太陽光パネルの価格は1枚いくら? 相場金額や設置費用の平均を紹介

「太陽光パネル価格はいくらくらいが平均か知りたい」
「太陽光発電業者の見積もり金額が妥当か確認したい」
このように、太陽光パネルの適正価格についてお悩みではないでしょうか。
太陽光パネルの価格は10年前と比較すると、半分近くに値下がりしています。しかし、まだまだ太陽光発電の初期費用は高額なため、購入のハードルは高い状況です。
本記事では、太陽光パネル価格の相場や平均的な設置費用の金額を紹介します。初期費用を抑えるポイントも解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
太陽光パネル価格の相場

太陽光パネルは製造技術の進化や量産体制の構築など企業努力により、普及し始めた頃と比べて価格が低くなっています。
以下では、太陽光パネル1枚あたりと1kWあたりの価格相場を見ていきましょう。
太陽光パネル価格:1枚あたりの場合
太陽光パネルは、1枚あたり2~5万円が平均です。
ただし、追加で運送費や設置工事費がかかるため、実際の購入金額は2~5万円より高くなることが一般的です。
太陽光パネル1枚あたりの価格は、以下の要素により変動します。
- メーカー
- 太陽光パネルの型式や寸法
- 太陽光パネルの種類(原材料)
- 購入する販売業者
メーカーや型式で太陽光パネルの寸法が異なるため、価格に差がでます。シリコン系や化合物系などの種類でも価格に差があるのは、原材料が違うためです。
また、どの業者から太陽光パネルを購入するかでも、価格は変わります。詳細な金額を知りたい場合は、業者に見積もり依頼が必要です。
太陽光パネル価格:1kWあたりの場合
1kWあたりの太陽光パネル価格は、以下のとおりです。
- 住宅用:14.7万円/kW
- 産業用:9.5万円/kW
この相場を基にした、設備容量ごとの太陽光パネル価格は以下表のように計算できます。
設備容量 | 住宅用の太陽光パネル価格 | 産業用の太陽光パネル価格 |
---|---|---|
5kW | 73.5万円 | - |
9kW | 132.3万円 | - |
50kW | - | 475万円 |
100kW | - | 950万円 |
500kW | - | 4,750万円 |
1,000kW | - | 9,500万円 |
2,000kW | - | 1億9,000万円 |
紹介した設備容量ごとの太陽光パネル価格は、1kWあたりの平均金額を基に算出した金額です。
実際には設備容量が大きくなると太陽光パネルの枚数が増えて、値引きなどが入る可能性も考えられます。具体的な購入金額を確認する場合は、販売業者への見積もり依頼をおすすめします。
太陽光パネル価格について参照:太陽光発電について|経済産業省
※P12「(1)国内のコスト動向:資本費及びその構成(設置年別推移)/2023」および、P37「(2)国内のコスト動向:システム費用(設置年別の推移)」参照
太陽光パネル価格の推移
太陽光パネル価格は、以下グラフのように低下の傾向で推移しています。

固定価格買取制度(FIT制度)が2012年に開始された翌年の2013年と2023年では、1kWあたり半分以下の価格に下がっています。
太陽光パネル価格低下の要因として考えられるのは、以下の2つです。
- 製造技術の向上
- 量産体制の構築
メーカー各社の企業努力により、太陽光パネルの価格が下がり導入のハードルも低くなっているといえるでしょう。
関連記事 固定価格買取(FIT)制度とは
太陽光発電システム全体の価格構成
2023年に設置された住宅用と産業用の太陽光発電システムにおける平均価格は、以下表のようになります。
設備 | 住宅用 | 産業用 |
---|---|---|
太陽光パネル | 14.7万円/kW | 9.5万円/kW |
パワコン | 4.7万円/kW | 3.0万円/kW |
架台 | 3.0万円/kW | 3.5万円/kW |
その他機器 | 0.3万円/kW | 1.6万円/kW |
合計 | 22.7万円/kW | 17.6万円/kW |
※P12「(1)国内のコスト動向:資本費及びその構成(設置年別推移)/2023」および、P37「(2)国内のコスト動向:システム費用(設置年別の推移)」参照
設備費のうち、価格の割合は以下グラフのとおりです。

太陽光パネル価格の割合を比較すると、太陽光発電システムを構成する機器の中で最も大きくなっています。
太陽光発電システム設置費用の平均と内訳
太陽光発電システム設置費用の内訳と平均価格は、以下表のとおりです。
工事費の内訳 | 住宅用 | 産業用 |
---|---|---|
設置工事 | 7.6万円/kW | 7.5万円/kW |
土地造成工事 | 1.1万円/kW | |
設計費 | 0.2万円/kW | |
接続費 | 1.5万円/kW |
※P12「(1)国内のコスト動向:資本費及びその構成(設置年別推移)/2023」および、P37「(2)国内のコスト動向:システム費用(設置年別の推移)」参照
太陽光発電の設置工事にかかる費用の7割以上は、設備の設置が占めています。
屋根に設置するタイプの場合、土地造成工事が必要ないため費用も発生しません。ただし、屋根設置型では建物の状態に応じて補強工事などが必要になるケースがあります。
太陽光パネルの購入費用を抑える方法
費用を抑えて太陽光パネルを購入する方法は、以下の2つです。
- 相見積で複数の業者を比較する
- 補助金制度を利用する
どのようにして費用を抑えるのか、具体的に説明します。
相見積で複数の業者を比較する
複数の業者に見積もりを依頼して、内容を比較するのは太陽光パネルの費用を抑える方法として有効です。
太陽光発電業者の中には、利益が多くなるように大幅に金額を上乗せして販売しようとする業者もいます。このため、提示された見積もり金額が適正かどうか見極めることも必要です。
相見積もりで複数の業者の提案内容を比較すれば、適正な価格かだけでなく信頼できるかどうかも判断できるでしょう。
補助金制度を利用する
国や自治体による補助金の利用も、太陽光パネルの購入費用を抑えられる方法です。
脱炭素化を進めてカーボンニュートラルを実現するための手段として、太陽光発電の普及が重視されています。しかし、初期費用の高さが理由で太陽光発電の購入をためらう声もある状況です。
このため、太陽光発電の普及を促進できるように、設置費用が一部軽減される補助金が多数用意されています。
太陽光パネルの設置に利用できる、補助金の事例を紹介します。
住宅用
・災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業|東京都
・太陽光発電導入支援助成金|神奈川県横浜市
・令和6年度住宅用太陽光発電システム設置補助制度|茨城県水戸市
産業用
・民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業,P2,ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業|環境省
規定された条件を満たしていないと補助金を利用できないため、公示内容を念入りに確認した上での申請が必要です。
太陽光発電の設置後に発生する費用の相場
太陽光発電システムを設置した後、以下の費用が発生します。
- メンテナンス費用
- 保険料
- 修理や機器交換の費用
- 設備撤去や廃棄の費用
メンテナンス費用
太陽光発電システムにおいて、1年あたりにかかるメンテナンス費用の相場は4.9~5.8円/kWhです。
メンテナンス費用には、以下の項目が含まれます。
- 監視・定期点検:1~1.8円/kWh
- 除草・除雪:0.4~0.9円/kWh
- 維持管理費:3.0~3.6円/kWh
太陽光発電設備は長期の使用によって経年劣化するため、メンテナンスによる発電効率の維持が欠かせません。
メンテナンス費用については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参照:太陽光発電の導入拡大に向けた課題と規制・制度の改革要望|一般社団法人太陽光発電協会
※P39「5-1③. 地上設置太陽光の発電コスト(LCOE)の分析」参照
関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)
保険料
太陽光発電では、年間で0.4~0.5円/kWhの保険料が発生します。
関東の山間部など夜間に人目につきにくいエリアでは、ケーブルの盗難被害が発生しやすく、加入していないと大きな損害が発生しかねません。
突風などで太陽光パネルが飛散し、周囲の建物や人に被害が出ることも考えられるため、賠償に備えるための保険も必要です。
太陽光発電事業者にとって保険加入は努力義務の位置づけですが、損失を出さないために加入をおすすめします。
参照:太陽光発電の導入拡大に向けた課題と規制・制度の改革要望|一般社団法人太陽光発電協会
※P39「5-1③. 地上設置太陽光の発電コスト(LCOE)の分析」参照
修理や機器交換の費用
年間で太陽光発電の修理や機器交換にかかる費用は、0.1〜0.2円/kWhが平均的な金額です。
修理も交換も、毎年必ず発生するものではありません。長く太陽光発電を稼働させることにより、部分的に修理が必要となったりパワコンが寿命を迎えたりなどして必要になります。
太陽光発電を稼働させていく上で、修理や機器の交換は必ず発生するため、積み立てなどにより備えておくとよいでしょう。
参照:太陽光発電の導入拡大に向けた課題と規制・制度の改革要望|一般社団法人太陽光発電協会
※P39「5-1③. 地上設置太陽光の発電コスト(LCOE)の分析」参照
設備撤去や廃棄の費用
太陽光パネルと架台のみを撤去・廃棄する際にかかる費用は、0.57万円/kWが平均です。基礎部分の撤去と廃棄を含めると、費用の平均は以下のようになります。
- 基礎がスクリュー杭の場合:1.02万円/kW
- 基礎がコンクリートの場合:1.37万円/kW
基礎工事の種類だけでなく、太陽光発電所の環境でも設備撤去や廃棄の費用は増減します。
設備の撤去や廃棄は太陽光発電が寿命を迎えたら必ず対応しなければならないため、適切に処理できるよう費用の積み立てがおすすめです。
参照:太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを担保する制度に関する詳細検討②|経済産業省
※P7「(参考)太陽光発電設備の廃棄等費用の額および内訳(調査結果)/中央値」参照
関連記事 太陽光パネルの廃棄費用・処分方法
太陽光パネル価格についてのまとめ
太陽光パネル価格は値下がり続けており、経済産業省の資料「太陽光発電について」によると、2023年の平均金額は以下のとおりでした。
- 住宅用の太陽光パネル価格:14.7万円/kW
- 産業の太陽光パネル価格:9.5万円/kW
太陽光発電が普及し始めた2013年頃と比較すると、2023年は半分近くまで相場価格が下がっています。
しかし、設備容量が大きくなると初期費用が高額になる点が理由で、購入を控えるケースもある状況です。
初期費用を抑える方法として、以下の2つが考えられます。
- 相見積で複数の業者を比較する
- 補助金制度を利用する
相見積の取得によって適正価格での太陽光パネル購入が可能となり、補助金の利用で費用負担を軽減できます。少ない費用負担で太陽光発電を購入したい方は、初期費用を抑えるようにしてみてください。