【設置前に知りたい】ソーラーパネル設置のデメリットと対処法を徹底解説
「ソーラーパネルのデメリットをまとめて知りたい」
「ソーラーパネルのデメリットに対する具体的な対策方法を探したい」
太陽光発電の導入を検討し始めた段階で、ソーラーパネルのデメリットについて詳しく知りたいと思われている方は多いのではないでしょうか。
近年は電気料金が値上がりしており、ソーラーパネルを設置して電気代を節約したいと考える人が増えています。
しかし、「太陽光発電はやらなきゃよかった」などの意見もあるため、デメリットを不安に感じる人も多い状況です。
そこで本記事ではソーラーパネルのデメリットと注意点、対処法について解説します。ソーラーパネルのデメリットを知って、対策した上で設置すればリスクを避けられるため、ぜひ参考にしてください。
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ソーラーパネルを屋根に設置するデメリット
ソーラーパネルを自宅の屋根に設置する際、以下のようなデメリットがあります。
- 初期費用の負担が大きい
- ソーラーパネルの重量で屋根に負荷がかかる
- 施工不良のリスクがゼロではない
- 長期的に継続してメンテナンスコストがかかる
- 近隣とトラブルの可能性がある
どのような点がソーラーパネルの欠点なのか、順に見ていきましょう。
初期費用の負担が大きい
設備費と工事費を合わせた初期投資の額が大きい点が、ソーラーパネルのデメリットです。新築住宅と既設住宅にソーラーパネルを設置する際の初期費用の相場は、以下のようになります。
- 新築住宅:28.8万円/kW
- 既設住宅:27.8万円/kW
住宅用の太陽光発電では小さい容量である3kWのソーラーパネルを導入する場合でも、初期費用は80万円を超える計算です。
ただし、初期費用を抑えることにこだわると、ソーラーパネルで必要な電力を確保できない可能性があります。
月々に削減できる電気代の額や初期投資の回収期間などを含めて、総合的な収支の検討が必要です。
参照:太陽光発電について/P37(2)国内のコスト動向:システム費用(設置年別の推移)|経済産業省
ソーラーパネルの重量で屋根に負荷がかかる
ソーラーパネルを住宅に導入すると、屋根に負荷がかかる点がデメリットです。メーカーや型式で、ソーラーパネルのサイズや重量は変わります。
出力容量が大きいパネルでは、1枚あたり20~25kg前後が平均です。
20kgのソーラーパネルを12枚設置する場合、重量は240kgとなります。ここに架台を追加すると、実際の重量は350kg程度です。
なお、国土交通省では、屋根に設置する太陽光発電は「建築基準関係規定に適合する必要がある」との見解を示しています。
屋根の耐荷重より少ない重量であっても、ソーラーパネルが負荷をかけることに違いはないため、慎重な設置枚数の検討が必要です。
参照:建築物の屋上に太陽電池発電設備を設置する際の建築基準法の取扱いについて(技術的助言)|国土交通省住宅局建築指導課長
施工不良のリスクがゼロではない
ソーラーパネルを設置する際、屋根に架台を取り付ける工法が一般的です。架台はビスやねじで固定するため、屋根に穴があきます。
ビスやねじの打ち方によっては、施工不良による屋内での雨漏りの原因となりかねません。雨漏りを放置すると、住宅に以下のようなリスクが発生します。
- 漏電
- カビの発生
- シロアリの被害
- 構造材の腐食による耐久性の低下
施工実績が豊富な業者に依頼することで、施工不良によるリスクを減らせるでしょう。
長期的に継続してメンテナンスコストがかかる
ソーラーパネルは稼働させている間、継続してメンテナンスが必要です。住宅用では稼働から1年後に1回の後は、4年に1回の頻度での定期点検が義務付けられています。
ソーラーパネルが寿命を迎えるまでの20年間、発電を継続する場合、年間のメンテナンスコストは約0.58万円/kWです。
なお、約0.58万円/kWにはメンテナンスコストの他、途中でパワコンを交換する費用を含めています。
参照:太陽光発電について/P39(2)国内のコスト動向:運転維持費(案)|経済産業省
太陽光発電のメンテナンス費用の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事 太陽光発電のメンテナンス費用(維持費)
近隣とトラブルの可能性がある
ソーラーパネルを自宅に設置する際、以下の表にあるようなトラブルの可能性があります。
トラブルの原因 | トラブルの詳細 |
---|---|
反射光 | ・ソーラーパネルに当たった光が跳ね返って、隣家の窓に入り込むと室温の上昇などで影響 ・夏至や冬至などあらゆる太陽の動きを想定した設置計画が必要 |
稼働音 | ・屋外設置のパワコンの稼働音は約60dB ・昼間の商業地域や工業地域と同等 ・隣家と距離を取れる位置の選定が重要 |
電磁波 | ・ソーラーパネルの電磁波は人や環境に影響しない ・しかし、影響を心配する近隣住民から設置を反対される可能性がある |
景観 | ・景観保全条例がある地域や観光地で多いトラブル ・公共の用地から見えない位置にソーラーパネルを設置するなどの工夫が必要 |
いずれも、業者と回避策を相談してソーラーパネルの設置計画をたてることで、トラブルを避けられるでしょう。
参照:太陽光発電システムの設計/P33~40、周辺環境に対する留意|太陽光発電協会
関連記事 太陽光発電の近隣トラブル事例
ソーラーパネル設置前に注意すべきポイント
ソーラーパネル設置前に注意したいポイントは、以下のとおりです。
- 設備を設置するスペースが必要になる
- 屋根の構造によって設置が制限される
- 天候や季節で発電量が増減する
- 夜間はソーラーパネルが発電できない
- 売電単価が低くなっている
設備を設置するスペースが必要になる
ソーラーパネルを自宅に導入して発電した電力を消費または売電するためには、併せて以下の設備も設置します。
- パワーコンディショナー
- 接続箱
- 電力量計
- 発電モニタ
接続箱が一体型のパワーコンディショナーを設置すれば、省スペースになります。ただし、屋外用と屋内用のどちらでも、どこにでも設置できるわけではありません。
屋外なら直射日光を避けて、稼働音が近隣の迷惑にならない位置に設置します。屋内の場合はパワーコンディショナーをブレーカーの近くに配置するため、空間が狭くなる可能性があります。
電力量計や発電モニタは、パワーコンディショナーほどの外形寸法はないものの、設置するためのスペースの確保は必要です。
屋根の構造によって設置が制限される
屋根の構造によってはじゅうぶんな面積がなく、必要な枚数のソーラーパネルを設置できない可能性のある点がデメリットです。
日本家屋における一般的な屋根の構造の種類は、以下の図のようになります。
ソーラーパネルは、南向きで真横から見たときにパネルが30度に傾斜した状態で設置するのが理想といわれています。
このため、以下の屋根の南側にソーラーパネルを設置するパターンが多い傾向です。
- 片流れ屋根
- 切妻屋根
- 寄棟屋根
一方で、差しかけ屋根やのこぎり屋根のように段差があって面積が少ない場合は、希望どおりにソーラーパネルを設置できないことも考えられます。
天候や季節で発電量が増減する
天候や季節によってソーラーパネルによる発電量が変動する点が、デメリットです。
特定の地点においてのソーラーパネルの発電量は、以下のグラフのように増減します。
梅雨や冬季など晴れる日が少なく日射量も減る時期は、ソーラーパネルの発電量も減少傾向であると分かります。
発電量が一定ではなく、電気代の削減効果や余剰売電量が減る可能性のある点が、ソーラーパネルのデメリットといえるでしょう。
夜間はソーラーパネルが発電できない
発電には太陽光が必要なため、当然日が射していない夜間はソーラーパネルで発電できません。
自家消費が目的の場合、昼間は不在にするライフスタイルではソーラーパネル設置の恩恵が少なくなります。
このため、蓄電池をソーラーパネルと併用するなど、昼間に発電した電気の活用法の検討が必要です。
ソーラーパネルを導入しても昼間は自宅を不在にする場合、対策しなければ電気を有効活用できない点がデメリットとなります。
売電単価が低くなっている
電力の売電単価が年々下がっている点が、ソーラーパネルのデメリットといわれています。
住宅用太陽光発電で固定価格買取制度(FIT制度)を利用する際の売電単価の推移は、以下の図のとおりです。
一方で、大手電力会社の2024年9月時点の電力買取価格は、以下の表のようになります。
電力会社 | 買取価格(税込) |
---|---|
北海道電力 | 8円/kWh |
東北電力 | 9円/kWh |
東京電力 | 8.5円/kWh |
中部電力 | 7円/kWh ※プランに加入しない場合 |
北陸電力 | 8円/kWh ※かんたん固定単価プランの場合 |
関西電力 | 8円/kWh |
四国電力 | 7円/kWh |
中国電力 | 7.15円/kWh |
九州電力 | 7円/kWh |
沖縄電力 | 7.7円/kWh |
FIT制度については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
関連記事 固定価格買取(FIT)制度とは
ソーラーパネルのデメリットを避ける方法5選
デメリットも確かにあるソーラーパネルですが、以下5つのような方法で欠点を補えます。
- 慎重に業者を選ぶ
- 0円ソーラーを活用する
- 補助金を活用する
- 丁寧にシミュレーションする
- 蓄電池を併用する
デメリットを避けるための方法を、具体的に説明します。
慎重に業者を選ぶ
業者選びはソーラーパネルのデメリットを避けるために、重要な事項です。販売・施工ともに実績が豊富な業者は、ノウハウを持っているためデメリットの回避策を熟知しています。
どのような場合にデメリットの影響を受けやすいかが分かるため、対策方法をアドバイスしてもらいやすいです。
このため、住宅用の太陽光発電の販売・施工実績がある業者を見つけられるかが、デメリットを回避する方法といえます。
0円ソーラーを活用する
第三者所有モデルと呼ばれる「0円ソーラー」の仕組みを活用すれば、高額な初期費用をかけずにソーラーパネルを自宅に設置できます。
住宅向けの太陽光発電で活用できる0円ソーラーのモデルは、以下の2つです。
- オンサイトPPA
- リースモデル
それぞれの0円ソーラーの仕組みは、以下の図のようになります。
どちらのモデルも、ソーラーパネルを自分で購入せずに自宅に設置して自家消費できるメリットがあります。
補助金を活用する
住宅にソーラーパネルを設置する初期費用の一部が支援される補助金は、各自治体で用意されています。
ただし、ソーラーパネル単体の導入が支援される補助金は少なく、蓄電池との併用などの条件が付いているケースがほとんどです。
首都圏で実施されている住宅用太陽光発電向けの補助金には、以下のようなものがあります。
自治体 | 補助金事業 |
---|---|
東京都 | 住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業 |
埼玉県 | 【令和6年度】家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金 |
千葉県 | 再生可能エネルギー・省エネルギー設備の支援情報(住宅用) |
神奈川県 | ・個人向けの補助金はなし ・0円ソーラーや共同購入でのソーラーパネル導入を推奨 |
補助金の給付により、少ない費用負担でソーラーパネルを設置できます。
丁寧にシミュレーションする
ソーラーパネルを導入する前の入念な発電シミュレーションにより、以下のデメリットを抑えられます。
- 発電量の季節変動
- メンテナンスコストの継続的な発生
- 売電単価が低下傾向
季節で変動する発電量やメンテナンス費用をシミュレーションに盛り込み、資金の計画を立てることは、費用面での不測の事態を避ける方法です。
また、丁寧なシミュレーションがあれば、卒FIT後に余剰売電を継続するか、全量自家消費に切り替えるかなど適切に判断できます。
電力の売電単価が低下していても、シミュレーションによって損失が出ないように対策できるでしょう。
卒FITについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事 卒FITとは
蓄電池を併用する
ソーラーパネルを単体で使うよりも蓄電池を併用するほうが、得られるメリットを大きくできます。
季節や時間帯で発電量が増減しても、蓄電池にソーラーパネルの電気を溜めていれば、いつでも電力を自家消費できるためです。
蓄電池によって自家消費量が増えれば、高い料金で購入する電力が減り、低い単価での売電は減ります。
電気料金が値上がりし、売電単価が低下している近年では、売電よりも自家消費量が多いほうがメリットは大きいといえるでしょう。
蓄電池の併用について以下の記事で解説しているので、併せて参考にしてください。
関連記事 太陽光発電に蓄電池の併用は必要?
まとめ|ソーラーパネルはデメリットを踏まえて導入を検討しよう
ソーラーパネルには、以下のようなデメリットがあります。
- 初期費用の負担が大きい
- ソーラーパネルの重量で屋根に負荷がかかる
- 施工不良のリスクがゼロではない
- 長期的に継続してメンテナンスコストがかかる
- 近隣とトラブルの可能性がある
デメリットへの対策を熟知した、実績豊富で信頼できる業者に相談して設置することで、ソーラーパネルのマイナス要素を減らせます。
ソーラーパネルのデメリットと対処法を理解した上で、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。