非FITとは? FIT・卒FITとの違いと買取価格・売電先・非化石証書まで解説

アスグリ編集部

「非FITって何?」「FITや卒FITと何が違うの?」「非FITで太陽光発電の電気を売ると、買取価格はいくらになる?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

非FITは、FIT(固定価格買取制度)の認定を受けずに発電・売電する太陽光発電のことです。FITのように国が買取価格を保証しない代わりに、発電した電気を「再エネ100%」として扱える点が大きな特徴になります。

この記事は、卒FIT間近の発電事業者・住宅オーナー、RE100やコーポレートPPAを進めたい事業会社、これから太陽光発電を新設する個人のいずれにも役立つ内容になっています。

非FITの基本的な仕組みからFIT・卒FITとの違い、買取価格の相場、売電先、非FIT非化石証書、申請の流れまでを一気に整理しますので、自分の立場に近いセクションから読み進めてください。

非FIT(Non-FIT)太陽光発電とは

非FITとは、FIT制度(固定価格買取制度)の認定を受けていない再生可能エネルギー発電設備、またはそこから生まれた電気を指します。

太陽光発電であれば「非FIT太陽光発電」、その電気は「非FIT電気」と呼ばれます。読み方は「ひフィット」または「ノンフィット(Non-FIT)」です。

非FIT電気の定義と位置づけ

FIT制度を使わずに発電した電気は、すべて非FIT電気にあたります。具体的には次の3パターンが代表例です。

非FIT電気にあたる3パターン
  1. はじめからFIT認定を取らずに新設した太陽光発電所の電気
  2. FIT認定を途中で取り消し(卒業)した発電所の電気
  3. FIT期間が満了した卒FIT後の発電所の電気

FITは20年(産業用)または10年(住宅用)で買取期間が終わるため、卒FITした発電所はそのまま非FITに切り替わるのが基本です。

2019年11月以降、住宅用の卒FITが順次始まっており、非FIT電気の市場規模は年々拡大しています。産業用も2032年7月以降に大量の卒FITが控えており、非FIT電気は今後ますます増えていく見込みです。

非FITが注目されている理由

非FITが注目される理由は、「再エネ100%の電気」として企業の脱炭素戦略に組み込めるからです。

FIT電気は再エネ賦課金で国民全体が費用を負担しているため、環境価値(CO2を排出しない価値)が国民に帰属し、購入企業が「再エネ100%」と名乗ることはできません。

これに対して非FIT電気は、賦課金の支援を受けていないため、環境価値が発電事業者や買い手に残ります。RE100や再エネ100宣言RE Action加盟をめざす企業にとっては、非FIT電気が現実的な調達ルートになります。

2026年度からは、CO2を多く排出する大規模事業者を対象とした排出量取引制度(GX-ETS)が本格始動する予定で、排出枠を意識する企業は再エネ電力の確保を急いでいます。非FIT電気の需要が伸びている背景は、こうした制度面の変化が大きいです。

なお、GX-ETSは大規模事業者向けの制度のため住宅用太陽光に直接影響するわけではありません。ただし、市場全体で非FIT電気の需要が高まる流れは続くため、住宅オーナーにとっても売電先の選択肢が広がる追い風になります。

非FITとFITの違いを比較

非FITとFITの違いは、ひと言でいえば「国の買取保証があるかどうか」と「環境価値が誰のものか」の2点です。主な違いを表で整理します。

比較項目FIT電気非FIT電気
買取価格国が決めた固定価格で20年(産業用)/10年(住宅用)保証市場価格や相対契約で決まる(年・月単位で変動)
売電先大手電力会社が買取義務あり自分で売電先を探して契約する
再エネ賦課金国民全体で負担負担なし(賦課金の対象外)
環境価値の帰属国民に帰属し、買い手は再エネ100%を名乗れない発電事業者・買い手に残り、再エネ100%として使える
価格変動リスクなし(固定)あり(市場連動の場合)
主な向き先初期投資の回収を優先したい事業者RE100対応・コーポレートPPAをめざす企業

FITは収益が読みやすい一方、環境価値が手元に残りません。非FITは収益のブレが大きい代わりに、電気そのものを「再エネ100%」として活用できます。

「投資回収を確実にしたいならFIT」「環境価値を企業ブランディングに使いたいなら非FIT」と整理すると、選び方の軸が見えやすいです。

非FITと卒FITの違い

「非FIT」と「卒FIT」は混同されがちですが、指している範囲が異なります。

非FIT:FIT認定を受けていない発電設備全般を指す広い概念
卒FIT:FIT認定を受けた設備の買取期間が満了し、固定価格での買取が終了すること

つまり、卒FITした発電所も制度上は非FITの一種に含まれます。一方で、はじめからFIT認定を取らずに建てた新設の太陽光発電所も非FITであり、非FITは卒FITより広い概念です。

住宅用なら買取期間10年、産業用なら20年でFITが満了しますが、その後どこに売電するかを決める段階で「非FITとしてどう運用するか」を考える流れになります。

なお、卒FIT後の具体的な活用方法(オフサイトPPA・新電力切り替え・自家消費・蓄電池併用など)は、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事 卒FITとは

非FITとFIPの違い

非FITと混同されやすい制度に、FIP(フィードインプレミアム)があります。FIP制度は2022年4月にスタートした、市場価格にプレミアム(補助額)を上乗せして売電する仕組みです。

制度買取の仕組み環境価値
FIT国が固定価格で長期買取発電事業者には残らない
FIP市場価格+プレミアムで売電発電事業者に残る
非FIT完全市場ベースで売電・自家消費発電事業者・買い手に残る

FIPは国の補助が入る点でFITと近く、非FITは補助がいっさい入らない点で純粋な市場取引型です。FIPと非FITはどちらも「環境価値が発電事業者に残る」点で似ているため、混同されやすく注意が必要です。

関連記事 FIP制度とは?

非FIT太陽光の買取価格と売電先

非FITで発電した電気は、自分で売電先を探す必要があります。主な売電先は次の4つです。

非FIT電気の主な売電先
  1. 大手電力会社(旧一般電気事業者)
  2. 新電力会社(小売電気事業者)
  3. オフサイトPPAで需要家へ直接販売
  4. 自己託送・自家消費で社内利用

それぞれの買取価格の相場を見ていきましょう。

大手電力会社の非FIT・卒FIT買取価格

大手電力会社の非FIT・卒FIT買取価格は7〜9円/kWh前後が目安です。エリアごとの代表値は次のとおりです。

電力会社買取価格(税込)
北海道電力8.0円/kWh
東北電力9.0円/kWh
東京電力8.5円/kWh
北陸電力8.0円/kWh
中部電力7.0円/kWh
関西電力8.0円/kWh
中国電力7.15円/kWh
四国電力7.0円/kWh
九州電力7.0円/kWh
沖縄電力7.7円/kWh
※調査時点の情報。料金プランは随時改定されるため、契約前に各社公式サイトで最新価格を確認してください。

FIT期間中の住宅用買取価格(24円/kWhなど)と比べると、半額以下まで下がるのが一般的です。手続きの手間が少ない反面、収益性は低めになります。

新電力会社(おすすめの売電先候補)

新電力会社の非FIT買取価格は、大手電力会社より2〜6円/kWh高めに設定されているケースが多いです。

東京電力管内であれば10〜14円/kWh台、関西・中部の都市部でも10〜12円/kWh台のプランが見つかります。新電力ごとに買取対象エリア・買取上限・契約期間が異なるため、複数社の条件を比較してから選ぶのがおすすめです。

デメリット
  • 新電力は買取価格を定期的に改定するため、申し込み時の単価を必ず確認する
  • 10kW未満(住宅用)に限定したプランも多く、産業用は対象外のケースがある
  • 新電力の倒産リスクを踏まえ、契約時の解除条件もチェックしておく

オフサイトPPAでの売電(高単価が狙える)

オフサイトPPAは、発電事業者と需要家(電気を使う企業)が長期で売買契約を結ぶ仕組みです。電力会社の送電網を経由しつつ、契約相手は需要家になります。

オフサイトPPAでの売電単価は、10〜12円/kWhが相場です。大手電力会社へ売るより数円高く、しかも10〜20年の長期契約で価格が安定する点が大きなメリットになります。

需要家側にとっても、市場から電気を買うより安く再エネ電気を確保できるため、ニーズが一致しやすい売電方法です。卒FITする産業用太陽光発電所が増えるなか、オフサイトPPAは非FITの主流売電先になりつつあります。

自己託送・自家消費で社内利用する

非FIT電気を「売る」のではなく、自社の別拠点に送って使う(自己託送)、または発電所の敷地内で消費する(オンサイト自家消費)パターンも増えています。

自家消費なら売電単価の影響を受けず、購入電力単価(業務用で20円台後半〜30円台/kWh)の節約効果がそのまま利益になります。自家消費型太陽光発電の経済性は、売電よりも電気代削減に直結します。

住宅オーナーであれば、蓄電池を併用して自家消費率を高める運用が非FITとの相性がよい選択肢です。発電した電気を昼間に使い切れない分は蓄電池に貯め、夜間に放電すれば、購入電力(家庭向け30円台前半/kWh)を抑えられて売電単価の変動リスクも軽減できます。

非FIT非化石証書とは

非FIT電気とセットで語られることが多いのが、「非FIT非化石証書」です。

非化石証書は、CO2を排出しない非化石電源(再エネ・原子力)で発電された電気の「環境価値」を、電気そのものから切り離して取引できるようにした証書です。電気の中身は変わらなくても、証書を持っていれば「再エネ電気を使った」と対外的に説明できるようになります。

FIT非化石証書と非FIT非化石証書の違い

非化石証書は大きく2種類に分かれます。

証書の種類由来する電源主な買い手
FIT非化石証書FIT認定を受けた再エネ電源小売電気事業者・需要家(仲介経由)
非FIT非化石証書(再エネ指定あり)FIT認定を受けていない再エネ電源RE100対応企業・小売電気事業者
非FIT非化石証書(再エネ指定なし)原子力+大型水力など非化石電源全般低炭素化を目的とする小売電気事業者

RE100など「再エネ100%」を訴求したい企業がほしいのは、非FIT非化石証書(再エネ指定あり)です。原子力由来の証書は再エネ訴求には使えないため、「再エネ指定あり/なし」の区別はかなり重要になります。

非FIT非化石証書は誰が買うのか

非FIT非化石証書の主な買い手は、次の3つに整理できます。

非FIT非化石証書の主な買い手
  • 小売電気事業者:「再エネメニュー」を顧客に提供するため
  • 需要家企業:RE100・SBT・CDPなどの開示で再エネ調達実績を示すため
  • 仲介事業者:高度化法の義務達成や転売目的で取引するため

非FITのメリット・デメリット

非FITは万能ではなく、メリットとデメリットがはっきり分かれます。判断軸として押さえておきたいポイントを整理します。

非FITの3つのメリット

非FITを選ぶメリット
  • 再エネ100%の電気として企業ブランディングに使える
  • FITより高単価で売電できる可能性がある(オフサイトPPA等)
  • 排出量取引制度・容量市場・税負担増のリスクヘッジになる

とくに大きいのが「環境価値が手元に残る」点です。FITと違い、発電事業者や需要家が再エネ100%の電気を保有できるため、コーポレートPPA・RE100対応・カーボンニュートラル戦略の柱として組み込みやすくなります。

非FITの2つのデメリット

デメリット
  • 売電先を自分で探して契約する必要がある
  • 市場価格に連動する場合、売電収入が大きくブレる

FITは買取単価が固定で収益が読みやすかった一方、非FITは契約交渉・更新・価格交渉までを発電事業者の責任で行うことになります。初心者がいきなり個人で運用するには、ややハードルが高いのが正直なところです。

※ FIT認定設備でも、出力制御・パネル劣化・パワコン交換・固定資産税・盗難リスクなど運用面のリスクは別途発生します。「FITだから安泰」と捉えるのは早計で、買取単価以外の論点はFITも非FITも共通です。

住宅用の卒FIT後であれば、新電力に乗り換えるだけで非FITに切り替わるため、難易度はそこまで高くありません。一方、産業用ではPPA仲介事業者・買取業者の力を借りて売電先を探すのが現実的です。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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