日本の二酸化炭素排出量で多いものは? 主な原因や最新の状況をランキングで紹介

日本の二酸化炭素排出量
阿部希

近年問題視されている気候変動を抑えるため、二酸化炭素の排出量削減が世界的な課題となっています。

日本においても、2015年に採択されたパリ協定に従い、脱炭素化が進められている最中です。しかし、現時点で日本の二酸化炭素排出量は多く、大きな成果は出ていません。

本記事では、二酸化炭素の排出量が多い原因や部門別のランキング、推移などを紹介します。二酸化炭素排出量を削減させる方法も解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

日本において二酸化炭素排出量が多い理由・原因

日本の二酸化炭素(CO2)排出量が多い理由や原因は、以下の4つです。

  • 化石燃料に依存した電源構成
  • 産業活動によるエネルギー消費
  • 輸送機関によるガソリンなどの燃料消費
  • 森林による吸収量の減少

なぜCO2排出量が多くなっているのか、順番に説明します。

化石燃料に依存した電源構成

化石燃料を使用する火力発電によって大半の電力を賄っている状況が、日本でCO2排出量が多い理由です。

2011年の東日本大震災で原子力発電が減少して以降、2010年に65%だった火力発電の割合が2012年に88%まで増えました。

その後、水力発電太陽光発電などの再生可能エネルギーによる電力が、徐々に増えています。このため、2022年時点の電源構成で、火力発電は72%まで割合が減りました。

以下の図は、2022年の電源構成の割合と、政府が掲げている2030年の政府見通しをグラフ化したものです。

2022年時点で、まだ火力発電の割合が大きいため、2030年までにどれだけ化石燃料由来の電力を減らせるかが日本の課題といえるでしょう。

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産業活動によるエネルギー消費

人々の産業活動で大量にエネルギーを消費することも、日本でCO2排出量が多い要因の1つです。

国土交通省の調査によると、2022年度に日本の産業部門が排出したCO2の合計は352百万トンでした。これは、全体の34%に該当し、他部門と比較して倍以上の排出量です。

製造業や建設業、農林水産業などで工場を稼働する際に、多くのエネルギーを消費しています。

産業活動でのエネルギー消費量をいかに減らしていけるかが、CO2排出量を削減するための課題といえるでしょう。

参照:グリーン社会の実現に向けた国土交通省の取組概要/P2 CO2排出量の部門別内訳(2022年度)|国土交通省

輸送機関によるガソリンなどの燃料消費

貨物や旅客など輸送機関を稼働させる際の燃料消費も、日本のCO2排出量が多い原因です。

運輸部門では2020年度に1億8,500万トンものCO2を排出しており、輸送機関別の割合は、以下の図のようになります。

自家用車や貨物自動車によるCO2排出量が、運輸部門では多い傾向です。また、運輸部門で2020年に排出したCO2のうち、燃料の種類別の比率は以下の図のようになります。

前年の2019年と比較すると排出量は減少しているものの、ガソリンによるCO2が半分以上を占めている状況です。

森林による吸収量の減少

森林に生えている植物によるCO2の吸収量が徐々に減少してきていることも、排出量を多くしている要因です。

実際に、2014年度に約6,300万トンの吸収量がありましたが、2022年度は約5,000万トンに減っています。以下は2014年度以降の、森林によるCO2吸収量の推移を示したグラフです。

環境省では、森林によるCO2吸収量が減少したのは、人工林が高齢化し植物の成長速度が緩やかになったためと結論付けています

二酸化炭素排出量の日本のランキング|2025年最新

2024年10月に国土交通省が公表した情報によると、二酸化炭素排出量の部門別に見る内訳のランキングは、日本において以下の図のようになっています。

運輸業や商業などの他、家庭からも多くの二酸化炭素を出していることがわかります。

日本における二酸化炭素排出量の推移

2003年から2022年までの、日本においての二酸化炭素排出量は、以下のグラフのように推移しています。

2022年では、直近の2021年と比較して約3%、2013年比では約21%の二酸化炭素排出量を削減できています。

二酸化炭素の排出量を削減する方法

二酸化炭素の排出量を減らすために、実際に行われている対策から3つの方法を紹介します。

  • 省エネ設備の導入による高効率化
  • 廃熱を利用しエネルギー消費の削減
  • 太陽光発電の導入により電力消費量を削減

どのようにして排出量を削減するのか、順番に見ていきましょう。

省エネ設備の導入による高効率化

創業から年数が経っている企業の工場や事業所などで使用する機械設備を、最新の設備に交換することで二酸化炭素を削減できます。

長く使用している機械設備は経年劣化もあり、稼働により多くの電力などの燃料を消費するためです。

最新の設備は省エネ性能が高まっているため、交換するだけで高効率化を実現できます。

交換により省エネが期待できる設備の事例は、以下のとおりです。

  • 工場で使用する各種機械設備
  • 照明機器
  • 空調設備

しかし、事業に使用している設備は、簡単に交換できるものではありません。

二酸化炭素排出量を測定し、優先度の高い設備から対策を進めることで、排出量削減につながります

廃熱を利用しエネルギー消費の削減

機械設備から出る熱を利用することで、二酸化炭素の排出量削減につなげられます。

これまでは、設備を稼働する際に放出される熱は、文字通り廃棄されるのみでした。

廃熱利用機の導入により、捨てるのみだった熱を再利用して、エネルギー消費量を減らせます。

回収した廃熱の再利用方法として、発電や温水の作成などがあります。

工場などの機械を稼働する際、多くの電力を使用しているため、廃熱の再利用でエネルギー消費量が減れば二酸化炭素の排出量も減少できるでしょう

太陽光発電の導入により電力消費量を削減

太陽光パネル

自家消費型太陽光発電の導入でも、二酸化炭素の排出量を削減できます。

太陽光発電は、電気を作る際に温室効果ガスを排出しません。このため、太陽光によって発電した電気を自家消費すれば、購入する電力の消費量が減ります。

日本は火力発電での電力が電源構成の大半を占めているため、購入量が減れば二酸化炭素の削減につながるでしょう。

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二酸化炭素排出量の世界の状況

世界において二酸化炭素の排出量はどのような状況になっているのか、以下2つの視点から解説します。

  • 二酸化炭素排出量の世界各国の推移
  • 二酸化炭素排出量は一人当たりで世界的に増加傾向

二酸化炭素排出量の世界各国の推移

世界各国で二酸化炭素の排出量の比率は、2030年までに以下のグラフのように推移していく見込みです。

日本を含めてアメリカやEU各国は、2030年度までにCO2排出量の比率が少なからず削減する見通しです。

しかし、中国やインドなど発展途上国では、2030年度までにCO2排出量の比率が増加すると予測されています。

このため、世界規模でCO2排出量を削減するには、中国やインドの取り組みが重要といえるでしょう。

二酸化炭素排出量は一人当たりで世界的に増加傾向

世界の1人あたりの二酸化炭素排出量は、環境省によると以下の図表のとおりで、基本的に増加と減少を繰り返してきましたが、2021年以降は増加傾向です。

出典:2.2エネルギー起源CO2排出量全体/P14 世界の一人当たりエネルギー起源CO2排出量の推移|環境省

2019年の終わりに新型コロナウイルスが発生し、翌年には世界中に感染症が広まって行動が制限された影響でCO2排出量が大きく減少しました。

2021年に制限が緩和されたことで、人々の経済活動が活発になり現在では1人あたりのCO2排出量が増加傾向に転じています

二酸化炭素の排出についてよくある質問

Q
家庭で二酸化炭素排出量が多いものは何ですか?

二酸化炭素が出るものは、家庭の中に多くあります。家電製品、暖房機器や給湯器など、生活に欠かせないものを使用する際に、二酸化炭素を排出しているのです。

Q
二酸化炭素を排出する原因として家庭では何が考えられますか?

自家用車の排気ガスやガス給湯器、暖房使用時の電力消費などが、家庭での二酸化炭素排出の要因です。このように、二酸化炭素を出すものは、身近に存在しています。

Q
二酸化炭素を出さないために日常生活でどのような対策ができますか?

日常生活において以下のように工夫することで、二酸化炭素の排出量を減らせます。

  • 省エネタイプの家電製品を使用する
  • こまめに電源をオフにする
  • 自家用車ではない移動手段を利用する
Q
牛のゲップが地球温暖化に関係あるって本当?

実は牛など家畜のゲップには温室効果ガスの1つである、メタンが含まれています。地球温暖化の原因は、地球を覆っているオゾン層を破壊する温室効果ガスのため、メタンを含む牛のゲップもまったく関係ないとはいえません。

ニュージーランドでは家畜のゲップに対する税金の導入が計画されましたが、農家の猛反対により課税が中止になったほどです。

日本は二酸化炭素排出量が多いが世界で比較すると減少傾向

日本における二酸化炭素排出量は、産業活動や運輸業による割合が大きくなっています。この他、家庭からも多くの二酸化炭素を排出しています。

しかし、世界規模で比較すると、日本の二酸化炭素排出量は、減少傾向です。

地球温暖化の防止やカーボンニュートラル実現のためには、企業や個人にかかわらず、私たちが個々で対策に取り組む姿勢が必要といえます。

監修
アスグリ編集部
アスグリ編集部
株式会社GRITZ
運営元である株式会社GRITZは、野立て太陽光発電所を土地取得-開発-販売まで自社で行っています。自然環境に影響が出ないように、耕作されていない農地(休耕地)に野立て建設しています。自然エネルギーの普及は、脱炭素社会を目指すうえでは欠かせません。当社のビジネスを通じて、カーボンニュートラルな地球に貢献することをミッションとしています。
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