太陽光発電の近隣トラブル事例5選! 設置前に知っておきたい回避策を解説
「太陽光発電で起きやすい近隣トラブルの事例を知りたい」
「近隣トラブルを未然に防ぐ方法はある?」
このようにお悩みで、太陽光発電への投資を始められない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
太陽光発電は再生可能エネルギーの発電設備の中で最も普及していますが、近隣とのトラブルが訴訟にまで発展した実例もあります。
本記事では、太陽光発電でトラブルになった事例と、回避するためのポイントを解説します。
トラブルの原因を知っていれば設置前に対処でき、リスクを減らして太陽光発電に投資できるため、ぜひ最後までお読みください。
当サイトでは、太陽光発電投資についても詳しく解説しています。失敗のリスクやデメリット、投資戦略について知りたい方は参考にしてください。
太陽光発電の周囲への影響による近隣トラブル事例5選
太陽光発電の設置を隣地の住民に反対されるなど、近隣トラブルの主な原因は、以下の5つです。
- 景観を損なう太陽光発電の施工
- 騒音への配慮が不足
- 土砂災害が発生する懸念
- 雑草の手入れが不十分
- 太陽光発電からの反射光による宅内の気温上昇
なぜトラブルが起きるのか、順に説明します。
景観を損なう太陽光発電の施工
山中にある太陽光発電所では、自然の中に突然ソーラーパネルが出現するように見えることがトラブルの原因です。
以下の図は、太陽光発電が山中に設置されている場合の見え方です。
観光地など自然の眺望を大切にしている地域では、太陽光発電が景観を損ねていると感じる人が少なくありません。
景観を含めて観光ビジネスが成り立っている地域においては、インバウンド減少の懸念もあります。
特に観光地や景観条例がある地域では、眺望を損なわないよう太陽光発電の施工計画をたてることが重要です。
騒音への配慮が不足
騒音も太陽光発電で近隣住民とのトラブルに発展する原因で、以下2種類あります。
- 工事中の騒音
- パワーコンディショナーの稼働音
太陽光発電を施工する際、重機を使用したり資材の搬入で大型車が出入りしたりするため、大きな音の発生が避けられません。
一般的に工事は朝8時頃から開始されますが、近所に夜間勤務の職に就いている方がいる場合、騒音が睡眠の妨げとなります。
また、太陽光発電所のすぐ隣に住宅があると、位置関係によってはパワーコンディショナーの稼働音に苦情を言われかねません。
どちらの騒音についても、近隣住民の生活に配慮した施工計画や工事が必要不可欠です。
土砂災害が発生する懸念
野立て太陽光発電を山中や山間部に設置する際、土砂流出を心配する近隣住民とのトラブルの可能性があります。太陽光発電システムの設置後に土砂流出の懸念があるのは、以下2つのような土地です。
- 造成工事が必要な土地
- 大きい勾配のある土地
造成工事の中で切土や盛土を実施する場合、最後の整地作業で転圧による締め固めが不十分だと雨で土砂が流れる原因となります。
また、太陽光発電所から道路や住宅に向かって水が流れるように勾配がついていると、排水対策しなければ雨水と一緒に土砂が流出しかねません。
近隣とのトラブルを避けるためには、敷地外で土砂による被害が起きないよう適切な対策が必要です。
雑草の手入れが不十分
雑草は除草してもすぐに生えてきて、夏場は成長スピードも早いため、とくに民家が隣接している場合にクレームとなりやすい傾向があります。
隣地との境界付近の雑草が伸びたままでは、自分の土地に侵入しているなどの苦情を言われかねません。
反対に、隣の土地から太陽光発電所に雑草が侵入してきて、パネルの影になるのに伐採の隣地承諾が取れないトラブルもあります。太陽光発電設備は、隣地から距離をとって設置するのが一般的です。
しかし、敷地面積が小さくギリギリの位置に太陽光パネルを設置している場合など、隣の土地からの雑草が問題となる事例があります。
境界付近の雑草でトラブルにならないために、必要に応じて除草剤の散布とこまめな除草を心がけましょう。
関連記事 雑草を放置するとどうなる?
太陽光発電からの反射光による宅内の気温上昇
太陽光パネルの反射光は、裁判にまで発展したケースもあるトラブルの原因です。パネルを設置する向きや角度によって、一定の季節や時間帯に周辺の建物に反射光が差す可能性があります。
反射光が当たる場所に建物の窓がある場合は特に、まぶしいだけでなく室温が上昇しかねません。
夏場の室温上昇は熱中症の危険もあるため、太陽光発電所の隣の家などに反射光が当たらないように配慮した施工計画を検討しましょう。
近隣トラブルが発生した場合のリスク
購入した太陽光発電所で近隣住民とのトラブルに発展した場合、以下のようなリスクが考えられます。
- 工事遅延によりローン返済が先に開始する懸念がある
- 解決策が見つからない場合は事業中止の可能性がある
工事遅延によりローン返済が先に開始する懸念がある
近隣トラブルがなかなか解決しない場合、太陽光発電所が稼働していないのにローンの返済が開始する可能性がある点がリスクです。
土砂流出や反射光の問題などで苦情が入っているのに、何も対処しないまま施工を続けるわけにはいきません。
トラブルへの対処が完了するまで工事再開できないため、長期化すると先にローンの返済が必要になることも考えられます。
ローンの返済が持ち出しにならないよう、慎重にトラブル回避策を検討しましょう。
解決策が見つからない場合は事業中止の可能性がある
太陽光発電のトラブルで解決策に納得してもらえない場合など、最悪の場合その土地での事業を断念しなければいけないリスクがあります。
反対の理由が以下2つの場合、迂回路を見つけることが唯一の解決策です。
- 子供たちの通学路がある
- 生活に使う道路に工事車両に入ってきてほしくない
公共の道路であっても使用を反対されるとしたら、迂回路がないと土地に辿り着けないため太陽光発電を設置できません。
代わりの土地を見つけられたとしても、事業を断念した発電所にかけた時間や工数などは損失に該当します。
近隣に反対されそうかは事前に判断しにくい部分ですが、現地調査で近所の住人に挨拶するなどで感触を探ることはできるでしょう。
太陽光発電設置で近隣トラブルを避けるポイント
太陽光発電投資において近隣住民とトラブルにならないための対策方法は、以下の4つです。
- 地域の条例を踏まえた施工計画をたてる
- 実績豊富で信頼できる業者を選ぶ
- 入念なメンテナンス計画をたてる
- 近隣住民に事前説明を実施する
どうすればトラブルを回避できるのか、具体的に説明します。
地域の条例を踏まえた施工計画をたてる
市区町村が独自に定める条例に沿った太陽光発電の施工計画も、近隣トラブルを避けるための対策方法です。
太陽光発電を設置する際、資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインのほか、市区町村の条例にも従う義務があります。
景観条例がある地域では、景色の邪魔にならないような太陽光発電の施工が求められる傾向です。
このため、市区町村の条例を守っていないと近隣住民からのクレームだけでなく、行政の指導が入ることも考えられます。
反対に、各種の条例に従って太陽光発電の施工計画をたてれば、トラブルになりにくいと言えるでしょう。
実績豊富で信頼できる業者を選ぶ
安心して任せられる業者に工事を依頼することも、トラブルを避けるために有効な手段です。
造成工事後の土砂流出や光害は、設計段階で対策を検討すれば発生を防げます。
このため、トラブルになるポイントを把握して、手を打つ方法を想定しながら施工計画をたてられる業者への依頼が必須です。
業者による念入りな現地調査を基に太陽光発電の施工計画がたてられていれば、土砂流出などの問題は起きにくいでしょう。
入念なメンテナンス計画をたてる
太陽光発電を購入する前に、メンテナンスについてもしっかりと計画をたてることがトラブル回避策の1つです。
設備容量10kW以上の太陽光発電は、半年に1回の定期点検が義務化されていますが、メンテナンス範囲は業者ごとに異なります。
基本的には、保守点検ガイドラインで推奨されている項目に従って機器の状態をチェックする流れです。
ただし、トラブルとなりやすい雑草は状態の確認が推奨されているのみで、定期点検での除草が絶対ではありません。
このため、除草が定期点検のオプションとなっているケースもあります。
トラブル防止の観点から雑草を放置できないため、定期点検で除草も対応できる業者にメンテナンスを依頼する対策がおすすめです。
関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)
近隣住民に事前説明を実施する
工事を始める直前に挨拶するだけではなく、前もって地域住民に太陽光発電の設置について説明することでもトラブル回避につながります。
近隣住民からのクレームの中には、挨拶もなくいきなり工事が始まったという主張もあるためです。
丁寧な事前説明により、太陽光発電を設置することに近隣住民の理解を得られれば、クレームの可能性を少なくできます。
事前説明は、販売業者や施工業者が実施するケースがほとんどです。太陽光発電所のすぐ隣に住宅がある場合などは、事前説明に加えて発電事業者として住民に挨拶すると印象をよくできるでしょう。
太陽光発電で近隣トラブルになった場合の相談窓口
太陽光発電に関して、近隣とトラブルになった場合の相談先は、以下の2つです。
- 販売業者または施工業者
- 弁護士
まずは、太陽光発電を購入した業者や施工業者に相談しましょう。実績が多い業者は、トラブル対応のノウハウも持っているため、事例に合った解決を検討してもらえます。
施工から時間が経っていて業者と連絡がつかない場合などは、弁護士も相談窓口の1つです。弁護士に相談する場合は、太陽光発電関連のトラブルに詳しい事務所を選ぶことをおすすめします。
まとめ|太陽光発電は事例をもとにトラブル回避策の検討が必要
太陽光発電には近隣トラブル事例があり、購入を後悔する声もある状況です。しかし、過去の事例ではなぜトラブルになったのか理由を把握し、対策を講じた上で施工すればトラブルを避けられます。
具体的に、太陽光発電の近隣トラブルを避ける方法は、以下の4つです。
- 地域の条例を踏まえた施工計画をたてる
- 実績豊富で信頼できる業者を選ぶ
- 入念なメンテナンス計画をたてる
- 近隣住民に事前説明を実施する
太陽光発電を設置したい土地の状況などを踏まえて、近隣に配慮した計画をたてましょう。