MDGsとSDGsの違いとは? 2つの関係や共通点をわかりやすく解説

MDGsとSDGsの違いとは?
momohiki011

「MDGsって何?」
「SDGsと何が違うの?」

地球環境の取り組みについて興味があり、MDGsやSDGsについて詳しく知りたい人も多いのではないでしょうか。また、現在目標を掲げられているSDGsとMDGsの違いがわからないとお悩みの方もいるはずです。

この記事では、以下についてわかりやすく解説します。

MDGs(ミレニアム開発目標)とは

「MDGs(Millennium Development Goals)」とは、2000年9月にアメリカで開催された「国連ミレニアム・サミット」の宣言の内容に基づき、貧困や飢餓の撲滅などについて定められた目標のことです。

国連ミレニアム・サミットとは?

2000年9月にアメリカのニューヨークで開催された国際サミットです。国連に加盟している主要国を中心とし、世界中の平和や安全、開発、貧困、環境、人権、そしてアフリカの情勢などについて協議をしています。

別名「ミレニアム開発目標」と呼ばれ、合計8つの目標を掲げ、全ての目標を2015年までに達成するため、以下の先進国を含む合計189か国が参加を表明しています。

  • 日本
  • アメリカ
  • フランス
  • イギリス
  • ドイツ
  • オーストラリア

まずは、概要やポイントをわかりやすく整理しました。

MDGsの8個の目標を簡単に解説

MDGsでは、地球環境や情勢に関わる以下の8つの目標が掲げられています。

目標対象となるカテゴリ主なターゲット
極度の貧困と飢餓の撲滅1日1ドル未満で生活する人々を半減させる、スラム問題を解消する など
普遍的な初等教育の達成すべての子どもたちが男女差なく、初等教育の全課程を修了させる
ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上すべての教育レベルで男女格差・不平等を解消する
幼児死亡率の引き下げ5歳未満の幼児の死亡率を2/3まで引き下げる
妊産婦の健康状態の改善妊産婦の死亡率を3/4まで引き下げる など
HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止HIV(エイズ)のまん延を阻止し減少させる、予防・治療する
環境の持続可能性の確保環境各国の政策・プログラムに持続可能な開発を反映させて環境資源の喪失を阻止・回復する
開発のためのグローバル・パートナーシップの構築経済予測可能でかつ差別のない貿易および金融システムの構築を推進する
参考:国際連合広報センター「ミレニアム開発目標(MDGs)の目標とターゲット」

主に地球全体で問題視されている人に関わる「貧困」や「病気」、世の中に対する「環境」「経済」などに関わる目標が掲げられています。

すべての課題を2015年までに達成することを目標とし、2010年の中間報告を含めて各国で取り組みがスタートされました。

MDGsが掲げられた背景

MDGsは急に発案されたものではなく、以前より国連会議で議論されていた課題の解決を形にするためにつくり出されました。

たとえば、環境に関わる項目は1972年の「人間環境宣言」や1997年の「京都議定書」などがもとになっているほか、貧困や人権にかかわる項目は1995年の「コペンハーゲン宣言」が関連しています。

長い時間をかけてさまざまな議論が進められたことにより、地球全体に関わる問題が明確化されました。

バラバラに目標を立てるのではなく、ひとつの目標とすることにより、世界各国で人・環境・経済の問題を共通認識にしやすくなることから、2000年という節目をきっかけにMDGsがまとめられたのです。

MDGsとSDGsの違い

MDGsと目標の内容が似ているのが、現在運用されている「SDGs(Sustainable Development Goals)」です。

別名「持続可能な開発目標」と呼ばれ、2030年を目標に持続可能な世界を目指す国際目標であり、以下に示す3つのポイントが異なります。

掲げられている目標の数

MDGsとSDGsは、以下のように目標のゴール、ターゲットが違います。

MDGsSDGs
ゴール817
ターゲット21169

取り組み全体の目標であるゴールが2倍近く違うのはもちろん、ターゲット数には8倍程度の差があります。SDGsのなかにはMDGsで掲げられているゴールやターゲットも含まれているのが特徴です。

対象となる国々の数

MDGsは環境や衛生面の整備が進んでいない「開発途上国・発展途上国」を対象としている一方で、SDGsは先進国や途上国を問わずすべての国々が対象国です。SDGsで掲げられている目標のなかには、先進国ならではの項目もまとめられています。

取り組みの主体

MDGsでは、発展途上国の「国」を取り組みの主体として考えていますが、SDGsについては国だけでなく企業や個人も取り組みの主体として捉えています。

国が取り組むだけでは解決できない項目も多いことから、SDGsでは企業や個人が取り組みやすいような施策、制度などが整備されました。

MDGsとSDGsの関係

SDGsのイメージ

MDGsとSDGsはどちらも並行して運用されているのではなく、MDGsの後継としてSDGsが登場しました。

似た目標をもつ2つの目標は、そもそも策定された時期が異なります。

MDGsとSDGsはいつからいつまで?
  • MDGs:2000~2015年(1990年からの変化を対象)
  • SDGs:2015~2030年

ちょうど15年間ずつ期限が設けられており、2015年にMDGsの目標年を迎えたため、新たにSDGsが策定されたのです。

目標が似ているのはSDGsがMDGsの目標を受け継いでいる(包括している)からであり、現在はSDGsにより、世界共通の課題解決が目指されています。

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MDGsは2015年に達成期限を迎えた

MDGsは、2015年を期限に取り組みが終了しています。現在は後継となるSDGsにすべての目標が受け継がれ、SDGsの1本で人や環境、経済といった社会全体に関係する新たな対策がスタートしている状況です。

また、SDGsで目標が受け継がれているのは、達成期限までに目標に到達できなかったことが関係しています。具体的な達成度について整理しました。

MDGsの最終的な達成度

国連が公開している日本語版資料である「国連ミレニアム開発目標報告 2015」によると、2015年の最終的な達成度や成果は次の通りです。

目標達成状況・割合残された課題
極度の貧困と飢餓の撲滅・1日1ドル以下の生活者を14%まで減少できたが、ゼロにはできなかった14%の貧困層への対応
普遍的な初等教育の達成・2000年の83%から2015年の
91%まで達成したが、100%には到達できなかった
9%の教育を受けられない子供たちへの対応
ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上・男女格差の撲滅を達成した
・女性の政治への参加が可能になった
残された人たちの改善
幼児死亡率の引き下げ・5歳未満の乳幼児死亡率が約半減して目標を達成した同上
妊産婦の健康状態の改善・妊産婦の死亡率が45%減少して目標を達成した同上
HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止・感染者数が約350→210万人に削減された同上
環境の持続可能性の確保・飲料水源の確保について世界人口の91%まで増加できた同上
開発のためのグローバル・パートナーシップの構築・経済成長によりODAや通話手段、インターネット環境が普及した同上

上記からわかるように、全体的な目標は達成されています。しかし、完全にすべてを解決できたわけではありません。まだ大勢の人々が取り残されているほか、特定の国(政府)は上記の目標を達成できていない状況であるため、後継となるSDGsにて目標の実現が必要です。(下図参照)

MDGsの達成状況
出典:国連「国連ミレニアム開発目標報告 2015」

MDGsの目標を達成できなかった理由

MDGsでは掲げていた目標や指標を、過年度の状況と比較しても数多く達成しましたが、一部で達成できなかった項目も複数あります。参考として、目標達成できなかった理由について整理しました。

国内企業・個人の格差に目を向けられなかった

発展途上国における男女差・収入差・地域格差がまだまだ存在し続けています。世界全体を見れば差を埋められていますが、国の取り組みを民間企業にまで反映できなかったことにより、まだ格差のある国が数多く残っている状況です。

もちろん格差は埋まりつつありますが、企業ごとに就業条件や雇用、賃金の差が残っています。仕事を求める人たちが今よりも働きやすくなるためには、SDGsの取り組みにより企業や個人が、さらに取り組みのことを理解して男女格差を埋めていくことが重要です。

環境汚染や気候変動について考慮できていなかった

気候変動

地球環境の改善に関する目標も達成された項目が多いのですが、途上国の発展に伴う「環境汚染」、そして産業が活発化することによって発生する「気候変動」などの環境問題を考慮できていませんでした。

環境汚染や気候変動の問題は現在も残り続けています。地球温暖化が継続しているほか環境汚染で海や森で問題が起きていることも含め、SDGsの取り組みでの改善が必要です。

国民自体の取り組みにつながらなかった

MDGsの取り組みは国を主体とした取り組みであることから、うまく国民まで取り組みを反映できていなかったのが問題です。国自体はMDGsの目標達成に向けて動き出していましたが、企業や国民のなかには、MDGsの取り組みを「自分ゴト」として捉えられずにいました。

対してSDGsでは、取り組みの主体を国だけでなく、国の支援をもとに企業や国民も含めて計画されています。企業が取り組みやすくなる施策を整備しているのはもちろん、以下のように国民が協力して取り組みやすいイベントの実施や活動・行動にも積極的に取り組み中です。

企業・国民に認知させる取り組み

ペットボトルのエコ活動|セブン&アイ・ホールディングス

コンビニエンスストアといった店舗にペットボトルの回収ボックスを設置し、リサイクル資源を回収する施策を実施しました。製造メーカーのほか、店舗を利用する国民がSDGsに向けて取り組めるのが魅力です。

出典:Edu Town SDGs「みんなで取り組むペットボトルの完全循環」

MDGsからSDGsになった理由は過去の課題を解決するため

2015年から新たにSDGsが登場したのは、MDGsで達成できなかった目標を新たに達成すること、そしてMDGsの取り組みで判明した新たな課題を解決するためです。

人々の豊かさや環境、経済に関する問題はまだ山積みであり、今後もさらなる施策の実施が欠かせません。国・性別・身体的特徴を問わず、誰も置き去りにしない世界をつくり出すためにも、MDGsで培った情報や経験を、新しくSDGsをもとにした活動で活かしていく必要があります。

MDGsとSDGsの違いについてよくある質問

Q
SDGsは誰のために作られたの?

SDGsは国、企業、国民など、地球で暮らすすべての人のために掲げられている目標です。貧困を撲滅することはもちろん、長く平和が続く持続可能な世界をつくるために、世界各国で協力し合いながら目標を達成するために取り組みが進められています。

Q
日本はSDGsをどのくらい達成しているの?
日本におけるSDGsの達成状況

OECD加盟国のSDGsの動向を評価している「Development Report 2023」によると、日本は世界で18番目にSDGsの取り組みを達成しています。100点満点中79.87点と高い数値を示しており、積極的にSDGsに取り組んでいる状況です。

Q
MDGsとSDGsの共通点は?

SDGsはMDGsの後継となる目標であることから、ほとんどすべての部分が共通しています。また8つのゴール、21のターゲットを掲げるMDGsに対し、17のゴール、169のターゲットを掲げているのがSDGsです。

MDGsよりもさらに細分化された目標を掲げていることから、世界的な問題を広く解決しやすい内容が設定されています。

MDGsの考えはSDGsに受け継がれている

2015年目標で掲げられていたMDGsはすでに取り組みが終了し、人や環境、経済に関わる課題を残しています。そしてMDGsで残された課題を解決するために、SDGsが策定されました。

MDGs・SDGsには、対処国数や目標設定数といった違いがありますが、どちらも地球のことを考えた重要な目標です。現在運用されているSDGsを含め、私たちの暮らしをより良くする大切なキーワードだと言えます。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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