太陽光発電の「接続箱」とは? 役割や機能、選び方を徹底解説
「太陽光発電の見積に含まれている接続箱は、どのような機器?」
「太陽光発電の接続箱は、何を基準にして選べばよいかしりたい」
太陽光発電業者からの見積を見て、このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか。
接続箱の主な役割は発電した電気の集約で、一般的な住宅用太陽光発電システムには欠かせない機器です。
本記事では、太陽光発電においての接続箱の機能や役割、選び方の3つのポイントなどを解説します。
ポイントを押さえた接続箱選びができれば、施工時のコスト削減や発電効率の向上が期待できるため、ぜひ最後までお読みください。
太陽光発電における接続箱とは? 3つの機能・役割を解説
太陽光発電システムの構成では、太陽光パネルとパワーコンディショナーの間に接続箱を設置します。接続箱の主な機能や役割は、以下の3つです。
- 太陽光パネルの電気を集約
- 逆流防止
- 落雷対策(避雷素子)
それぞれの機能・役割について、具体的に説明します。
太陽光パネルの電気を集約
太陽光発電において、接続箱は主に太陽光パネルで発電した電気を集約する役割を担う機器です。
複数枚の太陽光パネルを設置する際、各パネルから出るケーブルを電気の集約機能を持つ接続箱で1つの回路にまとめます。
このため、接続箱は以下の図のように、太陽光パネルとパワコンの間に設置する構成が一般的です。
接続箱の機能が、パワコンと一体になった機器もあります。一体型の機器を設置する場合は、太陽光パネルのケーブルとパワコンを直に接続するシステム構成となります。
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逆流防止
電気の逆流防止も、太陽光発電システムにおける接続箱の役割です。正常な状態では、太陽光パネルで発電した電気は、接続箱やパワコンを経由して自家消費や売電するまで、一定方向に流れます。
しかし、複数枚ある太陽光パネルのいずれかが不具合などで発電しなくなった際、正常なパネルの電気が逆流する可能性があります。
このため、太陽光発電システムには、電気の逆流を防止する機能が必要です。
接続箱に逆流防止ダイオードが内蔵されていれば、太陽光発電での電気の逆流を回避できます。
落雷対策(避雷素子)
太陽光発電システムの付近に雷が落ちた際の対策も、接続箱の役割のひとつです。発電所の近くに落雷があった場合、誘導雷による太陽光パネルや配線での過電圧の懸念があります。
過電圧が発生すると、太陽光発電システムに以下のような不具合が起きかねません。
- 接続箱やパワコンが停止または故障
- 雷が直撃した場合は太陽光パネルほかの機器が破損
- 機器の停止や故障での発電停止による期間損失
接続箱に内蔵された避雷素子には、太陽光発電システム内での過電圧を検知して、電気を地面に逃がす機能が備わっています。
避雷素子を搭載した接続箱を使用していれば落雷対策ができるため、不具合が発生しないようにできるでしょう。
接続箱の種類を3つの視点から解説
接続箱にはいくつかの種類があり、用途や設置場所などで分類できます。以下では、3つの視点から接続箱の種類を解説します。
- 住宅向けと産業向け
- 屋内設置と屋外設置
- 直流と交流
住宅向けと産業向け
太陽光発電の用途が住宅用か産業用かで、接続箱を分類できます。
住宅用の太陽光発電は設備容量が10kW未満のため、接続箱とつなぐ太陽光パネルが少なくて済みます。このため、接続箱の回路が2〜3程度と少なめです。
一方で、産業用太陽光発電では何百枚もの太陽光パネルを設置するため、接続箱に必要な回路数も多くなることから回路数が多い傾向です。
産業向けの接続箱の回路数はメーカーによりさまざまで、ソーラーフロンティア社の場合は、4・8・12回路の3種類あります。
参照:接続箱|ソーラーフロンティア株式会社
屋内設置と屋外設置
屋内と屋外のどちらに設置するかでも、接続箱は2種類に分かれます。屋内設置用の接続箱は、筐体が外部環境への耐久性が低めに作られているため、屋外に設置すると早く故障する可能性が高いです。
ただし、耐久性が高い屋外設置用の接続箱であっても、どこにでも設置できるわけではありません。業者と相談して接続箱に負担がかからない、最適な設置場所を見つける必要があります。
直流と交流
太陽光発電システムの接続箱は、基本的に直流です。
直流接続箱は、直流接続箱は、太陽光パネルで発電された直流電力を集約し、パワーコンディショナーに送る役割を担います。
一般的な住宅用太陽光発電システムでは、直流接続箱が設置されるケースがほとんどです。
一方、交流の電気を集約する交流集電箱もあります。交流集電箱は大規模な産業用太陽光発電システムで採用されており、パワーコンディショナーで交流に変換した電気を集約します。
システムの規模や用途に応じて、適切な接続箱の選定が必要です。
太陽光発電における接続箱と集電箱の違い
太陽光発電システムにおいて、接続箱と集電箱は似た役割を持ちますが、以下のような違いがあります。
設備 | 役割 |
---|---|
接続箱 | 太陽光パネルの電気を1回路にまとめてパワーコンディショナーに送る |
集電箱 | 大規模な太陽光発電システムで、複数の接続箱の電気を1回路にまとめてパワーコンディショナーに送る |
接続箱と集電箱は、どちらも電気を1つの回路に集約するための機器です。太陽光パネルの電気を直接集めるかどうかが、接続箱と集電箱の大きな違いとなります。
参照:太陽光発電関連商品のご紹介/P2システム構成図|内外電機株式会社
接続箱の選定ポイント3選
接続箱を選ぶ際に注目したいポイントは、以下の3つです。
- 最大入力電圧の高さ
- 屋外設置での耐久性の高さ
- 施工のしやすさ
最大入力電圧の高さ
接続箱を選ぶ際、最大入力電圧は重要なチェックポイントです。
太陽光パネルを直列につなぐと電圧が上昇する傾向があるため、設備の規模に応じた最大入力電圧に対応した接続箱が必要です。
設備の規模と比較して接続箱の最大入力電圧が低いと、火災の原因となる可能性があります。業者に相談しながら、余裕を持たせた最大入力電圧の接続箱を選定しましょう。
屋外設置での耐久性の高さ
接続箱を屋外に設置する際は、耐久性の高さが重要な選定基準となります。電気製品である接続箱を屋外に設置するケースでは、以下のような外部環境への耐性が必要です。
- 直射日光による温度上昇
- 台風や突風などの強風
- 砂埃などの機器内部への入り込み
これらの外部環境に耐えるかどうかを判断する指標に、電気製品の防水性や防塵性を示す保護等級(IP等級)があります。
IP等級はメーカーにより異なりますが、太陽光発電のパワコンや接続箱ではIP55以上の製品が多い傾向です。
耐久性の低い接続箱を選ぶと故障などの原因となり、設備全体の性能低下や寿命に影響する可能性があるため、慎重に選定しましょう。
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施工のしやすさ
接続箱が施工しやすいかどうかも、設備を選ぶ際に重視したいポイントです。施工しやすい接続箱であれば、設置時の配線作業やメンテナンスが容易になり、工期短縮やコスト削減が見込めます。
具体的には、以下のような特徴があれば施工しやすい接続箱です。
- 端子台が作業しやすく配置されている
- ケーブルの引き込み口にじゅうぶんな大きさがある
- 内部の配線スペースがじゅうぶんに確保されている
施工しやすいかどうかは専門的な視点で判断が必要なため、業者と相談しながら接続箱を選ぶことをおすすめします。
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太陽光発電の接続箱の設置場所を決める際の注意点
太陽光発電システムで接続箱の設置場所を決める際の注意点は、屋内と屋外で以下のように異なります。
設置場所 | 注意点 |
---|---|
屋内 | 温度や湿度が高くなる場所を避ける |
屋外 | ・雨水や直射日光の影響を受けにくい軒下または日陰となる場所を選ぶ ・保守点検やメンテナンスしやすい位置を選ぶ |
屋内設置と屋外設置で共通の注意点は、太陽光パネルとパワコンそれぞれとの位置関係です。太陽光パネルもパワコンも接続箱との距離が遠いとケーブルが長くなり、発電効率が下がりかねません。
ケーブルの引き回しが最小限になる位置を選定できれば、施工コストの削減と発電率の向上が期待できるでしょう。
太陽光発電の接続箱についてのまとめ
太陽光発電システムにおいて、接続箱は以下3つの役割を持っています。
- 太陽光パネルの電気を集約
- 逆流防止
- 落雷対策(避雷素子)
複数の太陽光パネルで発電した電気を1つの回路にまとめる他、逆流の防止や落雷対策なども担うのが接続箱です。
最適な接続箱の選定には専門的な知識が必要なため、ポイントを押さえつつ業者に相談して、自宅の太陽光発電に合った製品を選びましょう。