の対象です。

売却益 = 売却価額 −(売却時点の帳簿価額)− 売却手数料等

この売却益が当期の課税所得に反映され、各税の率を乗じて税額を計算します。

資本金1億円以下の普通法人では、課税所得が800万円超か否かで実効税率の水準が変わるのが一般的です(トータル負担で差が出ます)。

太陽光発電設備売却時に知っておきたい消費税関係の制度

売却に伴う消費税については、事業規模や選択した課税方式により負担が変わります。状況に応じて次の制度を検討しましょう。

免税事業者

「免税事業者」とは、一定の条件を満たすことで消費税の申告・納付義務が免除される事業者を指します。

免税の判定には、「基準期間(通常は2期前)における課税売上高が1,000万円以下であること」や「特定期間(直近期の前半6か月など)における「課税売上高」または「給与等支払額」のいずれか一方が1,000万円以下であること」をはじめとした、次のような複数の基準が設けられています。

  • 新設法人
  • 特定期間
  • インボイス登録
  • 課税事業者選択
  • 新設法人の特例
  • 承継時の特例
  • 高額特定資産
  • 特定新規設立法人

これらの条件に該当する場合、その事業者は課税事業者となり、消費税の申告・納付義務が生じます。一方、上記のいずれの条件にも該当しない場合は、免税事業者として取り扱われます。

簡易課税制度

「簡易課税制度」は、中小規模の事業者に配慮して、消費税の計算・申告にかかる手間を軽減することを目的とした制度です。

業者が任意で選択することで実際の仕入税額を個別に集計せず、売上に係る消費税額を基礎として、業種ごとに定められたみなし仕入率を用いて仕入に係る消費税額を見積もることができます。

具体的には、納税地を所轄する税務署長に対して「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者であって、基準期間(原則として、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下である場合に、簡易課税制度を適用できます。この場合、以下の手順に基づいて消費税額を計算します。

なお、課税事業者選択や高額特定資産の取得などの状況によっては、簡易課税制度の適用が制限される場合があります。
特に、太陽光発電設備などの高額な資産を原則課税で取得した場合には、その取得を含む課税期間およびその後数年間にわたり、簡易課税制度を選択できなくなるケースがあります。
このため、設備投資の時期や課税方式の選択については、あらかじめ十分に検討することが重要です。

まず当該期間の売上に係る消費税額(仮受消費税)を求め、その金額に、事業の種類ごとに区分された事業区分に応じたみなし仕入率を乗じて仕入に係る消費税額(控除対象仕入税額)を算出します。

つづいてその算出額を売上に係る消費税額から控除することで、納付すべき消費税額を求める仕組みです。

要するに簡易課税を選ぶと、実際の仕入や経費ごとの消費税額を細かく計算しなくても、業種別のみなし率を用いて仕入控除相当額を一括計算でき、事務負担を大きく抑えられるのが特徴です。

多額の課税仕入れ(新しい太陽光設備などの設備投資・経費が多い)がある場合は、納税が増えることもあります。

原則課税

課税売上高が5,000万円超の規模になる場合は、基本となる原則課税での計算が前提になります。実際の仕入・経費の消費税額を控除できる一方、帳簿・請求書管理(適格請求書等保存方式)がよりシビアになります。

太陽光発電設備の売却にかかる税金を抑えるためのポイント

太陽光発電所の売却で税金を抑え、手元に残る利益を増やすためには、計画的な行動が重要です。

5年を超えてから売却する

最も重要な節税策は、運用から5年を超えてから設備を売却することです。5年を超えると、発電設備(動産)の譲渡所得は課税対象額が半分になり、大幅に低くなります。

減価償却期間を意識する

減価償却とは会社が購入した建物や機械などの固定資産の取得費用(取得価額)を、その資産が実際に使えると見積もられる耐用年数にわたって按分(分割)し、各年度の費用(経費)として計上していく会計上の手続きのことです。

太陽光設備の法定耐用年数は17年間です。


主な減価償却方法には「定額法」と「定率法」の2種類があります。

定額法は毎年決まった金額を経費計上する方法です。計算が簡単で、初年度の諸費用計上を少なくできます。定額法を採用した場合、帳簿価額は定率法よりも大きくなるため、その分、売却益の課税対象額を圧縮できる可能性があります

定率法とは、期末時点の未償却残高(まだ費用化していない帳簿上の残額)に、あらかじめ定められた一定の償却率を掛けて、その期の減価償却費を算出する手続きです。

未償却残高は償却を進めるごとに年々小さくなるため、同じ率を掛けても結果的に毎期の減価償却費は逓減(だんだん少なくなる)していくのが特徴です。

つまり購入直後の数年間は償却額が相対的に大きく、期間の経過とともに費用計上額が緩やかに減っていきます。

購入後5年前後で売却を検討している場合は、初年度に経費を多く計上できる定率法が有効な節税手段となり得ます。

青色申告制度を活用する

個人事業主は青色申告を活用することで、一定の要件を満たす場合に最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

この控除を受けるためには、事業的規模での経営であることや、複式簿記による帳簿の備付けおよび電子申告(e-Tax)による提出などの条件を満たす必要があります。

また、青色申告を行っている場合、赤字(純損失)が発生した年には、その損失を翌年以降3年間繰り越して相殺(繰越控除)することが可能です。さらに、他の事業所得や不動産所得などとの損益通算も認められているため、副業として事業を行っている方にも適しています。

ただし、太陽光発電設備の譲渡により生じた所得は「総合譲渡所得」として扱われるため、青色申告特別控除(65万円控除)は適用されません。一方で、事業的規模の太陽光発電設備を保有し、その運用から得られる所得が「事業所得」として認められる場合には、65万円控除および赤字の繰越控除が適用可能です。

したがって、太陽光発電に関する所得区分(事業所得か譲渡所得か)を正確に判定することが重要です。

消費税の軽減措置を検討する

上記の通り条件を満たすと免税事業者となることができ節税へと繋がります。

また基準期間の課税売上高が1,000万円超5,000万円以下の場合、届出により簡易課税制度を選択できるケースがあります。

簡易課税を選択すると、売却時の譲渡価格に係る消費税負担をみなし仕入率で計算できるため、実務上本来発生する消費税額を圧縮できる場合があります。

譲渡価格に対する消費税を、譲渡価格 × みなし仕入率を基準に算定する扱いとなり、多額の課税仕入が無い場合は、負担額が大幅に軽くなることが想定されます。

なお、太陽光発電設備の売却は課税売上に該当するため、免税事業者であっても課税売上高が1,000万円を超える場合などは、翌々年には課税事業者となる可能性がある点にも注意が必要です。

まとめ|太陽光発電所の売却で手取り利益を最大化する鍵は「5年の節目」を意識すること

本記事では、太陽光発電設備を売却する際に発生する税金について、ポイントを整理して解説してきました。

個人の場合は、主に所得税と住民税が対象です。とりわけ譲渡益については所有期間が5年を超えてからの売却が一般に有利(長期譲渡の扱い)となるため、節税の観点からは売却タイミングの設計が重要になります。

一方で法人が売却した場合には、適切なスキームや計上方法を選ぶことが挙げられます。

いずれのケースでも、想定される税負担を事前に正確に把握し、可能な節税策を講じたうえで適正に申告・納税する姿勢が大切です。あわせて売却前から必要資金を見積もり、資金繰りに無理が出ないよう準備しておくと安心です。

必要に応じて専門家に相談し、自身の状況に合った最適な進め方を検討しましょう。

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監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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